首位攻防戦、雨の第2Rも完勝!「マジック23」点灯

首位攻防戦、雨の第2Rも完勝!「マジック23」点灯

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首位攻防戦の第2ラウンドで、阪神がまたしても巨人を押し切った。
2026年8月29日の甲子園。阪神は4-1で巨人を下し、中日戦から続けて3連勝。2位・巨人との直接対決も2連勝とし、ゲーム差を3・5に広げて優勝マジック「23」を点灯させた。

数字だけを見れば3点差の快勝だが、序盤は決して一方的ではなかった。先発・大竹耕太郎は初回、1死から佐々木俊輔に左前打を許し、松本剛の送りバント失敗で2死となった後、ダルベックにも右前打を浴びて一、三塁。だが、大城卓三を投ゴロに仕留めて無失点で切り抜けた。一方の阪神も、初回2死から森下翔太が右翼へ二塁打を放ったものの、佐藤輝明が空振り三振。二回は坂本誠志郎が四球を選んだが元山飛優が空振り三振に倒れ、三回も先頭の大竹が右前打で出た直後、近本光司が4-6-3の併殺打。巨人先発・田中将大も粘り、3回まで0-0が続いた。

均衡を破ったのは四回だった。森下が右飛に倒れた後、佐藤輝が右翼へ二塁打。大山悠輔は左飛で2死となり、巨人ベンチは6番・髙寺望夢を申告敬遠した。2死二塁からあえて一、二塁として、右打者の坂本との勝負を選択した形だ。ところが、その選択を坂本がひっくり返す。1ボール1ストライクから田中将のツーシームを左前へ運び、二塁走者の佐藤輝が生還。先制点を奪うと、一塁走者の髙寺は三塁まで進んだ。坂本は「あの展開だったので、先制のチャンスで結果を残せて良かった」と振り返った。さらに2死一、三塁で元山が0ボール2ストライクから二塁方向へ転がし、浦田俊輔の懸命な守備を上回って一塁を駆け抜ける適時内野安打。髙寺が2点目のホームを踏んだ。元山も「誠志郎さんが作った熱い流れを後ろにつなごうと思った」とコメント。坂本から元山へ、下位打線がつないだ2点だった。

この日の阪神は近本、中野、森下、佐藤輝、大山、髙寺、坂本、元山、大竹という並び。最終的には先発9人のうち髙寺を除く8人が安打を記録し、髙寺も申告敬遠で出塁して得点、さらに七回には盗塁を決めた。誰か一人の長打で流れを変えたのではなく、上位から下位、さらに投手までが塁に出る形で10安打を積み重ねたことが、この試合の攻撃を象徴していた。

この場面では、明らかに巨人の申告敬遠が裏目に出た。坂本は直前の27日中日戦で逆転2ランを放ち、8月はこの試合前までに7本塁打。にもかかわらず巨人は髙寺との勝負を避けた。試合後、橋上秀樹監督代行は、左右や打者の状態などを総合的に判断したと説明したうえで、「結果を考えれば選択ミスだった」と認めている。そして坂本自身も、ただ勢い任せに振ったわけではなかった。OBの鳥谷敬氏は、初球のカーブに対する坂本の反応を踏まえて巨人バッテリーが内角のツーシームを選んだと分析し、その球種変更を坂本が読んで対応した「キャッチャーらしいバッティング」だったと評した。捕手として相手の意図を読む力が、そのまま勝負を決める一打につながったと言える内容だった。

71球で6回無失点 大竹と坂本が作った“打たせて取る”投球術

2点の援護を受けた大竹は、そこから一段と落ち着いた。初回に2安打を許した後は、二回から五回まで12人連続でアウト。二回は坂本勇人を三ゴロ、泉口友汰を投直、平山功太を右飛。三回は田中将を空振り三振、浦田を二ゴロ、佐々木を一ゴロ。四回には松本を遊ゴロ、ダルベックを遊ゴロ、大城を二ゴロと、巨人の3、4、5番を3者連続の内野ゴロに仕留めた。五回も坂本勇を二飛、泉口を一ゴロ、平山を中飛。巨人打線は、大竹の球を強く外野へ運ぶことさえ難しい時間が続いた。六回、先頭の代打・石塚裕惺を投直に取り、1死から浦田に左前打を許したが、佐々木を右飛、松本を二直。結局、大竹は6回71球、被安打3、2奪三振、無四球、無失点。今季5勝目を手にした。

