初回一挙7得点で勝負あり!ガルシア連発、大竹が涙

初回一挙7得点で勝負あり!ガルシア連発、大竹が涙

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勝負は開始早々に大きく動いた。
阪神は初回、DeNA先発・ビドの立ち上がりを逃さず、打者11人を送り込む猛攻で一挙7点。前夜の敗戦を引きずる時間すら与えず、試合の趨勢を決めた。

口火を切ったのは先頭の近本光司だ。四球で出ると、中野拓夢への2球目に二盗を成功。中野は二塁への内野安打で無死一、三塁とし、今度は中野も森下翔太への投球で二塁を陥れた。安打を連ねてから動いたのではない。相手バッテリーが一つのアウトも取れない間に、近本と中野が連続盗塁で無死二、三塁をつくった。試合を左右したのは、長打だけではなく走塁だった。単なるスピードではなく、出塁直後から次の塁を狙い、打者が打ちやすい状況を整える1、2番の働きが、ビドを一気に苦境へ追い込んだ。森下は1ボール2ストライクから外寄りのスライダーに食らいついた。投手方向へ転がった打球は二塁ベースに当たり、中前へ抜ける2点適時打。「結果をしっかり求めにいった」と振り返りつつ、好機を整えた近本と中野のおかげだと受け止めた。佐藤輝明が四球で続くと、大山悠輔は2ボール1ストライクから左翼へ適時二塁打。なお無死二、三塁で、ガルシアが左中間席上段へ3ランをたたき込み、わずか6人で6点を奪った。

攻撃はまだ終わらない。坂本誠志郎が四球、元山飛優は空振り三振に倒れたが、大竹耕太郎がきっちり送りバントを決めて二死二塁。打者一巡で再び打席に入った近本が、初球の150キロのツーシームを右翼線へ運ぶ適時二塁打で7点目を刻んだ。中野が二ゴロに倒れてようやく攻撃終了。5安打、3四球、2盗塁、1犠打を詰め込んだ11人攻撃だった。初回7得点は2014年7月1日のヤクルト戦以来、12年ぶり。藤川球児監督が「仕掛け切ってくれました」とたたえた通り、待つところでは待ち、走るところでは走り、甘い球は仕留めた。

二回も攻撃の圧は緩まなかった。先頭の森下は見逃し三振となったが、佐藤輝が右前打、大山が四球、ガルシアが死球で一死満塁。坂本が押し出し四球を選んで8-0とした。元山は一ゴロ、大竹は二ゴロに倒れ、追加は1点にとどまったものの、ビドに立て直す余地を与えず、三回から若松尚輝をマウンドへ引きずり出した。近本は六回にも中前打を放って複数安打。先頭打者として四球、盗塁、適時二塁打、中前打と、得点の入口にも出口にもなった。「つながって得点になったので良かった」という言葉通り、初回の7点は一人の大当たりではない。近本と中野が足で始め、森下、大山、ガルシアが還し、大竹の犠打から近本が締める。阪神らしい役割分担が、試合開始から鮮やかにかみ合った。

ガルシア特大3ラン 2夜連続アーチに努力の裏付け

猛攻の中心にいたのは、新外国人のデルミス・ガルシアだった。3-0の初回無死二、三塁。3ボールからビドが投じたスライダーを迷わず振り抜くと、打球は左中間席上段へ一直線に消えた。前日の来日1号満塁本塁打に続く2試合連続の2号3ラン。2試合で計7打点を挙げたことになる。本人は「感触も良かった」と手応えを口にし、甘い球が来たため積極的に打ったと説明した。四回は空振り三振に倒れたが、七回の先頭打席では左前打。3打数2安打3打点と結果を残し、代走・熊谷敬宥と交代して役目を終えた。

