2025年11月22日、大阪・御堂筋は再び虎一色に染まりました。
約20万人のファンが沿道を埋め尽くした阪神タイガースの優勝パレードは、単なる祝祭ではなく、「ファンへの感謝」と「連覇への決意」を確認し合う場でもありました。
この日、監督や主力選手たちがファンにどんなメッセージを送ったのかを振り返ります。
1. 藤川球児監督 ― 「連覇を必ず成し遂げます」と“お礼交換”
パレードの主役の一人は、就任1年目でチームを2年ぶりリーグ優勝に導いた藤川球児監督でした。
パレード前日、藤川監督は取材で「ファンのみなさんと“ありがとう”と“おめでとう”を言い合える関係性は本当にありがたい」と語り、22日を“お礼交換の日”と位置づけていました。
その言葉通り、オープニングセレモニーの挨拶では、まず虎キチ達への労いと感謝を前面に出します。2005年の選手時代以来の御堂筋パレードに触れ、「当時は『来年もこの景色が見られるだろう』と思っていたが、18年かかった」と苦笑を交えつつ、長く待たされた分、この景色の重みをかみしめていることを明かしました。
そして何よりファンの心に残ったのが、球団史上初のリーグ連覇を宣言した一言です。
セレモニーの壇上で、藤川監督ははっきりと「連覇を必ず成し遂げます」と言い切り、御堂筋を埋めた20万人に約束しました。
パレード後、テレビ取材には「きょうのために頑張ってきたんだなと思えた。来年必ず連覇をできるように頑張るので、ファンもついてきてほしい」とコメント。
“優勝を報告する日”であると同時に、“来季への決起集会”としてファンと気持ちを共有したいという思いがにじむメッセージでした。
2. 選手会長・中野拓夢 ― 「この距離感で『ありがとう』と言ってもらえた」
選手を代表してマイクを握ったのは、来季から背番号7を背負う選手会長・中野拓夢。
中野は挨拶で、球団創設90周年という節目の年に2年ぶりのリーグ優勝を最速ペースで成し遂げられたのは「ファンの皆さまの温かいご声援のおかげ」と感謝を述べました。さらに、「パレードを選手たちもとても嬉しく思っています。ケガのないように、後ろから押さずに、楽しく見てください」と、観覧マナーにも気を配った言葉を添えました。
テレビのインタビューでは、「率直にうれしい気持ちでいっぱい。この距離感で『ありがとう』と言っていただいたので、1年間頑張って良かったなと思う」と、沿道との近さと、直接届く「ありがとう」の声の重みを語りました。パレード前のインタビューで「人が多く感じますね…。こんなに人、見たことないですよ」と、集まったファンの多さに驚く様子も伝えられています。続けて「糸井さんの後をしっかり継げるように。背番号7が似合うように頑張りたい」と、新背番号に込めた決意も表明しました。
3. 主砲・佐藤輝明 ― 「もう最高ですね」と連覇&日本一への誓い
40本塁打・102打点で本塁打王と打点王の2冠を獲得した4番・佐藤輝明は、パレードでも一際大きな存在感を放ちました。
御堂筋を進むオープンバスから見えた光景について、佐藤は「すごいたくさんの人に集まっていただいて、グッズを掲げてくれて、すごいうれしい。最高っすね」と笑顔で話しました。周囲の選手がうらやむほど沿道には佐藤のタオルやグッズがあふれ、「掲げてくれたグッズがうれしかった」と“ありがとう”の気持ちをファンに向けていた様子が紹介されました。
昨年は日本シリーズでソフトバンクに敗れた阪神にとって、リーグ連覇の先にある“日本一奪還”は大きなテーマ。4番の口から改めてその目標が語られたことは、ファンにとっても心強いメッセージとなりました。
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4. 森下翔太&才木浩人 ― 「森下でーす」「才木でーす」と“売り込み”ファンサ
若虎コンビの森下翔太と才木浩人は、“言葉で楽しませる”タイプのファンサービスでにぎわせました。
才木は虎キチのリクエストに応えて両手でハートマークをつくるなど、サービス精神全開でした。隣に乗る森下のタオルが「100種類ぐらい」あるように感じたと笑いながら話しました。2人は『森下でーす』『才木でーす』と名前を名乗りながら沿道にアピール。さらに、ファンのボードに書かれた「157キロで投げキッスして」といった無茶ぶりにも、2人がノリ良く応じていました。
