試合開始から終盤まで、じわじわと積み重ねた攻防が、延長10回の劇的な幕切れで実を結んだ。中日・バンテリンドームで行われたこの試合で、阪神タイガースは連勝を飾り、優勝マジックを「32」とした。2-2で迎えた延長10回、1死満塁の場面で大山悠輔が押し出し死球という劇的な形で決勝点を挙げ、しぶとく勝ち切った。
序盤、中日は2回にボスラーの打球が外野に抜けて二塁打となり、1死三塁から石伊に左中間へ適時二塁打を浴びて先制する。阪神・村上頌樹投手の粘りもあり、どうにか追加点こそ防いだが、リードされる展開となる。3回に阪神は熊谷の中前打でチャンスを作り、近本光司が左前に鮮やかな同点安打を放ち、同点に追いつく。
その後5回には中日の上林にソロ本塁打を許し再びリードを許す展開だったが、阪神打線は諦めなかった。8回には無死1塁から近本が右越え二塁打で出塁し、佐藤輝明が左前へタイムリーを運び同点に追いついた。8回のこの場面での粘りが、後の延長劇につながったのである。
延長戦に入っても試合は膠着状態。だが10回、阪神はチャンスを見逃さなかった。近本が内角直球を強く弾き返し、三遊間を破る先頭打者安打でまたもやチャンスを作った。その後中野が続き、森下の四球も絡んで無死満塁。佐藤輝は空振り三振と凡退するも、続く大山悠輔が初球スライダーに倒される形で背中を直撃。押し出し死球が決勝点となり、阪神が劇的な逆転勝利を収めた。
大山は「決めるつもりだった」と語った打席で、まさかの形によって決勝点をもぎ取った。痛みに耐えながらも心の中でガッツポーズを浮かべたという肉体と精神の両面での覚悟が伝わる一瞬だった。前の打席では6回2死満塁で無得点に終わっていただけに、雪辱を果たした形だ。
この勝利で阪神は5カード連続の勝ち越しとなり、今季最多の貯金「24」を記録。リーグ唯一負け越していた相手・中日との対戦成績も7勝7敗の五分に戻し、夏ロードに勢いを付けた。
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リードオフマンの近本はこの日も鮮烈な存在感を放った。3回の同点適時打を皮切りに、8回には右越え二塁打、さらに延長10回には決勝機を演出する左前打を含め計4安打。これにより打率は.292となり、リーグ首位打者に浮上。2位・中野との間に僅差ながらも差をつけ、最多安打争いでも中日・岡林に11本差をつける状態だ。試合後のヒーローインタビューでは「出塁しかないです」と無欲な精神を示しつつ、「まだ8月6日なので、まだまだ先」と笑顔で語るあたり、チームをも引っ張るリーダーの風格を感じさせた。
投げては阪神の村上が6回6安打2失点と粘投したものの、勝利投手にはならず。来戦に10勝目を持ち越す結果となったが、試合後にはチームが勝てたことを何より讃えた。救援陣も最後まで粘り強くつなぎ、阪神の勝利を導いてくれた。
球団関係者も含め、阪神の優勝ムードは高まるばかりだ。100試合目を終えた時点で2位・巨人とのゲーム差は12。過去データによれば、この差が10以上ある場合、優勝確率は「100%」とされる吉兆データも話題となっている。近本も「一試合一試合が大事」と選手とファンに呼びかけつつ、「一勝ずつ積み上げて皆さんで楽しみましょう」と締めくくった。
この試合、阪神は技と粘りと運を絶妙にかみ合わせ、まさに劇的な逆転勝利を飾った。体を張った決勝点、大車輪の近本の活躍、そして投手陣の安定したリレー。これらが融合し、価値ある一勝となった。8月夏本番、まだまだ勝ち続けてくれるはずだ。
