2025年、阪神タイガースの内野手・熊谷敬宥(くまがい・たかひろ、右投右打)は、チームのデプスの分厚さを象徴する“バックアップ戦力”として存在感を示した。熊谷は2017年ドラフト3位で阪神入りし、プロ8シーズン目を迎えた今季、公式戦で 85試合に出場した。
熊谷は 打率.224、安打35、得点22、打点18、盗塁6、ホームラン1 と、主力クラスと比較すると数字自体は派手ではないものの、出場機会の多さがまず目を引く。これは、一軍戦での代走・守備固め・代打など、状況に応じた起用が多かったことを示している。
熊谷の打席数は170、打数156。得点圏での打撃や起用法の違いによる出場機会差はあるが、シーズンを通して85試合に出場した記録が残されている事実は、コーチ陣が「必要な場面」で熊谷を使い続けた証左でもある。
一軍出場は前年よりも多く、昨季「32試合程度の出場」からステップアップした事は間違いない。
打撃成績だけでなく、走塁や守備も含めて評価されるプレーヤーとして、2025シーズンを通じて一軍帯同していた。
数字で見る2025 ― 打席・安打・盗塁の実績
熊谷の公式打撃成績(NPB公式・2025年度阪神)は以下の通りである。
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85試合出場
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打率 .224
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安打 35
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二塁打 2、三塁打 3、ホームラン 1
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打点 18、盗塁 6
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出塁率 .253、長打率 .295
熊谷はこの年、主に 代走・守備固めや下位打線の起用 という形で出場が多く、特定の打撃指標で上位に食い込むタイプではない。しかし、打率.224、安打35、盗塁6というスタッツは、実戦でコンスタントに出場していたことを示す数字 だ。特に盗塁はシーズンで6個記録しており、走塁面での貢献機会が複数試合であったことを示している。
また、内野の複数ポジションで守備に就き、交代での出場や代走としてベンチから呼ばれる場面も散見された。これらは記録上残る「出場試合数」からだけでは分からないが、守備機会を何度もクリアした一軍戦力として捉えることができる。
2025年の阪神は公式記録で 85勝54敗4分 と強い成績を残しており、熊谷はその中で一軍出場を積み重ねた。チーム全体の出場機会を多数の選手でシェアしていた状況の中、熊谷の85試合という数字は決して少なくはない一軍出場実績として記録されている。
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ハイライト ― 連続安打・盗塁・多目的起用
熊谷の2025年シーズンでは、いくつか記憶に残るシーンがある。この点について、試合ごとのプレーぶりを確認しておきたい。
8月22日 ― 延長10回の値千金勝ち越し打
2025年8月22日、阪神は東京ヤクルト戦(神宮)で延長戦にもつれ込んだが、熊谷が延長10回表に勝ち越し打を放った。熊谷はこの試合、4打数1安打2打点の成績を残し、延長戦での活躍が勝利に直接結びついた。
同試合の公式戦評では、熊谷が同点に追いついた場面(5回表・村上宗隆の後逸による出塁と絡む得点)や、延長10回の勝ち越しタイムリーヒットが詳細に記録されている。勝利投手は阪神・桐敷、セーブは岩崎であり、この延長戦制した勝利は熊谷の一打なしには成立し得なかった。
8月30日 ― 試合を締めた送球と併殺阻止
2025年8月30日、阪神は読売ジャイアンツ戦(甲子園)で3–2の勝利を収めた。この試合では熊谷が代走や守備で起用された。
熊谷はこの試合で2打数0安打1得点として記録されており、得点に絡む出場も果たしている。
また、この試合のハイライト動画には、熊谷による“ナイス送球でランナーを刺したプレー”が映像として公開されている。これは公式スコアには数字としては残らないものの、守備で試合の流れを止めたプレーとして賞賛された。
甲子園でのこの勝利は、チームにとって首位争いを継続するうえで重要な1勝だった。熊谷は守備・走塁・打撃の複合的な貢献で、チームになくてはならない存在である事を証明して見せた。
26年シーズンにかかる期待― 熊谷のさらなる飛躍
迎える2026年シーズンは、数字以上の価値を示すシーズンであってほしい。2025年は85試合に出場し、打率.224、盗塁6、そして8月22日のヤクルト戦では延長10回に決勝打を放つなど、要所でチームの勝利に貢献した。レギュラーの座はまだ確保できていない。だが「必要な場面で呼ばれる選手」にまでは成長したはずだ。
だからこそ、来季に求めたいのは“試合を動かす一打”を増やすことだ。代打での初球スイング、得点圏でのコンパクトな打撃、バントや進塁打――熊谷の役割は派手さより確実性にある。2025年に見せた勝負強さを、もう一歩だけ前へ。ベンチが最も欲しい場面で、再びバットを振り抜いてほしい。
もう一つの武器は走力だ。盗塁6という数字は、限られた出場機会の中でも確実に足を使った証。終盤の1点勝負で代走から得点に絡むシーンが増えれば、熊谷の存在価値はさらに大きくなる。スタートの鋭さ、スライディングの技術、帰塁の判断――細部を磨けば、1点が1勝に変わる。
守備でも期待は大きい。内外野の複数ポジションをこなせるユーティリティー性は、長いシーズンで必ず必要になる。8月30日の巨人戦で見せた送球のように、「守りで試合を締める」場面をもっと見たい。派手な美技でなくていい。アウトを一つ確実に取る、その積み重ねがチームを救う。
そして何より、一軍に居続けること。ベンチで試合を見続けた時間、代打での緊張感、代走での駆け引き―すべてが次の一歩の糧になる。熊谷がグラウンドに立つ回数が増える事は間違いないだろう。
これまでは、主役ではなかったかもしれない。だが、主役を張れるだけの力がある。熊谷敬宥に託したいのは、「一打と一歩で流れを変える男」への進化だ。甲子園の終盤、スコアボードに名前が灯る瞬間を、来季は見せてくれるだろう。

