首位を走る阪神の連勝が「4」で止まった。
8月14日、マツダスタジアムで行われた広島との16回戦。先発した才木浩人投手が4回6安打3失点で降板し、打線も広島先発・森下暢仁投手を攻略できず、1-6で完敗した。前日13日の巨人戦を3-2で制して勢いに乗って広島へ乗り込んだタイガースだったが、この日は序盤から最後まで主導権を握れなかった。
いつもの才木とは違った。
初回、先頭・名原にいきなり左前打を許した。菊池の犠打で一死二塁とされ、ファビアンを三邪飛、坂倉を空振り三振。無失点で立ち上がったものの、二回につかまった。
先頭の秋山に中前打。続く小園にも左前打を浴び、無死一、二塁となった。佐々木を左飛、石原を空振り三振に仕留め、二死までこぎ着けたが、打席には相手先発投手の森下。1ボール1ストライクから左前へ運ばれ、二塁走者の秋山が生還した。投手に先制適時打を許す痛い1点だった。
さらに三回。先頭の菊池に2ボール1ストライクから左翼席へ運ばれた。6号ソロで0-2。四回には小園を右飛に打ち取った直後、佐々木に2ボール1ストライクからスタンド上段へ飛び込む4号ソロを浴びた。
才木はこの回を投げ終えたところで降板した。4回54球、打者18人に6安打を許し、3奪三振、無四死球、2被本塁打の3失点。今季5敗目を喫した。
球数だけを見れば、まだ54球だった。それでもベンチは五回の打席で代打・ガルシアを送り、続投させなかった。
藤川球児監督は試合後、才木について「こういう時もありますし。コンディション的なところもありますしね」と説明。球速が普段ほど出ていなかったことを問われても、「コンディション的なところですね」と答えた。
数字にも、この日の苦しさは表れている。四球は一つも与えていない。それでも4イニングで6安打を浴び、長打で2点を失った。制球を大きく乱して自滅したのではなく、ストライクゾーンで勝負した球を広島打線に捉えられた。
才木にとっては、7月17日の同じマツダスタジアムでの広島戦とは対照的な結果となった。その試合では8回を投げて勝利投手になっている。だが、この日は五回のマウンドに上がることなく降板。先発投手として試合中盤までゲームを支えることができなかった。
ただし、敗因を才木一人に背負わせることもできない。3点を失うまでに阪神打線が奪った得点はゼロ。先発が苦しい日に打線が支える展開には持ち込めなかった。
絶好機で森下併殺、佐藤輝三振 森下暢仁を崩せず
打線には序盤から重苦しさが漂った。
広島の先発は森下暢仁。阪神は一回、近本が三ゴロ、髙寺が遊ゴロ、森下翔太も遊ゴロと、わずか3人で攻撃を終えた。二回も佐藤輝明が中飛、大山悠輔が二ゴロ、前川右京が中飛。三回は梅野隆太郎が三ゴロ、元山飛優が中飛、才木が3球見逃し三振に倒れた。3回まで9人で9つのアウトを淡々と積み重ねられ、走者を一人も出せなかった。
流れを変える最大のチャンスは0-2の四回に訪れた。
先頭の近本がチーム初安打となる中前打。続く髙寺も右前打でつなぎ、無死一、二塁。クリーンアップを迎え、一気に森下を攻略できる場面を作った。
ところが、3番・森下翔太が6-4-3の併殺打。二死三塁となり、4番・佐藤輝も2ボール2ストライクから空振り三振に倒れた。連打で始まった絶好機が、わずか2人の打者で無得点に終わった。
直後の四回裏に佐々木のソロで0-3。この攻防は試合の流れを大きく左右した。
五回にも反撃の機会はあった。大山が一邪飛に倒れた後、前川が四球を選ぶ。梅野は左飛だったが、元山が右前打を放って二死一、二塁。ここで阪神ベンチは才木に代えてガルシアを送り込んだ。
しかし、ガルシアは1ボール2ストライクから空振り三振。再び得点圏に走者を置きながら、ホームは遠かった。
六回は近本が左飛、髙寺が空振り三振、森下が遊ゴロで三者凡退。七回には一死から大山が左前打を放ったものの、前川の一ゴロで二死二塁となり、梅野がワンバウンドする球に空振り三振。ここも得点には結びつかなかった。
特に痛かったのは、中軸で好機を仕留められなかったことだ。森下翔太は遊ゴロ、遊併殺、遊ゴロ、右飛で4打数無安打。佐藤輝は中飛、空振り三振、二ゴロと前三打席で安打がなく、九回に二塁打を放ったものの得点にはつながらなかった。
一方、広島の森下は投げるだけではなく、二回に自ら先制打。投打で試合の主導権を握った。8回113球を投げ、5安打2四球5奪三振1失点。阪神打線は毎回のように三振を重ねたわけではない。それでも、打たされたゴロやフライが多く、好機で決定打を出せなかった。
阪神は最終的に6安打を放った。近本、髙寺、佐藤輝、大山が各1安打、元山が3打数2安打。決して完全に封じ込められたわけではない。だからこそ、四回の無死一、二塁、五回の二死一、二塁、七回の二死二塁を一度も得点につなげられなかったことが響いた。
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継投でも止まらず5点差 門別は負傷降板
才木が降板しても、広島の攻勢は止まらなかった。
