“鯉キラー”大竹がまさかの大炎上・・・5失点大敗

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甲子園に、信じられないような重い空気が漂った。
阪神は7月3日、広島戦に1-5で敗戦。試合展開の中で何よりも痛かったのは、先発を任された大竹耕太郎が三回で5失点を喫し、序盤で試合の主導権を完全に手放したことだった。これまで広島戦で抜群の相性を誇り、“カープキラー”の代名詞とも言える存在だった左腕が、この日はその看板を守れなかった。

立ち上がりは、決して悪くなかった。一回表、大竹は名原を左飛、大盛を三直、菊池を空振り三振に仕留め、三者凡退。いつものように打者のタイミングを外しながら、静かに試合に入った。二回は先頭の坂倉に右安を許したが、小園の打席で坂倉が盗塁失敗。小園を空振り三振に取り、2死走者なしとした。そこからモンテロに二安、佐々木に四球で一、二塁とされたものの、石原を遊ゴロ。ここまでは無失点。少なくとも、この時点で大崩れを予感させる内容ではなかった。

しかし、三回表だった。先頭は投手の森。ここで左前打を許したところから、歯車が一気に狂った。続く名原には左翼への二塁打を浴び、無死二、三塁。大盛に中前適時打を許して先制点を献上すると、なお無死一、三塁から菊池に右前適時打。あっという間に0-2となった。坂倉を二ゴロに打ち取り、1死一、三塁としたが、ここで小園に右前適時打。さらに1死一、二塁からモンテロには左翼への2点適時二塁打を浴び、0-5。モンテロは打者走者として走塁死となったが、阪神にとってはそのアウトで流れを取り戻せるような状況ではなかった。続く佐々木を右飛に打ち取って三回を終えたが、この回だけで6安打5失点。試合は序盤で大きく傾いた。

大竹は3回64球、打者16人、8安打、2奪三振、1四球、5失点5自責点。これまで広島を苦しめてきた投球とは、明らかに違った。本人は試合後、狙った強さの球を投げ切れなかったことを反省し、中15日の登板間隔も言い訳にはしなかった。指揮官も、大竹について上向いていく感覚が見えなかったという趣旨の説明をしている。広島戦で信頼を積み重ねてきた左腕だからこそ、この日の黒星は痛い。ただ打たれたのではない。投手への安打をきっかけに、上位打線につながれ、クリーンアップにとどめを刺された。鯉キラーが、鯉にのみ込まれた夜だった。

虎打線沈黙 前川の一発だけでは甲子園は燃え切らず

大竹を援護したかった打線も、最後まで広島先発・森をとらえ切れなかった。阪神の安打はわずか2本。得点は五回裏、前川右京の右翼席への2号ソロのみ。甲子園を一瞬だけ沸かせた若虎の一撃は鮮やかだったが、反撃の炎はそこから広がらなかった。

一回裏、阪神は髙寺が見逃し三振、中野が二ゴロに倒れた後、森下が左安で出塁した。初回から走者を置いて4番・佐藤輝明を迎えたが、佐藤輝は見逃し三振。先制機を作る前に攻撃は終わった。二回は大山が三ゴロ、前川が右飛。坂本が四球を選んだが、熊谷は一邪飛だった。三回、0-5とされた直後の攻撃では、大竹の代打・百﨑が空振り三振。髙寺が四球で出たものの、中野が遊併打に倒れた。この場面で反撃の糸口を作れなかったことも、試合の流れを重くした。

四回は森下が三ゴロ、佐藤輝が三邪飛、大山が空振り三振。森の低めを突く投球に対し、虎打線は思うように打球を上げられなかった。五回、ようやく前川が魅せた。先頭で打席に入ると、カウント1-1からの球を振り抜き、右翼スタンドへ運ぶソロ本塁打。本人も「いい角度で上がった」と振り返る一発だった。だが、その後が続かない。坂本は空振り三振、熊谷は左飛、今朝丸は見逃し三振。反撃ムードは一気にしぼんだ。

六回は髙寺が投ゴロ、中野が中飛、森下が中飛。七回は佐藤輝が一ゴロ、大山が空振り三振、前川が二直。前川の二直は内容のある打球ではあったが、安打にはならなかった。八回は代打攻勢に出たが、福島が三邪飛、木浪が中飛、榮枝が空振り三振。九回は髙寺が見逃し三振。中野が矢野のファンブルで出塁したが、森下が右飛、最後は佐藤輝が空振り三振に倒れて試合終了となった。

佐藤輝は見逃し三振、三邪飛、一ゴロ、空振り三振の4打数無安打2三振。大山も三ゴロ、空振り三振、空振り三振で3打数無安打2三振。中野は二ゴロ、遊併打、中飛、遊失で4打数無安打。森下は初回に左安を放ったものの、その後は三ゴロ、中飛、右飛だった。前川の本塁打という明るい材料はあった。それでも、チーム全体としては2安打10三振。序盤5失点の重さを跳ね返すには、あまりにも静かな攻撃だった。

