首位を走る阪神が、甲子園で痛恨の完封負けを喫した。
20日に行われたDeNAとの11回戦は、打線がわずか3安打に封じ込まれ、終盤には救援陣も踏ん張り切れず、0―7の大敗。先発・大竹耕太郎は粘りの投球を続けながら5回に先制ソロを浴び、6回途中1失点で降板。その後は8回、9回とリリーフ陣が失点を重ね、最後は7点差まで広げられた。打線も再三得点圏へ走者を送りながらあと一本が出ず、最後まで本塁を踏めなかった。DeNAは9安打7得点、阪神は3安打無得点。数字以上に内容の差を感じさせる一戦となった。
試合前の時点で阪神は47勝38敗1分け。巨人と首位を並走する状況だけに、本拠地で確実に勝っておきたいゲームだった。一方のDeNAは中10日で平良拳太郎を先発に送り込み、阪神は16日ぶりの登板となる大竹耕太郎をマウンドへ。ともにベテラン右腕、左腕による投げ合いとなり、立ち上がりからテンポ良く試合が進んだ。
大竹は初回、先頭・勝又温史に左前打を許したものの、続く牧秀悟を見逃し三振。佐野恵太を二ゴロ、エンカーナシオンを三ゴロに打ち取り、無失点で滑り出す。2回は宮崎敏郎を投ゴロ、蝦名達夫を遊ゴロ、宮下朝陽を右翼飛。3回も古市尊を遊ゴロ、平良を見逃し三振、勝又に中前打を許したが牧を三ゴロに打ち取り、3回まで無失点。走者を出しても要所を締める、大竹らしい投球が続いた。
その大竹を援護したい阪神打線だったが、相手先発・平良の前に思うようにリズムを作れない。初回は近本光司が中飛、福島圭音が二ゴロ、森下翔太が空振り三振。わずか10球余りで三者凡退に終わる静かな立ち上がりだった。
最初の好機は2回だった。
先頭の佐藤輝明は左飛に倒れたものの、大山悠輔が逆方向へきれいにはじき返して中前打。さらに髙寺望夢が四球を選び、一死一、二塁とこの試合初めて得点圏へ走者を進める。しかし坂本誠志郎は三邪飛、小幡竜平は空振り三振。5番・大山の安打を生かせず、先制のチャンスを逃した。試合後に振り返れば、この場面が阪神にとって最も流れを引き寄せられる機会の一つだったと言える。
3回にも阪神はチャンスを迎える。
大竹は空振り三振に倒れたが、近本が左飛の後、福島が死球で出塁。さらに二盗を決めて得点圏へ進み、森下も四球を選んで二死一、二塁とした。ここで打席には4番・佐藤輝。スタンドの期待は一気に高まったが、外角球を捉え切れず中飛。2イニング連続で得点圏に走者を送りながら、あと一本が出なかった。
一方の平良は、この2度のピンチを切り抜けると徐々に本来の投球を取り戻していく。持ち味の制球力に加え、要所では低めに変化球を集め、阪神打線に決定打を許さない。阪神は4回、大山の遊ゴロ、髙寺の遊飛、坂本の空振り三振で三者凡退。ここから流れは完全にDeNAへ傾き始める。
そして均衡は5回に破られた。
先頭で打席に入った7番・宮下朝陽。大竹が投じた3―1からの一球を振り抜くと、打球は右翼スタンドへ一直線。今季3号となる先制ソロが甲子園の右翼席へ飛び込んだ。大竹は直後に古市を二飛、平良を3球三振、勝又を二ゴロと後続を断ち切っただけに、悔やまれる一球となった。それでも6回途中まで5安打1失点。試合を壊さなかった内容だけを見れば責められる投球ではなく、援護のなかった打線との対照が際立つ展開だった。
その裏、阪神も反撃を試みる。
先頭・小幡は空振り三振だったが、大竹が左前打で自ら出塁。しかし近本は二飛、福島も二ゴロ。再び走者を残したまま攻撃を終える。序盤5回までで阪神は3度得点圏へ走者を送りながら無得点。DeNAはわずかな好機を宮下の一発で得点につなげたのに対し、阪神は流れをつかみ切れなかった。勝敗を分ける最初のポイントは、この「あと一本」の差だった。
