首位攻防戦、近本の先頭弾、村上10勝目で快勝!

首位攻防戦、近本の先頭弾、村上10勝目で快勝!

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首位・阪神が、宿敵を相手にまさに快勝と呼ぶにふさわしい白星をつかんだ。
8月28日、約1カ月ぶりに本拠地・甲子園へ戻って迎えた巨人との首位攻防第1ラウンド。試合開始直後から主導権を握り、4-1で押し切った。7安打4得点という数字以上に際立ったのは、先制、中押し、追加点、そして投手陣の継投まで、必要な場面で必要な仕事を積み重ねた試合運びだった。

その流れを一振りで作ったのが近本光司だ。村上頌樹が初回表を三者凡退で片づけると、その裏、先頭で打席へ。巨人先発ハワードに対し、1ボール1ストライクからの3球目を振り抜いた。打球は右翼へ伸び、そのままポール際のスタンドへ。今季3号となる先頭打者本塁打で、阪神がわずか数分で先制した。

近本は試合後、チームに勢いをつける打席にしたかったと説明し、本人も驚く一発だったことを明かした。藤川球児監督も、この先制弾を「空気がパッと晴れたような一発」と表現した。長期ロードを終えて戻った本拠地。その最初の攻撃で飛び出した一発は、単なる1点以上のインパクトを持つ先制パンチになった。

近本にとって先頭打者本塁打は通算12本目。球団では今岡誠に並ぶ歴代4位となった。この日は2打席目こそ遊ゴロだったものの、4回の第3打席では右前打。最終的に4打数2安打1打点と、初回の一発だけでなく1番打者として攻撃の起点になった。

初回は近本の一発の後も阪神打線が簡単には終わらなかった。
中野拓夢が二ゴロに倒れた後、森下翔太が四球。佐藤輝明は三飛に倒れたが、大山悠輔も四球を選び、二死一、二塁までハワードを攻めた。髙寺望夢の中飛で追加点こそならなかったものの、ハワードは初回だけで2四球。結局、3回64球、4安打3失点でマウンドを降りた。

藤田平氏は、近本の先頭打者弾で阪神打線が活気づき、巨人に本来の野球をさせなかったと分析した。緒方孝市氏も、初回の森下と大山、3回の中野が選んだ3四球に注目。いずれも簡単に打ち取られずに粘った末の出塁で、主力がそれぞれの役割を果たした点に阪神の強さを見た。派手な一発で始まりながら、その後は四球も含めて相手に圧力をかける。初回からすでに、首位を走るチームの攻撃が表れていた。


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森下、佐藤、大山が一気に畳みかける 3回3連打と5回犠飛で突き放す

1-0のまま迎えた3回裏、阪神は上位打線のつながりでハワードを攻略した。先頭の近本は遊ゴロに倒れたが、続く中野が粘って四球を選ぶ。ここから中軸が一気に動いた。

森下が左前打を放って一死一、二塁。続く佐藤が1ボール1ストライクから右翼へ適時打を運び、中野が生還して2-0。なお一死一、三塁で大山も1ボール1ストライクから右翼へ適時打を放ち、森下が3点目のホームを踏んだ。中野の四球を起点に、森下、佐藤、大山の3連打。クリーンアップが切れ目なくつながり、阪神が試合の主導権を大きく引き寄せた。

藤川監督が試合後に語ったのは、打線の「連動」だった。誰か一人が決めるのではなく、前の打者が次へつなぎ、その走者を後続が返す。3回はその言葉をそのまま形にした攻撃だった。森下はこの日3打数2安打1四球。3回の左前打に続き、5回には先頭で二塁打を放ち、2度の得点機を作った。本人も、自分がチャンスを作って後ろにつなぐ役割を果たせたことに手応えを示している。

佐藤も4打数1安打1打点。3回の適時打ではハワードのチェンジアップに体勢を崩されながらも、打球を右方向へ運んだ。「いいところに飛んでくれた」と振り返ったこの一打で、巨人戦は5試合連続打点。その5試合はいずれも阪神が勝利している。4番の一打が、対巨人戦で勝利につながる形が続いた。

