日本シリーズで復活登板、たった1球で球場の雰囲気と試合の流れを変えた湯浅投手ですが、それでも本来の力を考えると満足できる1年ではありませんでした。今季は守護神の座を奪還すべく、アメリカで本格的なトレーニングに挑戦します。
阪神・湯浅 今季は被弾しない男や 米自主トレでメジャー本塁打王から打者心理学ぶ
(スポーツニッポンより)
阪神・湯浅京己投手(24)が9日、大阪空港から自主トレ先の米国へ出発した。昨年12月に動作解析のため訪れたジョージア州アトランタの施設を拠点に投球フォーム改造に着手し、昨季15試合で3本を数えた被弾の減少を宣言。前回の同施設で対話した昨季ナ・リーグ本塁打王のマット・オルソン内野手(29=ブレーブス)から打者心理などを聞く考えで、守護神返り咲きを期した。
年末年始の騒がしさも落ち着いた大阪空港に現れた湯浅の言葉は熱く力強かった。
「昨年、思うようにいかなかった分、シーズン通してチームの力になれるように。同じフォームで調子の波をなるべく少なくできるように、フォームをつくっていけたら」
日本シリーズ第4戦で見せた“湯浅の1球”で面目は保っても、レギュラーシーズンでは15試合の登板にとどまった。逆襲を期す24年。その出発点に米国を選んだ。
昨年12月も渡米し、動作解析でフォームを丸裸にした。今回も同じアトランタのトレーニング施設を再訪。浮き彫りとなった課題や修正点を基に「土台が分かっていれば戻るところもつくれる」と再現性の高いフォーム習得を掲げた。
“復権”の証明に掲げたのは被弾減だ。23年は許した3本塁打がすべて敗戦に直結した。ブレークした22年は大きく違う。59試合でわずか1被弾に加え、A・マルティネスに本塁打を打たれた7月1日の中日戦を最後にポストシーズンを含めて30試合連続で長打を許さなかった。
「今までホームラン自体、あまり打たれない方だった。リリースで力が伝わっていない分、ベース板(の上)が弱くなってる。一からフォームを見直しつつ、ベース板にいかに強く投げられるか。長打を打たれないようなバッターが嫌がるフォームを磨きたい」
同じ施設に進化を後押ししてくれる“助っ人”がいる。昨季ナ・リーグ最多54本塁打を放ったマット・オルソンの練習拠点で、昨年12月も同じ日に汗を流す機会に恵まれ、「少しだけ話すこともできた」と振り返る。「なかなか一緒に練習できる機会もない。聞けるチャンスがあれば、いろいろ聞いて、学べることはたくさんある」。メジャー屈指の強打者が嫌がるフォームとは…貪欲に生の声を聞いて吸収する。
狙うは守護神奪還。不振の間に代役から昨季35セーブを挙げた岩崎の「“どうぞ”と簡単に譲るつもりはない」という言葉を目にした。「それぐらいザキ(岩崎)さんが思ってくれた方が自分もやってやろうとなる。目指すところはそこ。ブレないです」。底力を試される一年が始まった。
【昨季は15試合で3被弾】昨季の湯浅は6月8日の楽天戦で1本目の被弾。4―3の9回に登板し、連続四球で2死一、二塁を招いて小深田に逆転本塁打を浴びてシーズン初黒星を喫した。同15日のオリックス戦では2―1の9回1死から頓宮にフォークを左中間席へ運ばれ、2死から杉本に左翼席へ推定140メートルの決勝被弾で敗戦投手。試合後に2軍降格が決まり、7月下旬に左脇腹の筋挫傷もあり、日本シリーズまで登板機会がなかった。
▽マット・オルソンとは 米ジョージア州出身の29歳。身長1メートル96、体重102キロ。右投げ左打ちの一塁手。12年ドラフト1巡目(全体47位)でアスレチックス入りし、16年にメジャーデビュー。18年にレギュラー定着し、19年は東京開催だったマリナーズとの開幕戦に出場。22年3月にトレードでブレーブス移籍。昨季は54本塁打と139打点でともに球団記録を更新して2冠王。メジャー通算899試合で打率・256、230本塁打、615打点。ゴールドグラブ賞2度(18、19年)。オールスター出場2度(21、23年)。今季年俸2200万ドル(約31億7000万円)。
《ストライダーら超大物も》アトランタの施設ではオルソンだけでなく、23年WBC米国代表だったゴールドシュミット(カージナルス)や昨季20勝&281奪三振をマークしたストライダー(ブレーブス)らメジャーの超大物も汗を流す。湯浅は昨年の帰国後も「僕が行った次の日にゴールドシュミットが来たみたい」と明かしていた。今回の米国滞在は10日間ほどで、ロサンゼルスでの自主トレも予定している。
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