阪神がまたしても日本ハムの前に沈んだ。2026年5月28日、甲子園球場で行われた日本生命セ・パ交流戦、阪神対日本ハムの3回戦。阪神は初回に大山悠輔の右前適時打で先制しながら、3回に先発・木下里都が日本ハム打線につかまり逆転を許した。終盤9回には佐藤輝明が右翼席へ13号ソロを放って意地を見せたが、反撃はそこまで。2-4で敗れ、このカード3連敗。前日に続き、日本ハムに試合運びの差、勝負どころでの集中力の差を見せつけられる一戦となった。
立ち上がりは阪神の流れだった。1回表、先発の木下は水野達稀を一ゴロ、田宮裕涼を遊ゴロ、カストロを二ゴロに仕留め、3者凡退の好発進。その裏、阪神打線はすぐに動いた。先頭の髙寺望夢が中前打で出塁すると、中野拓夢が送りバントを決めて一死二塁。森下翔太は三ゴロに倒れたが、佐藤輝明が8球粘って四球を選び、二死一、二塁と好機を広げた。ここで5番・大山。追い込まれながらもライトへ運ぶ先制適時打を放ち、阪神が1点を奪った。甲子園の虎党が沸き、序盤の主導権を握ったかに見えた。
しかし、その後が続かなかった。なおも二死一、二塁で立石正広に打席が回ったが、結果は遊飛。追加点には届かなかった。2回裏は梅野隆太郎が遊ゴロ、熊谷敬宥が空振り三振、木下が一ゴロに倒れ、ここは3者凡退。先制直後に日本ハム先発・福島蓮を畳みかけることができなかったことが、後に重く響いた。
日本ハムも序盤は木下の前に流れをつかみ切れなかった。2回表はレイエスが中飛、万波中正が空振り三振。二死から清宮幸太郎が遊撃内野安打で出塁したが、郡司裕也は空振り三振に倒れた。阪神バッテリーは2回まで無失点。木下は球威で押し込む場面もあり、先制点を守りながら試合を進めていた。
だが、試合は3回に大きく傾いた。阪神はリードを奪ったものの、2回以降の攻撃で福島を崩せない。3回裏には髙寺、中野、森下が3者連続三振。逆転を許した直後の攻撃で反撃の気配を作れず、甲子園に流れを呼び戻せなかった。このあたりから、日本ハムの試合運びが阪神を上回っていく。スコアは僅差でも、勝負どころでの攻撃の厚み、流れを切らさない打席内容に、両軍の差が表れ始めていた。
3回表に暗転 四球から始まった逆転劇
最大の分岐点は3回表だった。木下は先頭の奈良間大己に粘られ、9球目で四球を与える。無死一塁。続く投手・福島は送りバント失敗で1アウトとなり、阪神としては一度、相手の狙いを断ち切った形だった。ここで踏ん張れば、先制した流れを保てた。しかし、続く水野に左翼への二塁打を許し、一死二、三塁。試合の空気は一気に緊迫した。
迎えた田宮に対し、木下はライトへの逆転2点適時打を浴びた。阪神1-2日本ハム。初回に奪ったリードは消え、試合はひっくり返された。さらにカストロにも詰まりながら右翼前へ落とされ、一死一、二塁。レイエスは右飛に打ち取り、二死までこぎつけたが、ここで万波に中前適時打を許す。スコアは1-3。清宮を二ゴロに打ち取って3アウトとしたものの、この回は8人攻撃を受け、4安打1四球で3失点。阪神は一気に主導権を奪われた。
痛かったのは、先頭四球から始まったことだけではない。送りバント失敗で1アウトを取った後に、水野の長打、田宮の逆転打、カストロのつなぎ、万波の追加点と、日本ハムに攻撃を線でつながれたことだった。大量点ではない。だが、必要な場面で必要な打者が役割を果たした。先制された直後でも焦らず、走者をため、長打で広げ、適時打で返す。日本ハムの攻撃には、試合を動かす明確な力があった。