森下は「売り込みみたいな感じで」と冗談めかしつつも、名前と顔を覚えてもらおうと積極的にファンに話しかけていたとのこと。
5. 近本光司 ― 「やっぱパレードいいっすね」と“残留ありがとう”の声援
FA権を行使せず阪神残留を決めたリードオフマン・近本光司への声援は、今回のパレードの大きなトピックの一つでした。
近本は御堂筋の沿道を埋めた約20万人のファンからの声援を浴び、「やっぱパレードいいっすね」と満面の笑み。2年前の「18年ぶり+日本一」のときとはまた違う、2年ぶり優勝ならではの空気を味わいました。
とりわけ印象的だったのが、虎キチの掲げるタオルやボードに書かれた「残留ありがとう」の文字。
近本はその声やメッセージについて、「『ありがとう』って言ってもらえてうれしかった」と話し、自身が残留を決めた理由が「甲子園でファンの声援の中でプレーを続けたい」という思いだったことを改めてかみしめていました。
また、古巣・大阪ガス本社前をバスが通過した際、同期の社員が沿道から手を振ってくれていたことを明かし、「おーい」と手を振り返したというエピソードも紹介されました。プロのスターとなった今も、かつての仲間とファンの前で、同じ街で笑顔を交わす――近本のコメントには“原点への感謝”もにじんでいました。
6. コメントに共通していた3つのキーワード
監督・選手たちのメッセージには、大きく3つの共通点がありました。
① 圧倒的な「感謝」
藤川監督の“お礼交換”という表現、中野の「ファンの声援があったからこそ」という言葉、佐藤の「グッズを掲げてくれてうれしい」、近本の「『残留ありがとう』がうれしかった」――。
どのコメントにも、まず最初に「ありがとう」が置かれていました。
勝利の喜びを一方的に報告するのではなく、「ファンと一緒に勝ち取った優勝」として受け止めていることがわかります。
② 距離の近さ、双方向のコミュニケーション
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「この距離感で『ありがとう』と言ってもらえた」(中野)
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「ファンの顔を見ながら声を聞ける特別な時間」(近本の趣旨)
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「森下でーす」「才木でーす」と名乗りながらファンサをする森下&才木
パレードは球場以上に選手とファンの距離が近く、声も表情もストレートに届きます。
監督や主力だけでなく、若手も積極的に名前をアピールし、ファンからのボードやコールに応じる――選手側も“コミュニケーションの場”としてこの日を楽しんでいた様子が伝わってきますね。
③ “連覇”と“日本一”への前向きな誓い
藤川監督が「連覇を必ず成し遂げます」と宣言し、佐藤が連覇と日本一の両方を口にし、近本も「また来年からもこの環境でプレーできるのはすごいこと」と、来季への意欲をにじませました。
2025年の日本シリーズではソフトバンクに敗れ、「連覇したうえでの日本一」は持ち越しとなりましたが、その悔しさを隠すよりも前向きな誓いに変えて発信しているのが特徴的です。
「WITH ALL FANS」を体現した御堂筋の1時間
阪神球団は2025年シーズンのスローガンとして「WITH ALL FANS」を掲げてきました。
11月22日の御堂筋パレードは、その言葉を象徴する1時間だったと言えます。
藤川監督は、20万人の前で連覇を約束し、
中野は、声を掛けてくれた一人ひとりに「1年間頑張って良かった」と感じたと語り、
佐藤は、沿道いっぱいの自分のグッズに「最高」と笑い、
森下・才木は、名前を連呼しながらファンのボードに応え、
近本は、残留を喜ぶ「ありがとう」の声を噛みしめていました。
この日、御堂筋で交わされた数え切れない「ありがとう」と「おめでとう」は、
きっと来季の甲子園、そしてまたいつかの御堂筋パレードへとつながっていくはずです。