今朝丸が光った プロ初登板で3回無失点の堂々1軍デビュー

敗戦の中で、甲子園の虎キチ達が確かに目を向けた存在がいた。高卒2年目の今朝丸裕喜だ。四回表、大竹の後を受けてプロ初登板。0-5という苦しい展開でのマウンドだったが、若き右腕は臆することなく腕を振った。3回41球、打者12人、2安打、2奪三振、1四球、無失点。最速151キロも計測し、初々しさだけではない力強さを見せた。

四回表、先頭の石原を一ゴロ。続く森を空振り三振に仕留め、これがプロ初奪三振となった。さらに名原を遊ゴロ。初登板の最初の1イニングを、わずか7球で三者凡退に片づけた。しかもすべてストライク。甲子園のマウンドで、堂々たる入りだった。五回も勢いは続いた。大盛を中飛、菊池を捕邪飛、坂倉を空振り三振。広島の上位に流れを渡さず、2イニング連続無失点。大竹が浴びた5点のショックを、少しずつやわらげるような投球だった。

六回は、初めて大きなピンチを背負った。小園を左飛に打ち取った後、モンテロに中安、佐々木に右安を許して1死一、三塁。ここで石原はセーフティースクイズを仕掛けた。だが、今朝丸は投前のゴロを落ち着いて処理し、本塁方向へグラブトス。三走・矢野を走塁死に追い込んだ。さらに森に四球を与え、2死満塁となったが、名原を三ゴロ。失点を許さなかった。若手投手にとって、ただ球が速いだけではなく、ピンチで踏みとどまれた意味は大きい。

その後の救援陣も、しっかりと試合を締めた。七回は石黒が登板。先頭の大盛に死球を与え、菊池の投犠打で一死二塁、坂倉の中飛で走者は三塁へ進んだが、小園を二ゴロに仕留めた。八回は及川が矢野を二ゴロ、佐々木を遊ゴロ、石原を二ゴロで三者凡退。九回は津田が佐藤啓を左飛、名原を遊ゴロ、大盛を左飛に抑えた。四回以降、阪神投手陣は広島に追加点を許さなかった。

だからこそ、悔しさは増す。リリーフ陣は無失点で流れを止めた。今朝丸という新しい希望も見えた。だが、試合は取り戻せなかった。勝負を決めたのは三回表の5失点。そこから先にどれだけ踏ん張っても、打線が2安打では追いつけない。若虎の好投は、次につながる材料ではある。だが、この日の甲子園で勝敗を動かすには、あまりにも序盤の傷が深すぎた。

 

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首位再浮上ならず 虎に残った重すぎる宿題

広島は試合の勝負どころを逃さなかった。三回表、投手の森が左安で出塁し、名原が左二塁打。大盛が中前適時打、菊池が右前適時打、小園が右前適時打、モンテロが左翼への2点適時二塁打。まさに畳みかける攻撃だった。モンテロは二回にも二安、六回にも中安を放ち、3安打2打点。大竹に対して強い形を作り、阪神に反撃の余地を与えなかった。

広島先発の森も、投打で存在感を示した。打っては三回の猛攻の口火となる左安。投げては7回93球、2安打1失点、7奪三振、2四球。前川にソロ本塁打を許した以外は、阪神打線をほぼ封じ込めた。八回は遠藤が福島、木浪、榮枝を退け、九回は森浦が中野を失策で出しながらも、森下を右飛、佐藤輝を空振り三振。広島から見れば、投打がかみ合った快勝。阪神から見れば、打たれ、抑えられ、主導権を一度も握れない完敗だった。

阪神は首位再浮上のチャンスを逃した。先発は広島戦で最も期待をかけたい大竹だった。これまで積み上げてきた“カープキラー”としての信頼があるからこそ、ファンもベンチも、この試合を取りにいくカードとして見ていたはずだ。その大竹が三回で5点を失い、打線は2安打に沈んだ。流れを変えるはずの一戦で、逆に課題を突きつけられた。

もちろん、前川の一発はあった。今朝丸の堂々たる初登板もあった。石黒、及川、津田も無失点でつないだ。探せば光はある。だが、虎キチが見たいのは「惜しかった材料」ではなく、勝利だ。序盤の大量失点を防ぐこと。好投手を相手にしても、どこかで流れをこじ開けること。主軸が沈黙した時に、打線全体で粘ること。この試合で見えた宿題は、どれもシーズンを戦い抜く上で避けて通れないものばかりだった。

大竹は次へ向かうしかない。カープキラーの看板は、一夜で完全に消えるものではない。だが、その看板をもう一度強く輝かせるには、次の登板で結果を出すしかない。猛虎打線も同じだ。前川だけでは勝てない。森下、佐藤輝、大山、中野らがつながってこそ、甲子園は沸騰する。カープ打線に沈められた夜の悔しさを、どう次へ変えるのか。7月戦線は、重い宿題を背負って続いていく。

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