才木が巨人戦11連勝 真夏の天王山を3タテでM21!

才木が巨人戦11連勝 真夏の天王山を3タテでM21!

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首位・阪神が、今季の行方を左右する2位・巨人との3連戦を3連勝で締めくくった。
30日の甲子園。阪神は巨人を3-1で退け、4連勝。巨人とのゲーム差を4・5に広げ、優勝へのマジックを「21」とした。安打数では阪神の7本に対して巨人は8本。両軍とも失策はなかった。それでも、得点機を一気にものにした阪神と、走者を出しながらあと一本が出なかった巨人。その差がスコアに表れた一戦だった。 

前日の死球の影響で森下翔太が先発を外れ、阪神は1番・近本光司、2番・中野拓夢、3番・佐藤輝明、4番・大山悠輔、5番・前川右京、6番・坂本誠志郎、7番・髙寺望夢、8番・元山飛優、9番・才木浩人というオーダー。

巨人先発・小笠原慎之介に対し、一回は近本が見逃し三振、中野が左飛、佐藤輝が遊ゴロ。二回も大山が遊ゴロ、前川が中飛、坂本が三ゴロに倒れ、最初の6人は完全に封じ込まれた。だが、打線が一巡した三回に流れは一変する。先頭の髙寺が左前打。元山が四球を選ぶと、打者は投手の才木。送りバントを試みた打球が投手への内野安打となり、無死満塁となった。ここで近本が放った打球は中堅へ抜けるかと思われたが、一塁走者の才木が二塁で封殺され、記録は珍しい「中ゴロ」。それでも三塁走者・髙寺が生還し、阪神が先制した。なおも一死一、三塁。近本が二盗を決めて二、三塁とすると、中野の打席途中で巨人捕手・大城卓三がアクシデントを訴え、甲斐拓也に交代した。

中断を挟んでも、中野の集中力は切れなかった。フルカウントから試合再開後の一球を中前へ運び、2者を迎え入れる2点適時打。3-0とした。中野にとっては実に25試合ぶりの打点。「打点がないというのは気になっていた」と振り返った背番号51が、勝負どころで一気に2打点をたたき出した。続く佐藤輝も死球で出塁したが、大山は中飛、前川は空振り三振。この回の得点は3点で止まったものの、結果的にはこれが決勝点となった。その後も五回に近本が左前打、六回には大山が右翼への二塁打、七回には近本の四球から中野が右前打を放って一、三塁としたが、追加点は奪えなかった。

近本は3打数1安打1打点、1四球、1盗塁。中野は4打数2安打2打点。小笠原は4回73球、4安打3失点で降板し、巨人は森田駿哉、堀田賢慎、中川皓太、田中瑛斗とつないで五回以降を無失点に抑えた。それでも阪神は、唯一のビッグイニングで試合の主導権を握った。藤川球児監督が評価したのは、下位から上位へ切れ目なくつながった攻撃だった。主砲だけに頼るのではなく、誰かが出れば次の打者が役割を果たす。森下を欠いた打線でも3点をもぎ取り、首位攻防戦を勝ち切った。




才木、6回103球無失点で“Gキラー”11連勝

3点を奪った打線以上に、この日の勝利を根底から支えたのが才木だった。
コンディション不良による離脱を挟み、中15日で戻ってきた右腕は、6回103球を投げて5安打、5奪三振、2四球、無失点。毎回のように楽に終わったわけではない。むしろ走者を背負いながら、そのたびに巨人打線の勢いを断ち切った。一回、浦田俊輔を中飛に打ち取った後、佐々木俊輔に二塁への内野安打を許す。それでもダルベックを空振り三振。さらに佐々木の二盗を坂本が阻止し、結果的に3人で攻撃を終わらせた。二回は大城を見逃し三振に仕留めた後、丸佳浩の右翼への打球に髙寺が前へ飛び込んだが捕球できず、二塁打となった。それでも泉口友汰を二飛、増田陸を左飛。得点を許さない。井川慶氏は、この二回を才木の好投を考える上で重要な場面に挙げた。髙寺のプレーは結果だけを見れば走者を二塁まで進める形となったが、前へ攻めたプレーだった。そして才木がそのピンチをゼロで切り抜けると、直後の三回には髙寺自身が先頭打者として左前打を放ち、3得点の起点となった。投手と野手が互いをカバーした場面だった。 

