2025年7月2日、夏のナイトゲームとして甲子園球場で繰り広げられた阪神タイガース対読売ジャイアンツの一戦は、わずか1点差ながら、スタジアムを震わせる緊迫感に満ちていた。この好カードを制したのは、4万人を超える虎キチ達の期待を背負う若虎、森下翔太外野手による決死の“神走塁”。まさにこれがこの日の試合のすべてだった。
試合は両軍無得点のまま時間が進み、緊迫した投手戦となっていた。阪神の先発・大竹耕太郎は8回まで巨人打線を1点も許さず、8回を7安打無失点で巨人キラーの本領を発揮。一方、巨人先発の井上も甲子園のマウンドで力強い投球を見せ、阪神打線を沈黙させていた。
その均衡を破ったのは8回裏、2死一、二塁からだった。佐藤輝が四球を選び、満を持してバッターボックスに向かう大山の姿が映し出され、球場内のボルテージは最高潮に。その大山の内野ゴロが遊撃手・泉口のグラブをはじく。二塁走者でスタートを切った森下は、即座にホームへと鬼神のように滑り込んだ。捕手・甲斐の必死のタッチをかわすように体をひねり、逆転を狙ったその姿は、言葉を失うほどの迫力だった。
一度はアウト判定が下るも、直ちに藤川監督のリクエストが起こる。リプレー検証が続く数分間、甲子園のスタンドは息をひそめ、不安と期待が交錯していた。そして、リプレー検証を終えてグラウンドに出てきた主審が示したのは、なんと判定を覆す“セーフ”。観客席が一斉に沸き立つ中、森下は両手を高く突き上げ、地響きのような大歓声に身を委ねた。
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決定的瞬間をスロー再生で確認してみると・・・森下は甲斐のタッチを一度はかいくぐったものの、「触られていない」と判断した森下は諦めず、滑り込みながら逆方向へ反転、左手を引いて再度タッチ──今度は確実にホームベースを叩いた。まさに“忍者走塁”。捕手甲斐は2度目のタッチに入念に備えるも、森下が背中をぶつけながらかいくぐる。「甲斐のタッチをかいくぐり、ホームベースに左手を伸ばしてタッチした」──その描写は、ヒーローとしての躍動感を際立たせていた。
試合後のヒーローインタビューで、森下はこう語った。「必死だった。ホームベースを触るところだけ意識して」。甲斐の“横にずれる”一瞬を見逃さず、「一度目は触れていないと確信したから、もう一度滑り込んだ」。その冷静な判断と、泥だらけになりながらの全力プレー、そしてリクエストを信じた藤川監督とチームの意思が、阪神の勝利を呼び込んだ。
阪神はこの試合で18度目の完封勝利、そして4連勝。貯金は今季最多タイの11に到達。一方、巨人とのゲーム差も5.5に広がり、“首位快走”の様相を呈している。SNS等でもこのプレーを見たファンから「何回見ても痺れる」「甲子園でこれぞ虎の執念」と喜び、1点差での辛勝以上の快感をもたらしたと話題になった。
今年の阪神の勢いはまだ止まらない。8回裏の鳥肌級の“一点”は、チームに深い余韻と自信を残した。野球は、たった一つのプレーで風向きを変える。その真実を、森下が甲子園で体現した一夜だった。