前日は本塁打を放ちながらチームが敗れたため、表情は晴れなかった。ガルシアが最優先したのは個人記録ではなく勝利。この日の一発は、本人が求めていた形でチームの白星へ直結した。藤川監督はガルシアの長打を「今までになかった点のパターン」と表現した。近本と中野が足で揺さぶり、森下と大山が適時打を放ったところへ、強力な新戦力が続く。従来のつなぐ攻撃を継承するだけではなく、その先に破壊力を足した一発だった。シーズン途中の加入後、ガルシアは契約発表から間もなく1軍へ昇格したものの、最初の6試合は12打席連続無安打。それでも首脳陣はスタメン起用を続け、前日の満塁弾とこの日の3ランで期待に応えた。本人は日本の投手や環境にはまだ慣れる必要があるとしながらも、状態が上向いているとの感触を示し、さらに貢献したいと誓った。

派手な放物線の裏には、地道な準備がある。四国アイランドリーグplus・高知時代は遅刻が一度もなく、集合時刻の10分前には現場へ入り、グラウンド整備や打撃ケージの準備にも率先して動いた。「チームの役に立ちたい」が行動の基準だった。途中交代した後も、相手投手が代わればバットを持ち、投球練習に合わせてタイミングを確認していたという。次に対戦する可能性へ備えるためだった。高知時代を知る関係者が「みんなが応援したくなる」と評した真面目さは、阪神で突然つくられたものではない。1軍昇格後の少ない打席で、満塁弾と3ランを続けて放った結果には、それまで積み重ねた準備の裏付けがあった。

七回はガルシアの左前打から熊谷が代走に入り、坂本は送りバントを試みたもののファウルフライ。流れが切れかけた一死一塁から、元山が中前打でつなぎ、大竹の代打・高寺望夢が右翼へ適時打を放って9-3とした。高寺は0ボール1ストライクから迷わず振り、一、二塁の好機で熊谷を還した。続く近本は中飛、中野は投ゴロに倒れたが、DeNAが牧のソロで5点差に迫った直後に取り返した1点だった。藤川監督は高寺の働きを評価し、先発で出たい思いを抱えながらベンチで準備する選手の力が、今後さらに必要になると語った。ガルシアの特大弾に、高寺の代打一打。豪快さと層の厚さが同じ試合で現れたことが、10得点の価値をさらに高めた。

 

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大竹、反撃を受けても六回を完遂 継投で5点差守る

8点の援護を背負った大竹は、点差に寄りかからず、六回まで先発の役割を果たした。初回は度会隆輝を三ゴロ、牧秀悟を三ゴロ、佐野恵太を遊ゴロ。二回もエンカーナシオンを右飛、宮﨑敏郎を二ゴロ、松尾汐恩を投ゴロに仕留め、最初の6人を連続で退けた。大量援護を受けた直後に相手へ得点を返せば、試合の空気は変わりかねない。大竹は二回まで一人の走者も許さず、阪神ベンチがつくった勢いをマウンドから支えた。

初めて走者を許したのは三回だった。先頭・関根大気の内野安打、宮下朝陽の左前打、若松の送りバントで一死二、三塁。度会に中前2点適時打を浴び、なお一死一塁から牧を四球で歩かせた。ここで崩れなかったことが大きい。佐野を見逃し三振、エンカーナシオンを遊直に抑え、2失点で踏みとどまった。四回は宮﨑の遊ゴロ、松尾の三邪飛、関根の遊ゴロ。五回も宮下を遊ゴロ、若松を遊ゴロ、度会を一ゴロに打ち取り、2イニング続けて三者凡退とした。三回に生じたDeNAの反撃ムードを、その後の6人連続アウトで断ち切った。阪神打線は三、四、五回を三者凡退に抑えられ、六回には近本の中前打と中野の四球で無死一、二塁をつくりながら無得点。森下の一邪飛、佐藤輝の二ゴロ、大山の遊ゴロで好機を生かせなかった。その裏、先頭の牧にバックスクリーン左へ18号ソロを許し、8-3。じわりと点差を縮められたが、大竹は佐野を遊直、エンカーナシオンを中飛、宮﨑を遊ゴロに仕留め、追加の走者を出さなかった。