6回の粘投実らず…継投策も実らず終盤に試合が決壊
1点を追う展開となった阪神だったが、先発・大竹耕太郎は大量失点を許すことなく、試合を終盤へ持ち込もうと懸命の投球を続けた。
6回の先頭・牧秀悟を三ゴロに打ち取り、続く佐野恵太も二ゴロ。簡単に二死までこぎ着けたものの、ここからDeNA打線の粘りが大竹を苦しめる。
4番エンカーナシオンとの対戦では9球に及ぶ勝負となり、最後は四球。さらに宮崎敏郎には鋭い当たりの内野安打を許し、二死一、二塁。阪神ベンチはここでコーチがマウンドへ向かい、間を取ったが流れは変わらない。続く蝦名達夫の場面で早めの継投を決断し、大竹に代えて木下里都を送り出した。
この交代は結果的に成功する。
木下はカウント1―2と追い込むと、最後は外角低めいっぱいのストレートで蝦名を見逃し三振。ピンチを切り抜け、追加点を与えなかった。六回途中から登板した若い右腕は、ベンチの期待に応える力強い投球を見せ、甲子園の空気を一度は引き戻した。
先発・大竹の成績は5回2/3を投げ、被安打5、奪三振3、与四球1で1失点。唯一の失点は宮下に浴びたソロ本塁打だった。走者を背負う場面は少なくなかったが、要所でゴロを打たせるなど持ち味を発揮し、ゲームを壊さなかった。敗戦投手となったものの、防御率は2.67までとどめており、この日の投球内容だけを見れば十分に試合をつくったと言える。
しかし、大竹の粘投を打線が援護できない。
6回裏、阪神はなおも平良攻略を目指す。
先頭・森下翔太は空振り三振。続く佐藤輝明も空振り三振に倒れ、二者連続三振であっという間に二死となる。それでも大山悠輔が二遊間への内野安打で出塁。この日2本目の安打を放ち、一打同点への期待をつないだ。
ところが髙寺望夢は二ゴロ。結局この回も得点には結び付かず、大山のマルチ安打も実らなかった。阪神は6回までに放った3本の安打のうち2本を大山が記録。残る1本は投手・大竹の左前打で、野手では大山しか安打を放てない苦しい内容だった。
7回も阪神は流れを変えようと動く。
七回表、木下は宮下を二ゴロ、古市には四球を与えたものの、代打・林琢真を二ゴロ、勝又を三ゴロに仕留め、無失点。1回1/3を無安打無失点に抑え、救援として十分な仕事を果たした。
その裏、阪神ベンチも勝負手を打つ。
7番坂本誠志郎に代えて中野拓夢を代打に送り、DeNAもここで平良から宮城滝太へスイッチ。しかし中野は中飛、小幡は遊ゴロ。さらに投手・木下に代わって代打・濱田太貴が送られたが、こちらも二ゴロに倒れ、この回も三者凡退で終わった。
結果として平良は6回3安打無失点、7奪三振の快投でマウンドを降りる。宮城、レイノルズ、松本凌人へとつないだDeNA投手陣の前に阪神打線は最後まで攻略の糸口を見いだせなかった。4投手による完封リレーを許した背景には、阪神打線がボール球に手を出したというよりも、決め球を捉え切れず、好機で凡退を繰り返したことが大きかった。三振は計9個。四球2、死球1で走者は出したものの、得点圏で一本が出ないまま終盤へ突入していく。
一方でDeNAは「1点を守り切る」姿勢を徹底し、先発が役目を終えると迷わず継投。阪神も木下が流れを切り、まだ1点差という状況を維持していたが、試合は8回、大きく動き出すことになる。