三回も簡単ではない。先頭・中山礼都に四球を与え、小笠原の投犠打で一死二塁。浦田を遊直に打ち取った後、中山に三盗を許したが、佐々木を空振り三振に仕留めた。最大のピンチは3点の援護をもらった直後の四回だった。ダルベック、甲斐を打ち取り二死とした後、丸、泉口に連打を浴びて一、三塁。ここで増田陸に対し、フルカウントから135キロのフォークを振らせ、空振り三振。右腕を振り下ろすと、才木は感情を前面に出した。五回は中山を空振り三振、代打・石塚裕惺を遊ゴロ、浦田を遊飛。この日初めて走者を一人も出さずに三者凡退で終えた。六回も二死から甲斐に四球、丸に右前打を許して一、二塁となったが、最後は泉口を147キロの直球で三飛。103球目まで巨人にホームを踏ませなかった。丸には才木から3安打を許した一方、他の打者には決定打を与えなかったことが大きかった。

才木自身はチームが前2試合で連勝していたことを受け、「自分もその勢いに乗って投げようと思っていました」と振り返った。これで今季8勝目。そして巨人戦は2024年7月30日から破竹の11連勝となった。巨人戦11連勝は1962~63年の中日・権藤博に並ぶ最多記録。しかも権藤の11勝が先発8勝、救援3勝だったのに対し、才木はすべて先発で積み上げた11勝だ。本人は「個人的には何とも思わない」と記録そのものには淡々。それでも巨人にとって、才木が大きな壁になっている事実は数字が示している。 

中西清起氏は、巨人打線が才木のフォークの見極めに苦しんでいる点を指摘した。この日の才木は決して圧倒的な制球で押し切ったわけではなく、球にばらつきもあった。それでも勝負どころではフォーク、直球を使ってアウトを奪った。その粘りを坂本も支えた。才木とバッテリーを組むのは6月16日の西武戦以来だったが、藤川監督も坂本のリードを評価。坂本はこの巨人3連戦すべてでマスクをかぶり、相手打線を3試合とも1点に封じた。



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及川を救った中野の好守、岩崎へつないだ“守り勝つ野球”

才木が六回を投げ切ると、阪神は七回から継投へ入った。
2番手は及川雅貴。先頭・増田陸を空振り三振に仕留めたが、中山に右前打を許した。続く代打・松本剛の打球は二塁方向へ。抜ければ状況が変わりかねない打球に中野が反応し、アウトを一つ奪った。最後は浦田を空振り三振。及川は1回14球、1安打、2奪三振、無失点でホールドを記録した。三回に2点打を放った中野は、バットだけでなく守備でも勝利に貢献した。前夜には守備でミスがあっただけに、この日は「何とか助ける守備を」と臨んでいたという。藤川監督も試合後、中野の好守が大きかったと振り返った。25試合ぶりの打点を挙げ、守っては救援陣を助ける。数字には2安打2打点と記されるが、それだけでは中野のこの日の働きを語り切れない。 

七回裏には阪神にも追加点の機会があった。巨人4番手・中川に対し、代打・ディベイニーは一邪飛。近本が四球を選び、中野の右前打で一死一、三塁とする。ここで佐藤輝だったが空振り三振。巨人が田中瑛斗にスイッチすると、大山は遊ゴロに倒れ、3点差のまま八回へ入った。そこを託されたのが岩崎優だった。先頭の佐々木を二ゴロ、ダルベックを遊ゴロ、甲斐を三ゴロ。わずか10球、三者凡退。淡々と1イニングを片づけて3番手の仕事を完遂した。一方の打線は八回、前川が一ゴロ、坂本が見逃し三振、髙寺が一ゴロと三者凡退。結局、阪神の得点は三回の3点だけだった。それでも崩れないのが、この日の阪神だった。先発が6イニングをゼロで運び、及川が七回、岩崎が八回を無失点。リードを1点も削られないまま九回へつないだ。坂本も3連勝を喜びながら「まだ何もなし得ていない」と浮かれる様子はなかった。

