6月21日、晴天の甲子園で開催された日本生命セ・パ交流戦・阪神タイガース対福岡ソフトバンクホークス戦。先発に抜擢された阪神・大竹耕太郎投手(29)が、6回表に不運なアクシデントで緊急降板を余儀なくされた。だがそこから先は、ブルペン陣の奮闘によりタイガースの勝利が盤石のものとなった。初回に奪った3点のリードを守り切った桐敷拓馬、及川雅貴、ネルソン、岩崎優らリリーフ陣を主役に、その舞台裏を追う。
試合開始直後、タイガース猛虎打線が試合の主導権を握った。1回裏、トップバッターの近本がレフト前に出塁。二死一塁から4番・佐藤輝明がセンターへ先制タイムリーを放つ(1–0)。さらに6番・小幡竜平が2ストライク2ボールからセンターオーバーのツーベースで2点を追加し、一気に3点先行。序盤の勢いを生かす形となった。
一方のマウンドでは先発・大竹が堂々の投球を続けていた。6回途中、指のしびれと思われる“指つり”に見舞われ、2球投げた後急遽降板。しかしそれまでの投球内容は5回2/3を1安打無失点・2奪三振という素晴らしい内容。自身にとっては今季3勝目であり、NPB史上21人目、育成出身では初となる“全12球団勝利”の偉業を達成した。
大竹が訴えた“中指のつり”は、まさに予期せぬアクシデント。このまま投げ続けていたら…という展開を、まさかストップされるとは――。だが、先発としての責務を十二分に果たしたことには間違いない。
6回表、アクシデントの知らせが伝わった阪神ベンチは即座にブルペンへ連絡。緊急登板したのは左腕の桐敷拓馬(26)。肩の状態を整える猶予もほとんどない“スクランブル登板”だったが、その投球ぶりは驚異的であった。2ボールからのスタートとなった代打・川瀬を含む計3者を、スライダーと直球主体で3者連続三振に封じ込める。この“完全火消し”で試合の流れを決定的に守り切った。
桐敷は試合後、「緊急で流れを変えずにゼロで抑えられて、本当に良かった」と胸を撫で下ろしたという。誕生日(6月20日)の翌日に初めての大舞台での結果は、まさに“肉”(奮起の意味?)ゲットに値する一発回答となった。
桐敷のあとを継いだ及川雅貴(左腕)は、7回を無失点の3者凡退に抑える安定の1イニング。前夜自己の投球で敗戦投手となっていた及川は「昨日負けた分、リベンジできてよかった」と安堵の表情を見せた。
そして迎えた8回、右腕ネルソンが登場。2者連続安打で無死一、二塁のピンチを招いたものの、そこから好守を見せる。伸びのある直球にスライダー・チェンジアップを織り交ぜる投球で、無失点で切り抜け、「勝ちパターンの右のセットアッパーとして、計算が立ち始めた」という声がOB鳥谷敬氏から寄せられた。鳥谷氏はまた、「ネルソンがこうやって安定して投げられるのは、石井の離脱の中で右のセットアッパーが欲しかった阪神にとって、大きな収穫」とその投球に高い評価を与えている 。
迎えた9回、守護神・岩崎優が登場。今季14セーブ目を目指す彼は、安定感抜群の投球スタイルでソフトバンク打線を完全に封じ込み、3–0の完封リレーを完成させた。ブルペン陣が一丸となってリードを守り抜いたこの完封リレーは、今季15回目、阪神の“完封劇場”を盤石のものとした。
試合は、序盤に挙げた3点を、桐敷、及川、ネルソン、岩崎の4人リレーによって守り切り、阪神の3–0での完封勝利に終わった。観客4万2,638人は、まさに“ブルペン劇場”の“火消しぶり”に魅せられたことだろう。
この日、先発・大竹は不運にも“指つり”というアクシデントで6回途中降板を余儀なくされたものの、一歩も譲ることなく“1安打無失点”の快投。しかも相手は古巣ソフトバンク。NPB育成選手として初の“全12球団勝利”という偉業を、甲子園で成し遂げた。
そして、桐敷は突然の大舞台で“三者連続空振り三振”という驚きの快適投。及川は前夜の雪辱を晴らし、ネルソンは計算に近いセットアッパーとしての力量を示した。彼らの存在は、この夏場に向けての阪神ブルペン陣の“厚みアップ”を物語る成果だ・
一瞬のアクシデントが、予想外の収穫をもたらす――野球の醍醐味を凝縮したような、この日の一戦。先発マウンドを守った大竹と、彼を救った“火消し職人”たちの奮闘劇は、虎党にとって嬉しい一日となった。交流戦も最終日へ、そして夏本番へ――ブルペン陣の頼もしさを帯びたタイガースは、これからも怖い存在であり続けるだろう。
Tiktok動画はこちら