0-3の五回、2番手で門別啓人がマウンドへ。先頭・名原を遊ゴロに仕留めたが、菊池に左翼への二塁打を許す。続くファビアンに中堅への適時三塁打を浴び、0-4。さらに坂倉の二ゴロの間に三塁走者ファビアンが生還し、点差は5点に広がった。
秋山にも左前打を許し、この回だけで3安打2失点。先発・才木が残した3点のビハインドを、救援陣が食い止めることもできなかった。
門別は六回も続投。先頭の佐々木に中越え二塁打を浴び、石原の遊ゴロで一死三塁。森下を投ゴロに仕留めて二死まで進んだところで、アクシデントに見舞われた。打球が体に当たり、治療を受けた末に降板。1回2/3を30球、4安打2失点だった。
藤川監督は門別について、打球が当たったことを認めた上で、最初のイニングをつなぐ役割の重要性に触れ、「誰が出てもああいう場面で出ていくところっていうのはまだ大事にしていって、攻めていってくれれば」と語った。
急きょマウンドを引き継いだ神宮僚介は、二死三塁から名原を二ゴロに仕留めて追加点を阻止。七回も菊池を遊ゴロ、ファビアンを空振り三振。坂倉には右前打を許したが、秋山を二ゴロに抑えた。1回1/3を1安打無失点。試合が崩れかけたところで踏ん張った。
阪神打線がようやく意地を見せたのは、5点を追う八回だった。
先頭の元山がこの日2本目となる右前打。代打・中野拓夢が四球を選び、無死一、二塁とする。近本の一ゴロで走者がそれぞれ進み、一死二、三塁。ここで髙寺の三ゴロの間に三塁走者・元山が生還した。
1-5。ようやく森下から1点を奪った。
なお二死二塁で打席には3番・森下翔太。長打が出ればさらに点差を縮められる場面だったが、低めのフォークを打って右飛。反撃は1点で止まった。
その裏、4番手のセベリーノが登板したが、先頭の小園に中前打。代走・辰見に二盗を許し、石原の遊ゴロで二死三塁となった。広島はここで、8回1失点と好投した森下に代打・モンテロを送る。モンテロは左前適時打。阪神がようやく奪った1点を、その裏に取り返された。
これで1-6。
阪神投手陣は才木、門別、神宮、セベリーノの4投手で計13安打を浴びた。才木が6安打3失点、門別が4安打2失点、神宮が1安打無失点、セベリーノが2安打1失点。与四死球は一つもなかったにもかかわらず、広島打線に13安打を集められた。
広島は二回から五回まで4イニング連続得点。大量得点の一発攻勢ではなく、才木から3点、門別から2点、セベリーノから1点と阪神投手陣を着実に攻略した。
4連勝ストップも首位堅持 藤川監督は次を見据える
九回、阪神は最後まで攻めた。
広島は8回113球を投げた森下から髙太一へ継投。先頭の佐藤輝が二塁打を放った。大山の中飛で一死三塁となり、前川が投ゴロ。二死三塁から途中出場の坂本誠志郎も空振り三振に倒れ、ゲームセットとなった。
阪神は6安打2四球で1得点。広島は13安打で6得点。数字にも、この日の試合内容がそのまま表れた。
前日まで4連勝していた阪神だったが、その勢いをマツダスタジアムに持ち込むことはできなかった。先発が序盤から失点し、打線は好機であと一本が出ず、救援陣も追加点を許す。投打がかみ合わないまま敗れた一戦だった。
中でも今後に向けて気になるのは、やはり才木の状態だ。
この日の才木は4回54球で降板した。6安打のうち2本が本塁打。先発投手としては早いタイミングでベンチが交代を決断し、藤川監督も試合後に「コンディション的なところ」と繰り返した。
一方で、四球はゼロだった。初回二死二塁では坂倉を空振り三振。二回も無死一、二塁から佐々木を左飛、石原を空振り三振として二死まで進めている。全くストライクが入らないような乱調ではなかった。
それでも最後の一球を仕留められた。二回は投手の森下に適時打。三回は菊池、四回は佐々木にソロ本塁打。毎回のように致命傷を負ったわけではないが、一つずつ積み上げられた失点が重くのしかかった。
打線にも課題は残った。四回の無死一、二塁では森下の併殺と佐藤輝の三振。五回の二死一、二塁では代打ガルシアが三振。八回は無死一、二塁から1点を奪ったものの、なお二死二塁で森下が右飛。九回も無死二塁から得点できなかった。
つまり、この日の阪神には「反撃の入口」は何度かあった。それを大量点につながる攻撃にできなかった。
それでも首位の座は変わらない。14日の全試合終了時点で阪神は58勝45敗1分。2位・巨人が勝ったためゲーム差は2に縮まった。長いシーズンを考えれば、一敗だけを必要以上に重く受け止める必要はない。ただ、先発の柱である才木のコンディション、門別のアクシデント、そして森下暢仁を前に好機を生かせなかった打線。翌戦以降へ持ち越した確認事項は少なくない。
藤川監督が才木について口にしたのは、「こういう時もありますし」という言葉だった。
エース格の投手でも、シーズンを通してすべての登板で万全というわけにはいかない。この日は才木が4回3失点で降り、後続も3点を失い、打線は1点しか奪えなかった。だから1-6というスコアになった。
4連勝は止まった。
だが、勝負は一夜で終わらない。才木が本来の状態を取り戻せるか。そして、森下に封じられた打線が次戦でどう立て直すか。首位を守る阪神にとって、完敗を単なる一敗で終わらせるための次の戦いが始まる。