この3連戦、巨人の得点はいずれも1。スコアは初戦4-1、第2戦4-1、この日が3-1だった。中西氏は両軍の差について、単純な点差だけではなく、投手陣の「量」と「質」に注目。先発を計画的に整え、後ろには複数の選択肢を持つ阪神の陣容を高く評価した。実際、この日は才木から及川、岩崎へと役割通りにつなぎ、八回終了時まで巨人を無得点に封じた。派手な一発はなくても、先発、救援、守備が連動して試合を動かさない。藤川阪神が3連戦で示した強さの一つが、ここにあった。

4連投の工藤、二死満塁も最後は見逃し三振



最後も簡単には終わらせてくれなかった。九回、前日の死球の影響で先発を外れていた森下が右翼の守備に入り、髙寺が左翼へ回る。マウンドには工藤泰成。これが4日連続の登板だった。3-0。3点のリードを守れば、巨人との首位攻防戦3連勝が決まる。だが先頭の丸が中前打。この日、丸は4打数4安打となり、代走に平山功太が送られた。続く泉口には四球を与え、無死一、二塁。増田陸を三邪飛に打ち取り、中山を遊飛に仕留めて二死までこぎ着けたものの、代打・坂本勇人に四球を与えて満塁となった。坂本勇には代走・鈴木大和。

ここで打席には1番・浦田。工藤は左前へ適時打を運ばれ、平山が生還。3-1となり、なお二死満塁と一打同点の状況が続いた。迎えたのは佐々木。最後は見逃し三振だった。工藤は1回25球、打者7人、2安打、2四球、1奪三振、1失点。それでも同点打だけは許さず、今季8セーブ目をつかんだ。

これで工藤は4連投4セーブ。巨人との3連戦すべてでセーブを記録した。阪神投手が巨人との3連戦で3試合連続セーブを挙げたのは、2007年9月の藤川球児以来。その藤川が今は監督として、24歳の右腕に最後を託した。指揮官は4連投について、工藤が積み重ねてきた練習量とコンディションを踏まえた上で、この試合では「勝負としては外せない」と説明した。工藤もお立ち台では「マッスルストレートで、しびれさせます!」と力強く宣言。苦しい九回を投げ切った経験もまた、シーズン終盤へ向かう守護神の一ページとなった。

阪神はこれで巨人戦7連勝。シーズン中の巨人戦7連勝は阪神では1リーグ時代の1937年秋以来、実に89年ぶりとなった。3連戦開始時に1・5ゲームだった両軍の差は4・5ゲームへ拡大。阪神は67勝49敗1分、巨人は63勝54敗2分となり、前日に点灯した優勝マジックも「23」から「21」へ進んだ。8月は16勝9敗で終了。藤川監督は、負傷の影響で打席に立たなかった森下についても、ベンチから率先して声を出していたことを評価している。打った選手だけでも、投げた選手だけでもない。髙寺が出て、元山がつなぎ、投手の才木までが出塁し、近本と中野が走者を返す。才木を坂本が導き、中野が守備で及川を助け、岩崎が三者凡退でつなぎ、最後は4連投の工藤が締めた。

藤川監督が試合後に語ったように、まさに選手同士が「連動」してつかんだ3連勝だった。だからこそ、主将・坂本の「まだ何もなし得ていない」という言葉が重い。大きな3連勝を手にしても、シーズンはまだ終わっていない。ただ、宿敵との直接対決で3試合続けて1失点に抑え、優勝争いの主導権を一段と強く握ったことだけは間違いない。真夏の甲子園で、虎は数字以上に大きな3勝を積み上げた。

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