8月16日、東京ドームで行われた阪神タイガースと読売ジャイアンツの伝統の一戦は、阪神先発の村上頌樹投手が最後までマウンドを譲らず、巨人打線を完全に封じ込める完封劇で幕を閉じた。打線は初回に森下翔太の先制2ランで主導権を握り、その後も要所で追加点を挙げてリードを広げた。守っては村上が要所を締め続け、試合の主導権を一度も渡すことなく完勝。投打ががっちりかみ合い、宿敵巨人を相手に虎キチを大いに沸かせる内容となった。6月に亡くなった長嶋茂雄さんの追悼試合として気合いの入った巨人ナインに、痛烈なダメージを与えて試合を終える事になった。
阪神は序盤から試合を支配した。初回、巨人の先発・井上がまだ本調子をつかむ前に、近本光司が出塁すると、続く森下が高めに入った直球を振り抜いた。打球は快音を残して左翼席へ。値千金の先制2ランでチームを勢いづけ、早くも試合の流れを引き寄せた。球場には巨人ファンの溜め息と、阪神ベンチの歓喜が交錯し、開始早々から緊張感あふれる空気を作り出した。
村上はそのリードを得ると、落ち着いた投球で巨人打線を寄せつけなかった。直球のキレ、変化球の制球ともに冴えわたり、序盤から三者凡退を積み重ねていく。巨人のクリーンアップを迎える場面でも動じず、外角低めへのストレートとフォークで凡打を誘い、要所でのコントロールの確かさが光った。巨人は散発的なヒットこそ出したが、得点圏に走者を進める場面ではことごとく村上にねじ伏せられ、試合を通じて流れをつかめなかった。
阪神打線も村上を強力に援護した。中盤には大山悠輔のタイムリー2ベースでさらにリードを広げた。1点をしぶとく奪い取る理想的な展開に、ベンチの雰囲気は終始明るく、村上の背中を押すように試合を進めていった。ヒット数自体は7本と決して多くなかったが、効率的に得点を重ねる攻撃は、今季の阪神が目指す勝ちパターンを象徴するものだった。
村上の投球は終盤に差し掛かっても衰えなかった。8回には代打陣を並べた巨人が最後の反撃に出ようとしたが、速球で押し込み、スライダーでタイミングを外し、危なげなく切り抜けた。9回のマウンドに向かう姿は堂々たるもの。最後の打者を仕留めると、マウンド上で大きく拳を握り締め、ベンチとスタンドの阪神ファンから大歓声を浴びた。スコアボードには巨人の「0」が最後まで刻まれ、村上にとっても記憶に残る圧巻の完封劇となった。
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この試合は、村上の快投だけでなく、チーム全体の結束力が見えた点も大きい。守備では中野拓夢が二遊間で好守を連発し、ピンチの芽を早めに摘み取った。外野でも近本が広大な守備範囲を見せ、難しい飛球を無難に処理したことで、村上がリズムを崩さず投げ切れる環境を整えた。チーム全体で「村上を勝たせる」という意識が共有されていたのは明らかで、まさに投打守が一体となった完封勝利だった。
また、宿敵巨人相手にこのような試合運びを見せたことは、順位争いを意識するシーズン終盤において大きな意味を持つ。リーグ制覇奪回を狙う阪神にとって、直接対決での勝敗はそのまま優勝争いの行方を左右する。村上の完封劇はチームに勢いをもたらすだけでなく、巨人に心理的なダメージを与えたことは間違いない。相手ベンチが最後まで打開策を見出せなかった現実は、今後のカードにも影響を及ぼすだろう。
村上の投球内容を数字で見ても圧巻だった。被安打はわずか2本に抑え、与四球も最小限の1個。奪三振数も9個と、終始主導権を握った内容は「エースの投球」と呼ぶにふさわしい。試合後、本人は「序盤に森下さんが打ってくれて気持ちが楽になった。最後まで自分の投球を貫けた」と冷静に振り返ったが、その笑顔には大きな達成感がにじんでいた。ベンチで見守った藤川監督も「今日は村上の日。こういう試合ができるのは本当に頼もしい」と称賛を惜しまなかった。
阪神にとっては、投打の柱がしっかりと機能したことが何よりの収穫である。先制パンチを与えた森下の一撃はもちろん、村上が一人で投げ切ったことでブルペン陣を休ませることができた点も大きい。シーズン終盤に向け、リリーフ投手の疲労は大きな課題だが、この日の勝利はチーム全体の戦力管理においても貴重な1勝となった。選手たちは口を揃えて「村上のおかげで今日は楽に戦えた」と語り、エースの存在感をあらためて実感する試合となった。