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セベリーノ、津田が踏ん張れず…終盤5失点で試合は決着
1点を追うまま迎えた8回。この回が試合の行方を決定づけた。
阪神は木下里都からセベリーノへスイッチし、同時に捕手も坂本誠志郎から梅野隆太郎へ交代。1点差のまま最終盤へ望みをつなぎたい場面だったが、DeNA打線はわずかな隙を見逃さなかった。
先頭の牧秀悟に四球を与えると、続く佐野恵太にもストレートの四球。無死一、二塁となったところで、4番エンカーナシオンを迎える。
阪神ベンチは内野陣を集めて間を取ったが、流れを変えることはできない。
フルカウントから投じた一球を振り抜かれると、打球はレフトスタンドへ一直線。4号3ランが阪神ファンで埋まる左翼席へ飛び込み、甲子園は一瞬にして静まり返った。
わずか数分前まで1点差だったスコアは0―4。試合の主導権は完全にDeNAへ傾いた。
セベリーノはその後、宮崎敏郎を二ゴロ、蝦名達夫を中飛、宮下朝陽を右飛に打ち取り追加点は許さなかった。しかし、この回は安打1本ながら四球2つが大きく響いた。先頭打者への四球から始まり、一発で3点を失うという、阪神にとって最も避けたかった展開となった。記録上もセベリーノは1回を投げ、被安打1、与四球2、3失点。数字以上に重い3失点だった。
何とか反撃したい阪神だったが、その裏もDeNA救援陣を攻略できない。
宮城に代わって登板したレイノルズの前に、近本光司は左飛、福島圭音は見逃し三振、森下翔太は三ゴロ。わずか13球で三者凡退。追い上げムードを作ることさえできず、点差はそのまま9回へ持ち越された。
すると9回表、DeNAはとどめを刺す。
阪神は津田淳哉を投入したが、先頭・古市尊に左前打を浴び、続く神里和毅には四球。無死一、二塁とされると、1番・勝又温史にセンター前へのタイムリーを許し、0―5となる。
さらに三森大貴の二ゴロで一死一、三塁となると、一塁走者・三森が二盗を決めて二、三塁。続く佐野恵太の打球は遊撃・小幡竜平へ。小幡は本塁封殺を狙ったが、結果は野選となり三塁走者が生還。さらに一死一、三塁から途中出場の柴田竜拓に中犠飛を許し、この回だけで3失点。スコアは0-7となり、勝負は完全に決した。
なおも二死一塁から代打・度会隆輝に中前打を浴びたものの、最後は蝦名達夫を一飛に打ち取りようやく3アウト。しかし津田も1回を3安打3失点と流れを止めることはできなかった。
攻撃陣も最後まで見せ場をつくれない。
9回裏、DeNAは最後のマウンドに松本凌人を送り込む。阪神は4番・佐藤輝明から始まる好打順だったが、佐藤輝は二ゴロ、大山悠輔は空振り三振、最後は髙寺望夢が左飛。三者凡退でゲームセットとなった。
終わってみれば阪神は30打数3安打、無得点。チーム全体で9三振を喫し、四球2、死球1で計6人の走者を出しながら、一度もホームを踏めなかった。安打は大山の2本と大竹の1本のみ。近本、森下、佐藤輝ら中軸を含む他の野手は全員無安打に終わった。特にクリーンアップの森下、佐藤輝、大山の3人では、大山の2安打を除けば森下、佐藤輝が計7打数無安打3三振。打線の軸が封じられたことが、そのまま完封負けという結果につながった。
一方のDeNAは9安打で7得点。宮下朝陽の先制ソロ、エンカーナシオンの3ランという2本塁打に加え、9回には勝又の適時打、佐野の遊撃への野選、柴田の犠飛と、多彩な形で加点した。少ない好機を確実に得点へ結び付けた攻撃は、阪神とは対照的だった。
