歓喜の瞬間!90周年にリーグ史上最速V達成!!

歓喜の瞬間!90周年にリーグ史上最速V達成!!

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2025年9月7日、甲子園のスタンドに響いた「六甲おろし」は、ただの勝利の歌ではなかった。阪神が広島を2-0で退け、2年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。電光掲示板に「V」の二文字が浮かぶと、ベンチから飛び出した選手たちが抱き合い、グラウンドには歓喜と安堵が渦を巻いた。緊張感に包まれた投手戦をもぎ取るこんな勝ち方は、この1年の阪神の象徴そのものだった。先制は2回。大山の左中間二塁打、木浪の右前打で無死一三塁を作り、髙寺が左翼へきっちり犠飛。タイガース優勝への想いを乗せた打球がレフトへ飛び、きっちり三塁走者をホームへ迎え入れ、甲子園のボルテージが上がる。さらに6回は近本が中堅へ犠飛。派手な一撃でなく、隙のない「もう1点」。この着実に加点する試合巧者ぶりが際立った。

先発の才木は立ち上がりから伸びのある直球と落差の大きいフォークで広島打線の芯を外し、スコアボードに「0」を並べた。ところが、5回に先頭打者への危険球で無念の退場。突然の継投を強いられたベンチだったが、藤川監督は迷わない。湯浅をスパッと投入し、流れを与えないまま火消し成功。その後は桐敷—及川—石井—岩崎の豪華盤石リレー。終盤は石井が、48試合連続無失点記録を更新し、また9回には守護神・岩崎が藤川監督の現役時代の入場曲「every little thing every precious thing」をサプライズで使用し登場。球場中のボルテージは最高潮に達し、その状況で岩崎はしっかり3人斬りでゲームを締めた。今シーズン最高のハイライトシーンとなった。

目の前の9イニングに集中する。そして、1年を通して勝ち続ける。その両立を可能にしたのは、藤川采配の緻密さと割り切りの共存だった。たとえばこの試合の2点は、いずれも犠牲フライ。カウントを見極めて“最低限の仕事”を確実に成し遂げる。走塁においても、走者は次の塁を常に狙い、打球判断は徹底して早い。守りでは、配球の組み立てとポジショニングが連動する。捕手坂本の冴えたリードが打者の目線を上下左右に揺さぶり、内外野の一歩目は打球への予測で加速する。今季の阪神は、身の丈に合った“確率の高い一手”を積み上げることで、接戦を片っ端から自分色に塗っていった。

優勝決定は「2リーグ制以降で最速」。記録面でも鮮烈だ。1990年の巨人が9月8日に決めた最速記録を1日塗り替え、9月7日にゴールテープを切った。球団創設90周年に合わせるように、チームは交流戦では7連敗を喫するなど足踏みをする場面もあったが、それ以降は独走態勢を築いた。ここまで強いチームとして結果を残したのは、単なる“強い”の一言では語り尽くせない。

 

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投手陣は層が厚く、顔ぶれも豊富だ。この日先発したローテーションの柱・才木は抜群の安定感でシーズンを走り切った。伊藤将、村上、大竹ら実力派に新戦力ジョン・デュプランティエが加わり、次々と白星を重ねていった。ブルペンでは岩崎がクローザーとして堂々。石井は負傷からの復帰後は夏場にかけて驚異の連続無失点を積み上げて大記録を達成。桐敷は左の強打者の懐に食い込み、及川はストライク先行でテンポを作った。この日緊急登板した湯浅は不測の事態にも関わらず堂々のピッチングを披露し、名誉ある勝ち投手となった。大一番でのハイパフォーマンスは、シーズンで培ってきた準備の賜物だ。

打線はリーグ随一の破壊力を維持した。近本が出塁と機動力で先頭打者の仕事を果たし、中野が繋ぎ、森下と佐藤輝、大山が最強クリーンナップとして相手バッテリーに常に圧力をかけ続けた。下位打線に入っても小幡や木浪、坂本がきっちり自分の仕事を果たす。試合の流れを読む意識が高く、状況によって優先順位を変える。欲を出さず、相手のミスを見逃さない。犠飛2本での2点は、阪神が貫いてきた勝ち方の真骨頂であった。甲子園球場の4万人の大観衆が生み出す空気が味方をするのは、こういう試合運びを積み重ねてきたからだ。

また、数字は嘘をつかない。リーグ最速Vの裏付けとして、阪神は敵地でも強かった。甲子園に限らず、どの球場でも自分たちのペースで試合を作っていった。いつでもゲームプランの柱となるのは、先発の球数と打順の巡りに応じて継投ラインを明示し、打線は序盤から進塁打、犠飛といった「1点を取る野球」を最短距離で選択。地道なプレッシャーは、相手投手には2巡目から露骨に効き始める。得点のタイミングが6回前後に集中するのも、準備の深さの表れだった。

藤川監督の新人監督としての1年目Vは球団史上初。守備と走塁を軸に「ミスを減らす」ことを最優先に据え、選手の良さを引き出す配置に徹した。打者にはカウント別の“最適解”を選ぶ事を徹底させて、投手には自らの「強み」を磨き上げる事を求め続けた。とりわけ終盤の投手起用は大胆かつ論理的で、今日のようなアクシデント下でも慌てず、予定の上に“想定外の上書き”ができる。とても新人監督らしからぬ、堂々とした采配であった。

この夜の甲子園、岩崎が9回のマウンドに上がる前、スタンドの空気が緊張感に包まれていった。最後のアウトが中飛で白球が近本のグラブに吸い込まれると、選手や関係者、4万超の虎キチ達の感情は爆発し、史上最速優勝の喜びが最高潮に達した。マウンド付近で胴上げされた藤川監督は、5度宙に舞った。

1年を振り返ってみると、開幕ダッシュで先手を取り、交流戦での7連敗でも「負け癖」を引きずらず、夏場の長期ロードでも白星を重ね続けた。負傷や不調で主力が欠けても、ベンチの底力で空白を埋める。石井の超人的なゼロ行進はチームに“今日もいける”という確信を与え、才木や村上はリリーフ陣を休ませる程の好投を見せてくれた。野手陣では近本と中野が出塁し、森下、佐藤輝、大山は勝負どころで強烈な打球を放つ。結果として、9月頭にはマジックが1ケタに突入する程異例のハイペースで勝ち続ける事になった。

球団創設90周年の節目に、新たな伝説が完結した。コミッショナーからは「投打ともに充実した戦力、フロントと現場の一体感」が称えられたが、まさにその言葉の通りだ。現場の勇敢な意思決定を、データとスカウティング、育成と勝利の両立を高いレベルで遂行し続けた。

王者の視線はもう先を見ている。クライマックスシリーズ、日本シリーズへと続く大きな期待。このプレッシャーをも前向きに受け止め、戦い抜くメンタルタフネスが、このチームには既に備わっているはずだ。

最後に、この夜の勝利はまだ通過点である事を記しておきたい。2025年タイガースの物語はまだまだ続く。次は「日本一」という頂へ辿り着いてみせる。

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