成績は6回4安打3失点。大竹自身、点差が開いたからと投球を雑にせず、一人ずつ勝負することを意識したと振り返っている。失点した直後に連打や四球で傷口を広げなかったことが、白星を手元へ引き寄せた。七回からは木下里都が登板。松尾の中越え二塁打に続き、関根の打球を処理した木下の野選で無死一、二塁となった。宮下を空振り三振に取った後、代打・勝又温史に右前打を許して一死満塁。度会の左前適時打で1点を失ったが、なお満塁で牧を併殺打に仕留めた。八回は及川雅貴が登板し、守備では小幡竜平が遊撃に入り、熊谷が三塁へ回った。及川はエンカーナシオンにバックスクリーンへの6号ソロ、宮﨑に左前打を許したものの、松尾を4-6-3の併殺打。二つの回でいずれも併殺が流れを止めた。九回は工藤泰成が関根を空振り三振、宮下を投ゴロ、代打・林琢真を空振り三振に抑え、三者凡退で締めた。

打線は八回、森下の死球から二死一塁となった後、熊谷の左翼線二塁打で二、三塁まで攻めたが、坂本が遊ゴロで無得点。九回には代打・福島圭音が中越え二塁打を放ち、高寺の二ゴロで一死三塁とした。近本の打球を二塁・牧が悪送球する間に福島が生還し、10点目。近本は二塁まで進んだ。中野の右前打で一、三塁となり、中野が森下への初球で二盗。森下は申告敬遠で満塁となったが、小幡が空振り三振、大山が遊ゴロに倒れた。それでも13安打10得点。DeNAの追撃を受けるたび、七回の高寺、九回の相手失策で点差を戻した。最終スコアは10-5。阪神は0失策で9回を戦い切り、最後まで主導権を手放さなかった。

お立ち台でこぼれた涙 故郷・熊本へ届けた4勝目

勝利の余韻に包まれた試合後、主役の表情が崩れた。ヒーローインタビューに立った大竹が、地震に見舞われた故郷・熊本への思いを問われ、声を震わせた。地震発生時、大竹は球宴休みを利用して熊本へ帰省していた。当日に帰阪する予定だったが飛行機が欠航し、市内の実家へ戻った。家具が倒れる被害があり、余震が続く中で眠れない夜を過ごした。

このDeNA戦は、地震後初めての登板だった。マウンドでは平静を保った左腕も、お立ち台では胸の内を抑え切れなかった。当たり前に生活でき、当たり前に野球ができることは、決して当然ではない。その実感を語るうちに涙があふれた。今季は思うように勝てず、逃げ出したくなるような時もあったという。それでも、さらに厳しい状況を打開しようとしている被災者の姿を思い、「逃げずに立ち向かう姿が、少しでも伝われば」と願った。好きな野球を楽しみ、勝利を目指して腕を振る。それがプロ野球選手として今できることだと、大竹は自らの役割を定めていた。

この日の4勝目は6月17日の楽天戦以来。チームの連敗を2で止める白星であり、本人にとっても長い空白を埋める1勝だった。初回に7点をもらった登板は、ただストライクを投げ込めばよい試合ではない。打者の集中が切れやすく、守る時間が長くなれば相手にも反撃の余地が生まれる。藤川監督も、序盤の大量リードが難しい展開になり得ると見ながら、DeNAへ流れが傾きそうな局面をチーム全体で防いだと振り返った。大竹は三回に2点、六回に1点を失ったが、いずれも後続を断ち、六回を完遂した。点を取られた後も切り替えた姿は、本人が届けたいと願った「逃げない姿」そのものだった。10-5というスコアには、初回の爆発力だけではなく、試合を終わらせるまでの仕事が詰まっている。近本と中野が足で揺さぶり、森下、大山、ガルシアが還す。大竹が反撃を最小限に抑え、点差が縮まれば高寺が代打で追加点。木下と及川は走者を背負いながら併殺で切り抜け、工藤が三者凡退で締めた。阪神は同一リーグ戦で今季初の同一カード3連敗を阻止し、単独首位を守った。

熊本の家族や友人から届く言葉を受け止めてマウンドへ上がった大竹は、最後に「日本一に向かって頑張っていきたい」と前を向いた。横浜の夜に流れた涙は、白星の喜びだけではない。故郷を思い、苦しい時間から逃げず、勝利をつかんだ左腕の決意があふれた涙だった。

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