3安打完封負けの現実 突きつけられた「あと一本」と終盤の課題
首位を走る阪神にとって、今季を通しても内容の厳しい一敗となった。
スコアは0-7。9安打を浴びて7失点を喫し、一方の打線はわずか3安打で最後まで得点を奪えず完封負け。序盤は互角に試合を進めながらも、勝負どころでの一本、終盤のリリーフ陣の踏ん張りという両面でDeNAとの差が表れた一戦だった。
数字を振り返ると、その差はより鮮明になる。
DeNAは36打数9安打7得点。宮下朝陽が5回に先制ソロ、エンカーナシオンが8回に3ランを放ち、9回にも勝又温史の適時打、佐野恵太の遊撃への野選、柴田竜拓の犠飛で3点を追加した。長打と機動力を組み合わせながら着実に得点を積み重ね、9安打で7得点という高い得点効率を見せた。
対する阪神は30打数3安打。
安打を放ったのは、大山悠輔の2安打と大竹耕太郎の左前打だけだった。近本光司は4打数無安打、福島圭音も3打数無安打ながら死球で出塁。森下翔太は四球を選んだものの3打数無安打2三振、佐藤輝明も4打数無安打1三振と中軸が沈黙した。髙寺望夢、小幡竜平、坂本誠志郎も無安打に終わり、チームとして最後まで平良―宮城―レイノルズ―松本凌人のリレーを崩せなかった。
特に痛かったのは序盤の好機だった。
2回は一死一、二塁から坂本が三邪飛、小幡が空振り三振。3回は二死一、二塁から佐藤輝が中飛。5回には大竹の安打で反撃のきっかけを作りながら近本、福島が倒れた。
6回までに3度得点圏へ走者を送りながら無得点。もしこのどこかで先制、あるいは同点としていれば、その後の試合展開は違ったものになっていた可能性もある。しかし、実際にはDeNAが少ない好機を得点へ結び付けたのに対し、阪神は一本が出なかった。この差がそのまま試合結果に反映されたと言える。
投手陣では、大竹の投球内容は決して悲観するものではなかった。
5回2/3を投げて被安打5、1失点。宮下への一発こそ悔やまれたが、それ以外は粘り強く試合をつくった。木下里都も1回1/3を無安打無失点と役割を果たし、流れを切る好救援を見せた。試合が大きく動いたのは8回以降であり、セベリーノ、津田が合わせて6失点を喫したことで点差が一気に広がった。救援陣にとっては反省材料の残る登板となったが、一方で木下の投球は終盤へ向けた明るい材料でもあった。
DeNA投手陣も見事だった。
先発・平良拳太郎は6回110球を投げて3安打無失点、7奪三振。阪神打線に得点を許さず今季3勝目を手にした。その後も宮城、レイノルズ、松本凌人が1イニングずつを無失点でつなぎ、阪神に反撃のきっかけすら与えなかった。相手先発を攻略できず、救援陣にも封じられるという典型的な完封負けの展開だった。
それでも、シーズンはまだ続く。
阪神はこの敗戦で47勝39敗1分けとなったが、依然として優勝争いの中心にいることは変わらない。一方で、この試合は「あと一本」の重要性と、終盤を任される救援陣の安定感という、首位チームがさらに勝ち星を積み重ねるための課題を改めて浮き彫りにした。
序盤のチャンスを生かせず、先発の粘投を援護できなかった打線。終盤に大量失点を許し、流れを完全に手放した投手陣。攻守両面で課題が表れた0-7というスコアは、単なる1敗以上の重みを感じさせる内容だった。
もっとも、長いシーズンでは、このような完敗をどう次戦へ切り替えるかも重要になる。甲子園で味わった悔しい完封負けを引きずることなく、首位を守る戦いを続けられるか。阪神にとっては、チーム全体の立て直しが問われる一戦となった。
