首位を走る阪神が8月1日、神宮球場で行われたヤクルトとの14回戦を7―3で制し、カード2戦目も白星で飾った。試合は初回に先制しながら2回に逆転を許す展開となったが、3回に森下翔太の25号2ランで再逆転。その後も着実に加点し、終盤は救援陣がリードを守り切った。打線は12安打を放ち、坂本誠志郎が4安打3打点の大活躍。先発・伊藤将司は5回3失点で今季初勝利を挙げた。
阪神打線は初回から集中力を見せた。
先頭の近本光司は中飛に倒れ、中野拓夢も遊ゴロで2死となったあと、森下が粘り強く8球目を見極めて四球を選ぶ。続く佐藤輝明が中前打で好機を広げると、大山悠輔がカウント3―1から中堅へ鋭い当たりを放ち、走者2人が生還。先制の2点適時二塁打となり、阪神が幸先よくリードを奪った。なおも2死二塁と追加点の場面だったが、立石正広は空振り三振。それでも敵地で理想的な立ち上がりを演じた。
先発の伊藤将司は初回を1安打無失点で切り抜けたが、2回に試合が動く。
先頭の赤羽由紘に四球を与えると、1死から鈴木叶に中前打を浴び、一、二塁のピンチを迎えた。続く高橋奎二に左中間を破る適時二塁打を許し1点差。さらに2死二、三塁から長岡秀樹に中前へ運ばれ、走者2人が生還。ヤクルトが一気に3―2と逆転した。
伊藤はこの回4人の走者を背負い、苦しい投球を強いられたが、なんとか塩見泰隆を空振り三振に仕留めて3失点で踏みとどまった。さらなる大量失点を防いだことが、その後の逆転劇につながる重要な場面となった。
そして、阪神はすぐに試合をひっくり返す。
3回表、先頭の近本が一塁への内野安打で出塁。中野は見逃し三振に倒れたが、続く森下が高橋の投球を完璧に捉えた。打球は左翼スタンドへ一直線に飛び込む25号2ラン。本塁打王争いを続ける主砲の一撃で、阪神は4―3と再びリードを奪った。
この日の森下は初回にも四球を選び、大山の先制打を呼び込んでいた。序盤3打席だけでも「四球、本塁打、中飛」と存在感を示し、相手先発に大きなプレッシャーを与え続けた。試合を通じても4打数2安打2打点1四球と、中軸の役割をしっかり果たしている。
一方、逆転を許した伊藤も3回裏は立て直す。サンタナを空振り三振、増田珠を二ゴロに打ち取ると、赤羽に四球を与えながらも、最後は内山壮真を空振り三振。追加点を許さず、打線の再逆転に応える投球を見せた。
神宮特有の打撃戦も予想された一戦だったが、阪神は逆転されても慌てることなく、自分たちの攻撃を積み重ねた。先制、逆転、再逆転と試合の流れが目まぐるしく動く中でも、打線は好機を確実にものにし、序盤の主導権を取り戻した。
攻守で光った坂本、4安打3打点の大暴れ 伊藤将司は待望の初白星
1点を追う展開で飛び出した森下翔太の逆転2ランによって試合の流れを引き戻した阪神は、中盤以降も攻撃の手を緩めなかった。その中心にいたのが、「7番・捕手」で先発出場した坂本誠志郎だった。
2回先頭の第1打席では、中前へクリーンヒットを放って出塁。直後に盗塁を試みて失敗したものの、積極的な姿勢で相手バッテリーにプレッシャーをかけた。4回の第2打席でも再び中前打を放ち、打撃の状態の良さを印象づける。いずれも得点には結び付かなかったが、下位打線から好機を演出する役割を果たしていた。
そして試合を決定づけたのが6回の打席だった。
この回、先頭の佐藤輝明が四球を選び、大山悠輔が左前打で無死一、三塁とチャンスを広げる。追加点が欲しい場面で立石正広は空振り三振に倒れたが、なお1死一、三塁で打席に坂本が入った。
高橋奎二の投球を力強く振り抜くと、打球は左翼スタンドへ一直線。値千金の3号3ランとなり、リードを4点に広げた。
序盤から接戦となっていただけに、この一発はヤクルトにとって大きなダメージとなった。阪神ベンチも大きく沸き返り、神宮球場の一角を埋めた虎党からは大歓声が上がる。試合の行方をほぼ決定づける一撃だった。
