8月17日、東京ドームで行われた巨人戦。阪神はこの日、序盤の集中攻撃で早々に主導権を握った。4回表、まず高寺望夢が2死一、三塁のチャンスで右前へのヒットを放ち、2点を先制。続く坂本誠志郎もタイムリーヒットを放ち、一気に3点を奪った。投打の噛み合った攻撃で、序盤から相手にプレッシャーをかけた──この展開は、試合の行方を決定づける見事な先制攻撃だった。
投手戦を制したのが、阪神の先発・才木浩人。毎回走者を許しながらも、冷静に落ち着いて対応。5回を投げきり、1失点(自責1)にまとめ、見事今季11勝目を挙げた。対して巨人は、本拠地・東京ドームでの試合にも関わらず、またしても苦杯をなめることとなった。
巨人打線はこの試合、安打数では阪神を上回る10安打を記録するも、得点に結びついたのは丸佳浩による5回のソロ本塁打1本のみ。岡本和真が復帰後初安打を放つなど面白さは見せたものの、序盤の好機を逸し、また後半にもチャンスをつかめず。一つひとつのヒットは光ったが、結局は点に結びつかなかった。ヒットの数だけでは勝ちにつながらないという現実を突きつけられた形だった。
後半、試合を締めくくったのは、阪神の新たな“守護神”だった。8回、石井大智が40試合連続無失点というプロ野球新記録を達成。まず先頭の泉口を中飛に抑え、岡本には遊撃への内野安打を許したものの、キャベッジには150キロ直球で見逃し三振、岸田は右飛に打ち取る。スコアボードに「0」を刻み続け、プロ野球の歴史に残る金字塔をずしりと打ち立てた。
Tiktok動画はこちら
この記録達成に対して本人は、「たまたまだと思う。でも、その“たまたま”を引き寄せるために準備をプライドを持ってやってきた」と淡々と語った。日々の努力を積み上げてきた姿勢が、そのまま結果に結び付き、記録という形で結実したことにある種の説得力があった。
そして9回。巨人は最後の反撃にかけた。無死一、二塁の絶好機をつかんだかに見えたが、増田大輝が放ったバントは微妙な判定に――しかし、ぎりぎりラインを割る。「アウト」となり、反撃の芽はそこでつぶされた。絶妙な判断が命運を分けた瞬間だった。巨人側も最後まで諦めない姿勢を見せたが、阪神の計算された継投と守備の集中力に阻まれた。
この勝利を受けて、阪神と巨人のゲーム差は今季最大タイの13に開き、「このカードでの借金」はますます膨らむばかり。伝統の一戦での成績は、既に阪神が巨人戦を圧倒しており、巨人は東京ドームでの阪神戦9敗目という屈辱に直面した。
試合後の雰囲気は、勝者の余裕と敗者の悔しさが交錯するものだった。阪神のベンチには淡々とした歓喜が漂い、石井の記録達成は派手な祝福なしに、静かに、しかし全員でその快挙を喜んだ。一方、巨人は惜しみつつも「まだ優勝の可能性は0%ではない」と指揮官が口にした言葉に、諦めずに戦う覚悟が込められていた。
阪神が序盤にリードを奪い、それを先発・才木の粘り、継投の圧力、そして石井の歴史的一投が支える形で守り切った試合は、まさにチームの総力戦の勝利。序盤から試合のテンポを支配し、相手に主導を渡さなかったという戦いぶりが、勝敗を分けた最大の要因だった。