木下は4回を投げ、90球、被安打5、奪三振2、与四球2、失点3、自責点3。1、2回は無失点で入っただけに、3回の崩れがそのまま敗戦に直結した。4回表も先頭の郡司に四球を与えたが、奈良間を右飛、福島の送りバントで二死二塁となった後、水野を遊直に仕留めて追加点は許さなかった。それでも、3回に失った3点は重すぎた。
阪神打線は4回裏、先頭の佐藤が左前打で出塁した。反撃の口火を切るには十分な形だった。だが、大山は見逃し三振。続く立石が併殺打に倒れ、無死一塁がわずか3人で攻撃終了に変わった。ここは「3者凡退」ではない。佐藤が出塁しながら、併殺で一気に流れを失った攻撃だった。こうした場面で畳みかけられないところに、この日の阪神の苦しさがあった。
5回裏にも小さなチャンスはあった。梅野が空振り三振、熊谷がセーフティバントを試みるも一ゴロで二死。ここで代打・福島圭音が中前打で出塁し、さらに盗塁を決めて二死二塁とした。しかし、髙寺はカウント2-2から空振り三振。足を使って得点圏まで進めながら、あと一本が出ない。日本ハムが3回に一気に3点を奪ったのに対し、阪神は走者を出しても得点へ結びつける力を欠いた。
福島を崩せず沈黙 終盤まで反撃の形作れず
日本ハム先発・福島蓮の前に、阪神打線は中盤以降、完全に勢いを封じ込められた。福島は7回を投げ、100球、被安打5、奪三振7、与四球1、失点1。初回に失点しながらも崩れず、2回以降は阪神に主導権を渡さなかった。3回裏の3者連続三振、4回裏の併殺、5回裏の二死二塁での三振。反撃の芽が出かかったところを、ことごとく摘み取った。
6回裏の阪神は中野が左飛、森下が二ゴロ、佐藤が一ゴロで3者凡退。中軸に向かう打順でも、福島を揺さぶることはできなかった。7回裏には先頭の大山が右前打で出塁したが、立石が右飛、梅野が左飛、熊谷が三ゴロ。4人攻撃ながら無得点に終わった。先頭打者が出ても、そこから塁を進める一手、相手に圧力をかける連打が出ない。試合をひっくり返すには、あまりに攻撃が単発だった。
一方で阪神救援陣も、中盤には踏ん張った。5回表から登板した湯浅京己は、先頭の田宮に四球を与えたが、カストロを6-4-3の併殺打に仕留め、レイエスを右飛。6回からは門別啓人が登板し、万波に右前打を許したものの、清宮を二ゴロ、郡司を三邪飛、奈良間を投ゴロに打ち取った。7回表は福島を三振、水野を遊ゴロ、田宮を二ゴロに抑え、ここは3者凡退。投手陣は3回以降、しばらく粘りを見せていた。
8回表はモレッタが登板。先頭のカストロに中前打を許し、代走・五十幡亮汰が送られた。レイエスを空振り三振に仕留めた後、万波の打席で五十幡が二塁を狙ったが、梅野の送球で盗塁死。さらに万波をワンバウンドする球で空振り三振に仕留め、結果的に3人で攻撃を終わらせた。ここは阪神にとって流れを呼び込める守りだった。
しかし、その裏の攻撃でも阪神は沈黙した。日本ハムは福島から島本浩也へ継投。阪神は代打・ディベイニーを送ったが、ワンバウンドの球に空振り三振。髙寺は二ゴロ、中野は三ゴロに倒れ、8回裏は3者凡退。守備で作った流れを攻撃に変えることができなかった。福島に7回まで試合を作られ、島本にも簡単に1イニングを抑えられる。日本ハムの継投は落ち着いており、阪神は終盤に入っても追い上げの形を作れなかった。
この日の阪神は31打数6安打2得点、10三振。髙寺、大山、佐藤、代打・福島圭音が安打を記録し、佐藤と大山は複数安打を放った。それでも得点は初回の大山の適時打と、9回の佐藤の本塁打だけだった。森下は4打数無安打2三振、立石は4打数無安打、梅野、熊谷も無安打。打線全体で日本ハム投手陣に重圧をかけ続けることができなかった。