そして、この日の攻撃でひときわ渋く光ったのが大山だった。3回の右前適時打に加え、5回にも貴重な1点をもぎ取った。森下が無死から二塁打。佐藤の三ゴロで走者が三塁へ進み、一死三塁となった。ここで大山は3ボールから右翼へ犠飛を放ち、4-0とリードを広げた。

この4点目には森下の走塁も効いた。佐藤の三ゴロは高く弾む打球となったが、森下は三塁手の動きとカバーの状況を見て二塁から三塁へ進んだ。安打ではない打席でも一つ先の塁を奪い、その直後に大山が外野フライで返す。打つだけではない中軸の連係で奪った1点だった。

伊東勤氏はこの5回について、巨人側には3ボールとなった時点で大山を歩かせる選択肢もあったと指摘している。一方、阪神に必要だったのは本塁打ではなく確実な追加点。大山は右翼へ外野フライを打つという形で、その1点を手にした。今季9本目の犠飛は、2005年の今岡誠に並ぶ球団最多タイ。3回の適時打と合わせて2打点を挙げ、5番として勝負どころで仕事を完遂した。

前日の試合では得点圏で結果を残せなかった大山は、周囲に助けられたことにも触れた上で、この日の勝利を「チーム全員の勝ちだと思う」と表現した。亀山つとむ氏も、3、4番の後ろにいる大山を打線を支える存在として評価し、3回の適時打と5回の犠飛を大きな得点だったと見た。

阪神の7安打のうち、近本と森下が2安打ずつ。佐藤と大山も得点に直結する一打を記録した。4得点はすべて上位5人が絡んだものだった。7回には中野が左前打を放ったものの、森下の空振り三振と同時に中野が二盗に失敗して併殺となり、佐藤も一ゴロ。8回も大山の投ゴロ、髙寺の遊直、坂本誠志郎の空振り三振で三者凡退だった。それでも序盤から中盤に必要な点を取り切っていたからこそ、終盤は投手陣がリードを守る展開へ持ち込めた。

村上が5回2死まで完全投球 中9日で託された大一番を7回1失点

打線が序盤から得点を重ねる一方、マウンドでは村上が巨人打線を封じ込めた。初回は浦田俊輔を一ゴロ、佐々木俊輔と松本剛を連続空振り三振。2回もダルベックを遊ゴロ、大城卓三を二ゴロ、泉口友汰を右飛。3回は石塚裕惺を空振り三振、中山礼都を三ゴロ、ハワードを二ゴロ。4回も浦田を中飛、佐々木を二ゴロ、松本を中飛に打ち取り、4イニングを完全に抑えた。

最初の走者を許したのは5回二死。ダルベックを見逃し三振、大城を中飛に仕留めた後、泉口に右前打を許し、完全投球が途切れた。続く石塚にも中前打を浴びて一、二塁とされたが、中山をフルカウントから空振り三振。この日最初のピンチを無失点で切り抜けた。

6回は代打・平山功太を中飛、浦田を捕邪飛、佐々木を遊飛で再び三者凡退。4-0の7回は、先頭の松本を遊直に抑えた後、ダルベックに左前打、大城に右前打を許し、一死一、三塁。泉口の左犠飛で1点を失ったものの、石塚を投ゴロに仕留め、それ以上の反撃は許さなかった。

最終成績は7回109球、打者25人、4安打5奪三振、無四死球、1失点。これで今季10勝目に到達した。2年連続、通算3度目の2桁勝利。しかも、この大一番に向けて登板間隔を中9日まで空けて託されたマウンドだった。

藤川監督は村上について、回復力、継続力、そして投球の力強さを高く評価した。里崎智也氏が注目したのは、その徹底したストライク先行だった。村上が対戦した25人のうち、最初の2球までにストライクを取れなかった打者はわずか1人。24人、率にして96%で早いカウントからストライクを奪い、2ボール0ストライクになった打者も1人だけだった。

