阪神は4月22日、横浜スタジアムでDeNAと対戦し、6―7で競り負けた。
初回にいきなり4点を失う苦しい立ち上がりとなりながら、2回に大山悠輔が反撃の号砲となるソロ本塁打。さらに3回には、試合をひっくり返す逆転満塁本塁打を右翼席へたたき込み、一人で5打点をたたき出した。それでも投手陣がDeNA打線の勢いを止め切れず、終盤の接戦をものにできなかった。シーソーゲームの中心にいたのは間違いなく大山だったが、最後に残ったのは「一打及ばず」の悔しさだった。スコアは阪神6点、DeNA7点。阪神は6安打で6得点と要所をとらえた一方、DeNAには15安打を浴び、試合全体を通して押し込まれる時間帯も長かった。勝利投手はDeNAのレイノルズ、敗戦投手は阪神のドリス、セーブは山﨑康晃。乱打戦の末に落とした1敗は、阪神にとって内容面でも課題の残る敗戦となった。
初回4失点の重苦しい流れを、大山の一振りが変えた
試合の入りは最悪だった。先発・茨木秀俊は1回裏、先頭の三森に二塁打、続く牧にも二塁打を浴びて無死二、三塁のピンチを背負うと、1死後に佐野恵太へ中前への2点適時打を許して先制された。さらに度会の安打、勝又の内野安打で満塁とされ、戸柱恭孝には中前へ2点適時打。わずか初回で4点を失い、横浜スタジアムの空気は一気にDeNAへ傾いた。阪神にとっては、追いかけるどころか試合の主導権を握られた苦しい立ち上がりだった。だが、その重い空気を変えたのが4番の後ろに座る主砲・大山だった。2回表、1死走者なしで打席に入ると、カウント0―1から左翼スタンドへ豪快な一発。4点ビハインドの展開で、ただの1点では終わらない意味を持つ反撃弾だった。ベンチに沈みかけていたムードを押し返し、「まだ終わっていない」とチーム全体に示したような本塁打だった。その回は福島圭音の中前打、盗塁も出たが追加点にはつながらなかった。それでも、まったく押し返せない展開になるのと、主砲の一発で流れを引き戻して次の回につなげるのとでは、試合の景色がまるで違う。大山のソロは、その後の大逆転劇の序章として十分すぎる価値を持っていた。
3回の逆転満塁弾 大山が示した4番の後ろにいる主砲の重み
圧巻は3回表だった。先頭の茨木が四球で出塁し、近本光司の打球は牧秀悟の失策を誘って無死一、二塁。中野拓夢も四球を選び、無死満塁の絶好機を迎えた。ここで森下翔太は三飛、佐藤輝明も左飛に倒れ、阪神としては一気に流れを手放しかねない空気になった。なおも2死満塁。そこで打席に入ったのが大山だった。押し出しでも同点、安打でも逆転という場面で、放った打球は右翼席へ一直線。4点差を一振りでひっくり返す逆転満塁本塁打となった。横浜の空気を凍らせ、阪神ベンチを一気に沸騰させる、まさに主役の一撃だった。大山はこの試合、2打数2安打2本塁打5打点2四球。出塁率、長打力、勝負強さをすべて凝縮したような内容だった。
数字だけ見ても圧倒的だが、価値がさらに大きいのは、打った場面の重さである。2回のソロは反撃の口火、3回の満塁弾は試合をひっくり返す一打。どちらも試合の流れを変える本塁打であり、しかもDeNA先発・竹田を追い詰めた攻撃の締めくくりでもあった。3回は四球、失策が絡んで生まれた好機ではあったが、それを「ただのチャンス」で終わらせず、一撃で最大化したのが大山の凄みだ。阪神打線全体では6安打。そのうち2本が大山の本塁打で、打点6のうち5打点を大山がたたき出した。言い換えれば、この日は打線の得点力の大半を大山が背負ったということになる。だからこそ、試合後に残る印象もまた鮮烈だ。敗れはしたが、主砲の存在感だけは、最後まで消えなかった。なお、阪神はせっかく5―4と逆転した直後の3回裏、先頭の佐野に右越え同点ソロを浴び、流れを完全には引き寄せ切れなかった。大山の一撃が輝けば輝くほど、直後に追いつかれた1球の重みもまた際立つ展開だった。
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終盤の粘りも実らず 投手陣が踏ん張れなかった痛恨の1敗
試合は5-5の同点で中盤以降へもつれ込んだ。阪神先発の茨木は4回までにDeNA打線へ安打を重ねられ、5回途中まで投げて降板。石黒佑弥が後を受けたが、6回裏に京田、牧の連打で1死一、三塁とされ、代打・宮崎敏郎に右翼への犠飛を許して5―6。再び追う展開となった。もっとも、阪神もこのまま終わらない。7回表、代打・髙寺望夢が二塁打で出塁し、代打・伏見寅威がきっちり送る。1死三塁から近本の三ゴロの間に髙寺が生還し、6―6の同点。派手な長打ではなくても、ベンチワークを含めて1点をもぎ取った好攻撃だった。
だが、その粘りを白星へ結びつけられなかった。7回裏は桐敷拓馬が無失点でしのいだものの、8回裏に登板したドリスが1死から代打・蝦名達夫に左前打を許し、佐野に四球。2死一、二塁とされると、勝又温史に右翼への勝ち越し適時打を浴びた。打者走者の勝又は走塁死となったが、DeNAにとって必要な1点はすでに入っていた。9回表、阪神はDeNA守護神・山﨑の前に反撃できず試合終了。終わってみれば、DeNAは15安打、阪神は6安打。阪神は少ない好機を大山の長打で得点に変えたが、投手陣が打たれすぎた。初回の4失点、逆転直後の被弾、6回の勝ち越し犠飛、8回の決勝打。どの失点も試合の節目で、しかも相手に流れを渡すタイミングだった。
乱打戦で勝ち切るには、どこか一つで踏ん張りが必要になる。この日の阪神は、打線に大山という絶対的なヒーローがいながら、投手陣がその働きに応え切れなかった。主砲の2発5打点は、普通なら勝利記事の中心に置かれるべき数字だ。それでも敗戦記事の中心にならざるを得ないところに、このゲームのもどかしさが凝縮されている。大山がこれだけ打っても勝てない―なんとももどかしい試合だった。だからこそ阪神に必要なのは、大山の好調を勝利へ直結させる周囲の底上げである。打線はクリーンナップの前にどう走者をためるか、投手陣はリードをどう守るか。乱戦の中で見えたのは、主砲の頼もしさと、勝ち切るためのチーム全体の課題だった。