坂本は8回にも左前打を放ち、この日は4打数4安打3打点。第1打席から第4打席まで全て安打という申し分ない内容で、今季3号本塁打を含む猛打賞どころか4安打を記録した。攻撃面で大きく勝利に貢献しただけでなく、捕手としても投手陣を巧みにリード。攻守両面で存在感を示し、文句なしのヒーローとなった。
打線の援護を受けた伊藤将司も、決して楽な内容ではなかった。
2回には3安打と1四球で3失点を喫し、逆転を許したものの、それ以外の4イニングではヤクルト打線を無失点に封じた。3回は2死から四球を与えながら内山壮真を空振り三振。4回は三者凡退、5回も長岡秀樹を中飛、塩見泰隆を遊ゴロ、サンタナを三ゴロに打ち取り、テンポ良く締めくくった。逆転してもらった直後に流れを相手へ渡さなかったことが、この試合では何より大きかった。
最終的な内容は5回87球、被安打4、奪三振4、与四球2、3失点。数字だけを見れば決して圧倒的ではない。しかし、最も苦しかった2回を最少失点ではなく3失点で踏みとどまり、その後は修正して追加点を許さなかった点には価値がある。
試合後には待望の今季初勝利が記録された。開幕から思うような結果が出ず苦しんできた左腕にとって、大きな意味を持つ白星となった。
一方、ヤクルト先発・高橋は6回を投げて108球。9安打2本塁打を浴び、7失点で降板した。阪神打線は四球で走者をため、一発で仕留める理想的な攻撃を展開。大山の先制二塁打、森下の逆転2ラン、そして坂本の3ランと、得点のほとんどを長打で奪った。
特に坂本の3ランは、この日の阪神を象徴する一打だった。接戦を一気に勝ちゲームへ変えた決定打であり、捕手として投手陣を支えながら、打者としても最高の結果を残した。その活躍は数字以上に大きな価値を持つものだった。
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盤石の継投で逃げ切り 救援陣が流れを渡さず
坂本誠志郎の3ランで7―3とリードを広げた阪神は、その後も落ち着いた試合運びを見せた。
6回裏からはベンチが早めに継投へ踏み切る。
5回87球を投げた伊藤将司に代わってマウンドへ上がったのは木下里都。この回から左翼には髙寺望夢が入り、守備も一部変更された。
木下は先頭の増田珠に右前打、続く赤羽由紘にも左前打を浴び、無死一、二塁といきなり得点圏に走者を背負う。それでも内山壮真を右翼飛に打ち取り、鈴木叶から空振り三振を奪って2死。ここでヤクルトは代打・宮本丈を送り込んだ。
阪神ベンチはこの場面で迷わず及川雅貴へスイッチ。フルカウントまで粘られながらも最後は見逃し三振に仕留め、無失点で切り抜けた。相手に傾きかけた流れを渡さず、ベンチワークも光る継投となった。
7回も及川が続投。
先頭の岩田幸宏に中前打を許したものの、長岡秀樹を一塁ライナーに打ち取り、飛び出していた一走・岩田もアウトとなって併殺。塩見泰隆も二直に抑え、わずか3人で攻撃を終わらせた。
記録上は1安打を許しながらも、わずか10球でイニングを終えた内容は非常に効率的だった。大量リードの場面でも集中力を切らさず、ヤクルトに反撃の糸口を与えなかった。
8回は工藤泰成が登板した。
先頭のサンタナに遊撃への内野安打を許したが、続く増田珠を遊撃併殺打。わずか2球で走者を一掃すると、赤羽にはストレートの四球を与えたものの、最後は内山を中飛に打ち取り無失点。先頭打者の出塁にも動じることなく、最少のダメージでイニングを終えた。
一方、打線は追加点こそ奪えなかったものの、終盤も相手投手にプレッシャーをかけ続けた。
7回には森下翔太が左前打を放ち、8回には坂本がこの日4本目となる左前打を記録。さらに元山飛優も右前打で続き、2死一、二塁としたが、代打・糸原健斗は空振り三振に倒れた。
9回は田口麗斗の前に近本、中野、森下が三者凡退。それでも中盤までに築いた4点差は最後まで揺らぐことはなかった。