興味深いのは、巨人先発のハワードも同じようにストライク先行を実践していた点だ。里崎氏によれば、ハワードも16人中15人で最初の2球までにストライクを奪っていた。それでも結果は、村上が7回1失点、ハワードが3回3失点。両投手とも自分の投球スタイルを大きく崩していなかったからこそ、里崎氏は勝敗を分けたポイントを、勝負どころで相手を仕留めた阪神打線と、村上に封じられた巨人打線の差に求めた。阪神は走者を置いた場面を得点に変え、巨人は村上から5回二死まで一人の走者も出せなかった。

村上は夏場のコンディション維持について「水分補給と睡眠は絶対」と語り、普段より睡眠時間を約1時間増やしていることも明かしている。7月以降はこの試合を含めて4勝1敗、防御率1.33。開幕投手を任された責任を背負い、シーズンを通してローテーションを守るための準備を続けてきた。その積み重ねが、大一番での109球、1失点につながった。

緒方氏は村上だけでなく、坂本のリードにも着目した。序盤は力のある直球を中心に押し、打者が2巡目に入ると変化球を使って配球を変えたと分析。5回のピンチでは最後に三振を奪うなど、村上と坂本のバッテリーが巨人打線の反応を見ながら組み立てた点を評価した。無四球で7回まで運べた背景には、投手の制球力だけでなく捕手との呼吸もあった。

木下、工藤が反撃を完全遮断 首位攻防第1戦を制す

村上が7回を投げ切ると、阪神は8回から木下里都を投入した。先頭の中山を二ゴロ。代打・増田陸には8球粘られたが、最後は空振り三振。浦田も左飛に打ち取り、17球で三者凡退に封じた。木下はこれで10ホールド目。本人は「どの試合も1試合1試合大事」と話しており、首位攻防でも普段通りの役割を果たした。

9回は工藤泰成。佐々木を一ゴロ、松本を二飛と、わずか2人で二死を奪う。最後はダルベックに対して160キロを連発し、空振り三振。9球で試合を締め、今季6セーブ目を挙げた。甲子園では自身初セーブ。本人も「歓声を感じて力になった」と、スタンドの後押しを口にした。

村上、木下、工藤の3投手は、9イニングを通じて巨人に四死球を一つも与えなかった。被安打は4。失点は7回の犠飛による1点だけ。守備も無失策だった。巨人に得点圏まで進まれたのは5回と7回に限られ、5回は村上が三振で切り抜け、7回も最少失点で止めた。8、9回は走者すら許さず、反撃のきっかけを与えなかった。

攻撃では近本の先頭弾、3回の森下-佐藤-大山の3連打、5回の大山の犠飛。投げては村上が5回二死まで完全投球を続け、終盤は木下と工藤が三者凡退でつないだ。相手に追いつかれる場面は一度もなく、試合開始から終了まで阪神がスコアの上でも内容の上でも先手を取り続けた。

里崎氏はこの一戦を阪神の完勝、巨人の力負けと評した。亀山氏も4-1という点差以上に阪神の強さが出た試合と見ている。巨人も4回から西舘勇陽、6回に船迫大雅、7回に森田駿哉、8回に堀田賢慎と継投したが、阪神は序盤に奪ったリードを最後まで守り切った。藤川監督は、巨人がリリーフ陣を次々に投入して勝負をかけてきたことに触れ、最後まで怖さを感じていたとしながらも、選手たちの働きをたたえた。

この勝利で阪神は65勝49敗1分。2位巨人は63勝52敗2分となり、ゲーム差は2.5に広がった。対巨人は5連勝。夏の長期ロードを14勝9敗で乗り切り、約1カ月ぶりに戻った甲子園の最初の一戦で首位攻防を制した。観衆4万2644人の前で、先発から救援、上位打線まで、チームの核となる選手が役割を果たした。

そして29日の第2戦では、阪神が勝てば優勝へのマジックナンバー「23」、引き分けでも「24」が点灯する条件となった。だが、この日の価値はマジックだけではない。1番が試合を動かし、中軸が走者を返し、先発が長いイニングを支配し、救援陣が最後の6アウトを完璧に取る。7安打4得点、4被安打1失点、無失策、投手陣は無四死球。首位を走る理由を、そのまま9イニングに凝縮したような一戦だった。

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