阪神が8月27日に行われたDeNA戦で、若き力と実績組の勝負強さが融合した見事な勝利を収めた。舞台は横浜スタジアム。序盤は互いに無得点の緊迫した展開が続いたが、試合を動かしたのは4回表の阪神打線だった。先頭の森下が粘って出塁すると、1死一塁の場面で前夜のヒーロー・大山がセンターへ先制タイムリーを放った。さらに続く熊谷もセンター前に弾き返し、値千金の追加点を叩き出す。連続タイムリーで奪った2点が、この日の試合を決定づける形となった。
大山はバットの出方に迷いがなく、狙い球をしっかり仕留めるスイングを見せた。彼のタイムリーでベンチは沸き立ち、続く熊谷もその勢いを継いで快音を響かせた。熊谷は守備や走塁での貢献が目立つが、この日は打撃でも存在感を示し、首脳陣の信頼をさらに厚くした。2点目を奪った時点で、阪神ベンチには「今日はいける」というムードが漂っていた。
打線の援護を受け、先発のルーキー早川がマウンドで堂々たる投球を披露した。プロ初先発という緊張感あふれる舞台にも臆することなく、ストレートと変化球を巧みに織り交ぜながらDeNA打線を翻弄。5回を投げて被安打わずか2、四球2と安定した内容で無失点に抑え込んだ。走者を背負っても冷静さを失わず、持ち前のテンポの良さと制球力で後続を断ち切った姿は、未来のエース候補として十分な片鱗を示したと言えるだろう。
特に印象的だったのは3回裏のピンチだ。自らの四球で2アウト一、二塁と得点圏に走者を背負った場面で、早川はDeNAの主軸・桑原を迎えた。早川はここでも強気のピッチングを崩さず、ライトフライに抑えた。マウンドで投げる表情には、ルーキーらしからぬ気迫が漂っていた。ベンチで迎えるナインの祝福も熱く、この瞬間にチームが勢いづいたのは間違いない。
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試合中盤以降は両軍ともリリーフ陣の継投で膠着状態に。阪神は6回から岡留、7回にドリス、8回に及川とつなぎ、9回は守護神・岩崎が登板する必勝パターンを展開。岡留は1点を失ったものの、その後はシャットアウトリレーを続け、試合の流れを完全に引き寄せた。最後は岩崎が三者凡退で締め、チーム全体で早川の初勝利を守り切った。
試合後、ヒーローインタビューに立った早川は「チームメートが点を取ってくれて、自分も何とか粘ることができた。プロに入って初めての勝利をここで挙げられて本当に嬉しい」と笑顔を見せた。さらに「まだまだ課題はあるが、一つずつ経験を積んで、もっと信頼される投手になりたい」と今後への決意を語った。大山も「若い投手が頑張っているので、打撃で援護できて良かった。チーム一丸で勝ちを重ねていきたい」と力強く話し、熊谷は「自分の役割は何でも全力でこなすこと。今日はその結果が打撃で出せて嬉しい」と語った。
この日、打線は決して大量点を奪ったわけではないが、ここ一番での集中力とチャンスを逃さない勝負強さを発揮。投手陣も早川を中心に継投が機能し、理想的な勝ちパターンを描いた。シーズン終盤に向けて、こうした「地道に、しかし確実な勝利」を積み重ねることが、チーム全体の自信と勢いにつながることは間違いない。
虎キチ達にとってもこの日の勝利は格別だった。ルーキーが初めてプロの舞台で勝利を挙げる瞬間を目撃するのは、チームの未来を思い描く事のできる喜びでもある。早川の初勝利は単なる1勝にとどまらず、阪神がこれからも世代交代を進めながら強さを保つ象徴的な出来事と言える。今後はさらに長いイニングを投げ、ローテーションの一角を担う投手としての飛躍が期待されるだろう。
これでマジックは「12」にまで減る事となった。
カウントダウンは、いよいよ熱を帯びてきた。
