序盤で一気に崩れ完敗、1勝1敗で甲子園へー。

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2025年10月26日、日本シリーズ第2戦。舞台はみずほPayPayドーム。
阪神はシリーズ初戦を白星でスタートし、この日も勢いを持ち込みたい一戦だったが、結果は1−10。スコアボードだけを見れば完敗という表現しか残らない試合になった。ただ、その中身は「序盤で一気に持っていかれた試合」。少しずつ削られていったのではなく、短時間で一気に試合を決められた夜だった、というのが正確な実感だ。

先制したのは阪神だった。1回表、先頭の近本はセカンドゴロで1アウトとなったが、中野がセンター前ヒットで一塁に出る。続く森下はショート方向への二塁打で、一死二、三塁の先制機をいきなり作った。ここで4番の佐藤輝。1アウト二、三塁の1−1からライトへのタイムリーヒット。これで阪神が1−0と先に試合を動かした。一、三塁とさらにチャンスは広がったが、大山は空振り三振。ただこの間、一塁走者の佐藤輝がスタートを切っていて盗塁を決め、二死二、三塁と得点圏は維持されたが、続く髙寺も空振り三振。阪神は1点止まりで攻撃を終えた。

このイニングは「最高の形で点は取ったのに、もう1本が出なかった」という悔いが残る。ここで2点目、3点目まで行けていれば試合全体の見え方は大きく変わったはずだ。

問題は、1回裏だった。サプライズ先発となったデュプランティエは、シリーズの大舞台で先手をもらった直後のイニングをゼロでしのぎたい場面だったが、ソフトバンク打線が一気に襲いかかってきた。1番の柳田がレフトへのヒットで出塁。2番の周東もライトへ運び、無死一、二塁。相手のミスがあり一死二塁になったものの四球で一、二塁。4番近藤は空振り三振で2アウト目を取ったが、5番栗原がライトへ同点タイムリーヒット。続く6番山川もライト方向へのタイムリーツーベースを打ち、1-3と一気に逆転された。

このイニングは、本当に痛かった。阪神は先制したにもかかわらず、その直後にほぼ試合の主導権を奪われた。短期決戦では、モメンタムを掴む事が何よりも重要。1点を取って喜んだ直後にここまで持っていかれると、正直息がつまる展開だった。

 

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ソフトバンクは止まらない。2回裏、9番牧原が四球で出塁し、さらに盗塁で二塁へ進む。2アウト二塁で2番周東。この周東がレフトへのタイムリースリーベース。さらに続く柳町はフルカウントから四球を選ぶと、この間デュプランティエの暴投も記録され、1−5。続く4番近藤がライトへタイムリーツーベースを放ち、これで1-6と早くも大差がついてしまった。

阪神はここでついに投手交代。デュプランティエから岩貞につないだ。岩貞がマウンドに上がった場面では、打席は5番栗原。すっぽ抜けのボールが当たってデッドボールになり、再び一、二塁。そして6番山川が左中間への3ランホームラン。これで勝負は決した。まだ2回裏が終わっていないのに、ビジターの阪神は8点ビハインドを背負うことになった。1イニングで6点、2イニングで9失点。点差だけではなく、流れも球場の熱も完全に相手側に移ってしまった。

大量ビハインドの状況下でも、3回、4回を0で抑えたのは、阪神側から見れば「これ以上壊さずに試合を長くする」ための最低限の意地だったと思う。正直、ここまでの攻防でようやく「落ち着いた」と言える時間帯が訪れた。大量ビハインドの中でも、阪神の投手陣がズルズルいかず、試合を止めたことは、次戦以降を考える上で小さくない。

しかし5回裏、ソフトバンクは再び圧力をかけてくる。2アウトまでは良かったが、柳田がセンター前ヒット、周東もセンター前ヒットで一、三塁。柳町の打席で伊原の暴投、その間にソフトバンクは1-10とさらにリードを広げた。

6回裏、投手は伊原からドリスにスイッチ。伊原に続きドリスも無失点で凌ぐ。スコアは動いていないが、リリーフ陣が踏ん張り続けている。この「踏ん張り続けた」という事実は、今後のシリーズにとっても重要な意味を持つ。大量失点のあとでも、ズタズタに崩壊したわけではない。

7回裏、阪神はドリスから湯浅に交代。牧原がセカンドゴロ、柳田が見逃し三振。ここまで散々苦しめられた柳田相手に、見逃し三振で2アウト。2アウトから周東がレフトへのツーベースで二塁に進んだが、柳町をセカンドゴロで仕留め、無失点で切り抜けた。

8回表は阪神の捕手坂本に代打梅野、続いて島田の打席には代打小野寺。ここは両者とも三振で2アウト。近本がレフトへヒットを放って一塁に出るが、得点には繋がらない。8回裏は湯浅から畠にスイッチ。きっちり3人で抑える事に成功した。

9回表、最後の攻撃に入った阪神は森下が四球で出塁。無死一塁で佐藤輝はショートライナー。大山はライトフライで2アウト。ここで6番には途中から出場しているヘルナンデスが打席に入り、内野安打で一、二塁と粘りを見せる。7番の熊谷は0−2からのワンバウンド球に空振り三振で試合終了。阪神は最後に走者を2人残しながらも得点を奪えず、1−10で試合を落とした。

スコアそのものは厳しいが、9回表も「淡々と3人で終わり」にはならなかったことは、せめて次戦に向けて気持ちをつなげられる材料であった。
打線は7本のヒットを打ちながら、得点は初回に挙げた先制点のみ。1−10という大敗は屈辱的な結果となってしまった。

しかしシリーズはこれでまだ1勝1敗。大量失点の直後からは継投陣が失点を食い止め続けたこと、9回表に最後まで走者を出して食らいついたこと、主力だけでなく代打メンバーや中継ぎ陣もゲームの中に入っていったこと。そこには「日本シリーズを戦うチーム」の形が顕わになった。

甲子園に舞台が移る第3戦。この日の悔しさを晴らす快進撃を、4万大観衆の前で見せてくれるはずだ。

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