2025年シーズン、阪神タイガースは前半戦を首位で独走状態にある。。一昨季日本一に輝いた実力は本物だったことを証明する戦いぶりであり、特に「投手力」という阪神野球の伝統を今季も遺憾なく発揮した前半戦だった。チーム防御率は堂々のリーグトップ。先発陣・中継ぎ陣ともに不慮の事故に遭った石井以外には大きな故障者もなく盤石に機能し、連敗を防ぐ安定感、接戦をモノにする勝負強さが際立った。
まず先発陣を見渡せば、大黒柱・村上頌樹の安定感は別格だった。ここまで前半戦を終えて8勝3敗、防御率は2.22。イニングイーターとして、チームに勝ち星をもたらすだけでなく、ブルペンを休ませる役割も果たした。その村上に続く形で、才木浩人も7勝でキャリアハイを狙う投球を続けている。6月下旬には自己最多の月間4勝を記録。最速157キロの直球と落差あるフォークのコンビネーションは今季さらに磨きがかかり、左右問わず相手打線を封じ込めた。
また、伊藤将司も完全復活を印象づけた。大崩れしない投球術は今季も健在で、左腕ならではの緩急を操った投球は、相手に的を絞らせなかった。大竹耕太郎とルーキー伊原陵人、さらには新助っ人のデュプランティエも安定感を増しており、先発ローテーションは6人すべてが5回以上を計算できる充実ぶりだ。大きな故障者を出さず、1年間ローテを回すという意味でも、阪神の「層の厚さ」はセ・リーグ随一といえる。
さらにブルペン陣は、今季もセ・リーグ屈指の安定感を誇る。「勝利の方程式」に加わったのは岩崎、桐敷、及川、ここに復活を果たした湯浅に石井が加わった。岩崎は春先こそ不安定な場面も見られたが、6月以降はかつての安定感を取り戻し、ピンチでも動じないベテランらしいマウンドさばきで虎キチを安心させた。桐敷の成長も特筆すべき点だ。昨季は先発、中継ぎを併用されていたが、今季はリリーフに専念。特に左打者相手には無類の強さを見せ、相手ベンチの采配を狂わせる場面も少なくなかった。ブルペンの柱として、後半戦も大いに期待できる。彼らの活躍により、先発が早期降板した試合でも大崩れを防いできた。これが大型連敗を防ぐ大きな要因となっている。ブルペン全体として防御率は1点台中盤。奪三振率もリーグトップクラスで、三振でピンチを断つシーンが目立ったのも今季の特徴だ。
Tiktok動画はこちら
こうした投手陣の充実ぶりが、攻撃陣の不振をカバーした部分は大きい。開幕から好調だった近本光司、中野拓夢の1・2番コンビは夏場に入りやや疲労も見え始めたが、前川右京ら若手が粘り強い打撃で脇を支えた。そして何より今季は森下、佐藤輝、大山のクリーンナップの好調がチーム浮上に直接影響している。打線は派手ではないものの、8回終了時点でリードしていれば9割以上の確率で勝利を手にできる戦い方は、投手陣への信頼あってこそ。接戦を落とさないことで、貯金を積み上げる阪神らしい勝利の方程式が確立された前半戦だった。
また、藤川新監督の継投采配も光った。無理をさせず、淡々と勝ちパターンに繋ぐ姿勢は一貫しており、早い回での継投にも迷いがなかった。昨秋のキャンプ時から積み重ねたチーム内の信頼関係が、こうした采配の裏付けとなっている。阪神らしさを取り戻した「守り勝つ野球」の継続は、後半戦も変わらないだろう。
振り返れば、交流戦では7連敗と大ブレーキを喫してしまったが、セ・リーグの他球団も総崩れで首位の座は揺るがなかった。後半戦へ向けても投手陣に大きな不安はなく、むしろ勝利の形はより明確になった印象だ。
阪神の貯金を切り崩さない安定した戦いぶりが、他球団にとっては脅威となる。セ・リーグ王座奪回への道は、目の前にしっかりと続いている。後半戦も「投手王国・阪神」が盤石である限り、その歩みは止まらないだろう。