大竹が対戦したのは21打者。許した走者は、初回の佐々木とダルベック、六回の浦田の3安打による3人だけで、四球も死球もなかった。奪三振は2個にとどまりながら71球で6回を完了したのは、早いカウントから打たせてアウトを重ねたからこそ。実際、巨人の32打数4安打のうち2安打は浦田、残る2本は佐々木とダルベックで、松本、大城、坂本勇、泉口、平山らには最後まで安打を許さなかった。

その71球の中身には、坂本のリードと大竹の投球術が凝縮されていた。里崎智也氏は、前日の村上頌樹と球速帯が大きく違うにもかかわらず、坂本が初戦から続けて内角を意識させる配球を徹底した点を高く評価した。130キロ台の直球でも内角を有効に使うことで打者を詰まらせ、そこから変化球へつなぐ。さらに大竹自身もクイックを織り交ぜ、投球フォームのリズムに強弱をつけてタイミングを外していたという。特に四回の松本、ダルベック、大城を3者連続内野ゴロに仕留めた場面は、その組み立てが端的に表れた3打席だった。速球でねじ伏せるのではなく、同じ球速でも打者に速く感じさせ、変化球でリズムを崩す。巨人打線が二回から五回まで一人も走者を出せなかった背景には、球速表示だけでは測れない駆け引きがあった。

大竹は登板前から、この一戦を必要以上に特別視していなかった。首位攻防戦、伝統の一戦、勝てばマジック点灯という条件がそろっても、「目の前の勝負をしっかりやっていく」と話していた。その言葉通り、走者を背負った初回も慌てず、二回以降は一つずつアウトを積み重ねた。打者としても三回先頭で右前打を放っており、2打数1安打。四回の第2打席では7球粘った末に空振り三振に倒れたが、投手としてはその直後の五回表をわずか3人で片づけた。女房役の坂本は打っても3打数2安打1打点1四球。二回に四球、四回に先制打、六回にも中前打を放ち、七回は一飛。守っては大竹を6回無失点へ導いた。先制打だけを切り取ってもヒーローだが、この日の坂本は攻守の両面で試合の中心にいた。


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再び申告敬遠 森下死球で球場は騒然・・・

阪神打線は、四回の2点で終わらなかった。五回、先頭の近本が右翼への二塁打で出塁。中野拓夢の二ゴロで三塁へ進み、森下の遊ゴロでは本塁へ突っ込まず2死三塁となった。ここで田中将は佐藤輝に3ボールとした後、申告敬遠を選択。四回の髙寺に続いて、2イニング連続で敬遠によって次打者との勝負を選んだ。しかし今度は大山が応える。1ボール0ストライクから中前へ適時打を運び、近本が生還して3-0。一、二塁から髙寺を迎えたところで巨人は田中将から船迫大雅へスイッチし、髙寺は左飛に倒れた。田中将は4回2/3、90球、7安打、5奪三振、3四球、3失点。三回まで阪神を無得点に抑えながら、四回と五回の申告敬遠後にいずれも適時打を許したことが、試合の分岐点となった。

六回は坂本の中前打から元山が送りバントを決め、代打・前川右京の一ゴロで2死三塁まで進めたが、近本が二ゴロで無得点。それでも、攻撃の手を止めずに迎えた七回だった。1死走者なしで森下が打席に入ると、巨人3番手・赤星優志の148キロの直球が左手首付近を直撃。森下はその場に倒れ込み、和田豊ヘッドコーチらが駆けつけた。自力でベンチへ戻ったものの、その後は代走・福島圭音が送られて途中交代。藤川球児監督もグラウンドへ出て土山球審と何度も言葉を交わし、甲子園は大きなブーイングに包まれた。森下は試合途中、患部をアイシングしながらクラブハウスへ引き揚げ、「今は言えることがありません。様子を見てという感じです」とだけ話した。