その裏は岩崎優がマウンドへ上がったが、先頭の鈴木叶に四球、岩田に中前打、さらに長岡にも右前打を浴び、1死満塁とこの試合最大のピンチを迎える。
ここで阪神ベンチは守護神ドリスを投入した。
神宮球場は一気に緊迫した空気に包まれたが、ドリスは冷静だった。
まず塩見を左飛に打ち取り2死。続く代打・丸山和郁にはスライダーで二ゴロを打たせ、そのまま試合終了。わずか2人で最後を締め、今季19セーブ目を記録した。最後まで反撃を許さなかった救援陣の安定感も、この日の勝因の一つだった。
終わってみれば阪神は12安打7得点。大山悠輔の先制2点二塁打、森下翔太の逆転2ラン、坂本誠志郎のダメ押し3ランと、効果的に長打を重ねた。一方の投手陣も、伊藤将司から木下、及川、工藤、岩崎、ドリスへとつないでヤクルト打線を3点に封じた。
攻撃では中軸が勝負どころで仕事を果たし、守りでは継投が相手の反撃を断ち切る。首位を走るチームらしい戦いぶりで、阪神は敵地・神宮で価値ある白星を手にした。
攻守がかみ合った快勝 単独首位へ浮上
阪神にとって、この日の勝利は1勝を積み重ねただけではない。序盤に先制し、逆転されても慌てず再逆転。中盤で試合を決定づけ、終盤は救援陣が締める――。首位を走るチームらしい完成度の高い戦いぶりが随所に表れた一戦だった。
攻撃の主役は、誰が見ても坂本誠志郎だった。
4打席すべてで快音を響かせ、第1打席、第2打席は中前打、第3打席は勝負を決める3ラン、第4打席も左前打。4打数4安打3打点という申し分ない内容で、打線を力強く引っ張った。試合後も各方面で「攻守にわたる存在感」が大きく取り上げられ、打撃だけでなく、投手陣を支え続けたリードも高く評価された。
森下翔太もまた、勝敗を左右する働きを見せた。
初回は8球粘って四球を選び先制点のきっかけをつくると、3回には逆転2ラン。7回にも左前打を放ち、4打数2安打2打点1四球と中軸の役割を十分に果たした。本塁打王争いを続ける中で飛び出した25号は、流れを完全に阪神へ引き寄せる価値ある一発だった。
先制打を放った大山悠輔も勝負強さを発揮した。
初回2死一、二塁。カウント3―1からセンターへ運んだ適時二塁打で2点を先制すると、6回にも左前打で追加点の口火を切った。4打数2安打2打点。派手さこそないものの、4番・佐藤輝明が四球と安打で好機を広げ、その後を打つ大山が確実に走者を返すという、中軸本来の役割を果たしたことも大きかった。
そして、忘れてはならないのが伊藤将司の白星である。
2回に3点を失い逆転を許したものの、3回以降は立て直し、5回まで追加点を与えなかった。決して完璧な内容ではなかったが、逆転してもらった直後のイニングを無失点で切り抜けたことが勝利を大きく引き寄せた。約2週間ぶりの登板でつかんだ待望の今季初勝利は、本人にとってもチームにとっても価値ある一勝となった。
救援陣もそれぞれが役割を全うした。
木下里都は無死一、二塁のピンチを招きながら最少の被害で切り抜け、及川雅貴は火消し役として見逃し三振を奪うと、7回は併殺を絡めて三者で終わらせた。工藤泰成も併殺打で流れを断ち切り、最後は岩崎優が築いた1死満塁のピンチをドリスが冷静に締める。継投のタイミングを含め、ベンチワークも機能した試合だった。
全体を振り返ると阪神は12安打7得点。得点は大山の2点適時二塁打、森下の2ラン、坂本の3ランと、勝負どころで長打が飛び出した。一方、ヤクルトは10安打を放ちながらも3得点。2回以降は得点圏であと一本が出ず、阪神投手陣が要所を締め続けたことが、最終スコア以上の差となって表れた。
逆転されてもすぐに取り返す打線。追加点で試合を決める集中力。そして終盤を逃げ切る投手陣。攻守がかみ合った阪神は、敵地・神宮でカード初戦を7―3で制した。
坂本誠志郎の4安打3打点という圧巻の活躍、森下翔太の価値ある逆転弾、伊藤将司の待望の今季初勝利。それぞれが自らの役割を果たしたことで、首位を走る阪神の総合力を改めて印象づける一戦となった。