前日に続き、日本ハムに実力差を見せつけられたという印象は、単にスコアだけから来るものではない。阪神にも安打は出た。走者も出した。救援陣が踏ん張った時間帯もあった。だが、試合を動かす場面で点に変えたのは日本ハムだった。阪神は好機を広げられず、日本ハムは好機を逃さなかった。その積み重ねが、2点差以上の重さを生んだ。
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9回の小技ににじんだ差 佐藤輝の一発も届かず
最後に勝敗を決定づけたのは、9回表の日本ハムの攻撃だった。阪神は5番手として工藤泰成を送ったが、先頭の清宮に右翼への二塁打を許す。無死二塁。続く山縣秀が送りバントを決め、一死三塁。日本ハムはここで一気に試合を終わらせにきた。奈良間は10球粘って四球を選び、一死一、三塁。さらに三塁走者の清宮に代えて矢澤宏太を送った。
9番・細川凌平の打席。日本ハムはセーフティスクイズを仕掛けた。大山のフィルダースチョイスにより細川も出塁し、三塁走者が生還。スコアは1-4となった。続く水野は1-6-3の併殺打に倒れたが、日本ハムはこの回、きっちり1点を追加した。安打、犠打、四球、代走、スクイズ。長打で一気に突き放したのではない。小さなプレーを積み上げ、阪神の反撃圏を遠ざけた。
この1点が、あまりに大きかった。もし2点差のまま9回裏を迎えていれば、佐藤の本塁打で1点差となり、甲子園の空気は大きく変わっていた。だが、日本ハムはその前に3点差へ広げた。試合終盤、相手の反撃を想定し、その芽を先に摘み取る。そこに、このカードで阪神が見せつけられた差があった。前日に続いて、日本ハムは派手な大量得点ではなく、勝つために必要な1点を取り切った。
9回裏、阪神も意地は見せた。日本ハムは柳川大晟をマウンドへ送る。先頭の森下はハーフスイングを取られて空振り三振。一死走者なしとなったところで、佐藤が右翼席へ13号ソロを放った。スコアは2-4。甲子園に大歓声が戻り、4番の一振りが虎党の胸を揺さぶった。だが、続く大山は中飛。最後は立石が空振り三振に倒れ、試合終了。佐藤の一発は反撃の狼煙になり切れなかった。
阪神にとっては、悔しさだけが残る敗戦だった。初回に理想的な形で先制しながら、追加点を奪えず、3回に逆転を許す。中盤は救援陣が粘ったが、打線が応えられない。終盤にはスクイズで突き放され、最後の本塁打も届かない。スコアは2-4。接戦に見える数字の裏側で、日本ハムの方が勝負どころを押さえ、阪神の方があと一歩を逃し続けた。
この試合で阪神が突きつけられたのは、打力や投手力の差だけではない。先頭四球を得点に変える力。二死からもう一本を出す集中力。先頭打者が出た回に相手を楽にさせない攻撃。終盤に1点を取り切る小技。リードを守る継投。日本ハムはそれらを試合の中で示し、阪神はその多くをやり返せなかった。前日に続き、甲子園で見せられたのは、勝ち方を知るチームとの差だった。
もちろん、阪神にも材料はあった。佐藤は3打数2安打1打点1得点1四球、9回には13号ソロ。大山も4打数2安打1打点で初回に先制打を放った。門別、モレッタら救援陣も無失点でつないだ時間帯があった。だが、勝利には届かなかった。個の好材料があっても、試合全体を動かす力にならなければ、白星は遠い。
甲子園に詰めかけた虎キチにとっては、悔しい夜となった。前日に続き、日本ハムに実力差を見せつけられ、カード3連敗。先制しても勝ち切れず、反撃しても届かない。阪神はこの敗戦を、単なる交流戦の1試合として片づけるわけにはいかない。勝負どころの一球、一打、一走、一犠打。その細部で上回られた2-4の敗戦は、タイガースにとって立て直しを迫る警鐘となった。