騒然とした空気の中でも、阪神の攻撃は途切れなかった。代走・福島を一塁に置き、佐藤輝が中前打。一気に一、三塁とすると、大山の二ゴロを二塁手・浦田が処理して二塁へ送球したが、打者走者を含めて併殺を完成できず、記録は野選。その間に福島が生還し、4点目を奪った。ここは「失策」ではなくフィルダースチョイスによる得点で、大山にはこの日2打点目が記録された。巨人は赤星から泉圭輔へ交代。髙寺の一ゴロで2死一、三塁となった後、髙寺が二盗を成功させたが、坂本は一飛に倒れてこの回は1点止まり。それでも、主軸の森下がアクシデントで退いた直後に、代走・福島、佐藤輝、大山がつないで追加点を奪った事実は大きかった。阪神はこの日、佐藤輝が3打数2安打1四球、大山が4打数1安打2打点、髙寺が3打数無安打ながら1四球1盗塁。打線全体で10安打4得点を挙げ、長打だけに頼らず、四球、進塁、内野ゴロまで得点に結びつけた。

しかも七回の4点目は、森下の代走として急きょ入った福島が生還したものだった。アクシデントで攻撃の流れが切れてもおかしくない場面で、佐藤輝が一、三塁を作り、大山が内野に転がして1点をもぎ取る。四回の坂本、元山、五回の大山とは形が違うが、「次の打者へつなぎ、走者を返す」という点では一貫していた。

工藤が締めた 巨人戦6連勝で連覇へのマジック点灯

七回からマウンドを引き継いだドリスは、ダルベックと大城を連続空振り三振、坂本勇を中飛に仕留めて3者凡退。ところが八回、3番手の及川雅貴が先頭・泉口を打ち取ったかに見えた二ゴロで、中野の一塁悪送球により出塁を許した。阪神は一塁セーフの判定を巡ってリクエストしたが、判定は変わらず。続く平山の打席で及川が暴投し、走者は二塁へ。平山を二飛に取り、代打・増田陸の左飛で2死三塁としたが、浦田に1ボール0ストライクから適時内野安打を許し、4-1。さらに佐々木を四球で歩かせ、一、二塁となったところで藤川監督は木下里都を投入した。木下は松本を右飛。巨人の反撃を1点だけで止めた。及川の失点は、中野の失策から始まったため自責点はつかなかった。

八回裏の阪神は、元山が中飛、代打・糸原健斗が一ゴロで2死。そこから近本が7球粘って四球を選び、中野が左翼へ二塁打を放って二、三塁まで攻めたが、福島が左飛に倒れて追加点はならなかった。そして九回、マウンドには工藤泰成。先頭のダルベックを高めの球で空振り三振、大城を遊ゴロ、最後は坂本勇を一ゴロに打ち取った。13球で3者凡退。工藤は今季7セーブ目を挙げた。阪神の継投は、大竹の後をドリスが1回無安打2奪三振、及川が2/3回1安打1四球1失点ながら自責0、木下が1/3回無失点、工藤が1回無安打1奪三振。巨人の反撃機会を八回だけに封じ込めた。

最終スコアは4-1。阪神は10安打、巨人は4安打。本塁打は両軍なく、阪神は四回に坂本と元山、五回に大山、七回に大山の野選で1点を積み上げた。観衆4万2646人、試合時間は3時間16分。これで阪神は3連勝となり、巨人戦は2007年以来19年ぶりの6連勝。2リーグ分立後の球団最長タイとなった。巨人とのゲーム差は3・5へ広がり、巨人の自力優勝の可能性は消滅。阪神には優勝マジック23が点灯した。2リーグ制以降、阪神が2年連続で優勝マジックを点灯させるのは初めてで、現日程での最短優勝は9月14日となる。

ただ、マジック「23」はゴールではない。鳥谷敬氏も、10を切るくらいにならなければ選手には終わりが見えてこないとして、点灯しただけで安心する数字ではないと指摘した。それでも、この2日間で阪神が巨人に与えた重圧は小さくない。前日は村上、この日は大竹が先発として試合を支配し、打線は四番だけ、クリーンアップだけに頼らず、坂本、元山までが得点を生み出した。里崎氏が指摘したように、巨人打線には2試合続けて内角を軸とした配球への明確な打開策を与えなかった。鳥谷氏も、得点だけでなく「点の取り方」「ピッチャーの抑え方」という部分で巨人がダメージを受けていると見た。派手な一発はなくても、先発が抑え、相手の選択を下位打線が打ち返し、追加点を奪い、終盤のピンチを継投で止める。球団史上初のセ・リーグ連覇へ向けて、阪神が首位にいる理由をそのまま形にしたような雨中の決戦となった。

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