首位攻防戦、岩崎悪夢の4失点で大逆転負け・・・

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阪神が、勝てる流れを自ら手放した。
6月23日、甲子園で行われたヤクルト戦。1点リードで迎えた八回、勝ちパターンとなったところでリリーフの一角を担う岩崎優がつかまり、0-1から一挙4点を失った。直後に大山悠輔の11号2ランで1点差まで追い上げたが、最後はヤクルトの守護神・キハダの前に三者連続三振。阪神は3-4で敗れ、連勝は3でストップした。

首位・阪神にとって、3位ヤクルトとの直接対決は、上位争いを左右する大事な一戦だった。だが、結果は今季15度目の逆転負け。この日勝利した巨人に同率首位で並ばれ、ヤクルトにも0.5ゲーム差に迫られる形となった。試合前まで積み上げてきた流れを考えれば、重い1敗であることは間違いない。

先手を取ったのは阪神だった。二回1死から、6番・熊谷敬宥がレフト前安打で出塁。続く7番・濱田太貴は、古巣ヤクルトを相手に外角低めのスライダーを左前へ運び、移籍後初安打。1死一、二塁と好機を広げた。ここで8番・梅野隆太郎は0-1からライトフライ。通常なら得点には直結しない打球だったが、二走・熊谷がタッチアップすると、右翼・モンテルの送球が乱れた。熊谷は一気に本塁へ生還。阪神は相手のミスを突いて、1点を先制した。

ただ、この1点以降はスコアが動かない。三回は1死から中野拓夢がライト前安打で出たが、森下翔太が中飛、佐藤輝明が遊飛。五回は先頭の梅野が左翼線への二塁打で出塁したものの、才木浩人の送りバントが失敗となり、二走・梅野が走塁死。髙寺望夢は左飛、中野は空振り三振に倒れた。七回も代打・福島圭音が右前打で出て、梅野がきっちり捕犠打を決めたが、代打・糸原健斗は左飛、髙寺は空振り三振。何度も走者を置きながら、あと一本が出なかった。

八回裏には意地も見せた。4点を奪われ、1-4となった直後。先頭の中野が右前打で出塁したが、森下は三塁への5-4-3併殺打。嫌な空気が漂う中、2死から佐藤輝が詰まりながらも左前打で出ると、5番・大山がカウント0-1から右中間スタンドへ11号2ランを放り込んだ。3-4。甲子園は再び沸いた。だが、反撃はここまで。九回は代打・坂本誠志郎、梅野、小野寺暖がいずれも空振り三振に倒れ、1点が遠かった。

大山はこの一発で直近4試合4本塁打と存在感を示した。それでも、試合後に口にしたのは個人記録ではなく勝利への思いだった。「勝ちにつながるように。また明日やりたい」。主砲の一振りは、敗戦の中で唯一と言っていい反撃の炎だったが、チームを白星まで運ぶには足りなかった。

才木は6回無失点8奪三振 工藤も三者連続三振で流れを作ったが…

本来なら、勝利の主役になるはずだったのは才木だった。初回、先頭の長岡秀樹に左翼への二塁打を許したが、増田珠を右飛、古賀優大を投ゴロに打ち取り、二走・長岡を走塁死に。続くオスナも右飛に仕留め、無失点で立ち上がった。

二回は2死から赤羽由紘を遊撃・熊谷の悪送球で出塁させ、山野太一にはワイルドピッチによる振り逃げを許した。それでも、2死一、二塁でモンテルを捕邪飛。守備の乱れが絡んでも、得点は与えなかった。三回は2死から古賀に右前打を浴びたが、オスナを二飛。四回は岩田幸宏を10球目のストレートで遊ゴロ、松下歩叶を中飛、赤羽を空振り三振に仕留め、三者凡退とした。

圧巻だったのは中盤だ。五回は山野、モンテルを連続空振り三振に斬り、長岡を二飛。六回にはこの日最大の山場が訪れた。1死から古賀にフェンス直撃の二塁打を浴び、オスナに四球。さらにワイルドピッチで1死一、三塁となった。ここで迎えたのは5番・岩田。才木はワンバウンドの球で空振り三振に仕留めると、続く松下にも8球粘られながら、最後は外角低めのフォークで空振り三振。ピンチを力でねじ伏せた。

才木の投球内容は6回100球、3安打、8奪三振、1四球、無失点。先発として十分すぎる内容だった。5月24日の巨人戦以来となる今季6勝目の権利を持って降板。藤川球児監督も試合後、「ピンチをしっかりしのいで、ゲームはしっかりつくってくれましたね」と評価した。勝利投手になれなかったことは痛いが、才木自身の投球は次につながる内容だった。

七回には2番手・工藤泰成がマウンドへ上がった。1点リードのしびれる場面。先頭の赤羽を空振り三振、代打・塩見泰隆も空振り三振、モンテルも空振り三振。わずか12球で三者連続三振を奪い、甲子園の空気を一気にタイガースムードへ引き戻した。直近でも奪三振力を見せていた右腕は、この日も役割を完璧に果たした。

工藤は「気持ちの面が一番でかい。自信もありますし」と語っていたが、その言葉通り、マウンド上の姿には迷いがなかった。真っすぐで押し、空振りを奪う。七回を任せられる投手として、存在感は確実に増している。だからこそ、その後に訪れた八回の暗転が、余計にこたえた。

工藤にめどが立ったことは阪神にとって明るい材料となった。速い球があり、フォークもある。制球面の安定も増している。一方で、八回、九回を任せる投手となると話は別で、現状の勝ちパターンは岩崎、ドリスらが軸になる。七回を完璧に抑えた工藤の好投は確かな収穫だったが、勝負どころで勝ちパターンが崩れたこの日は、思い通りにはいかなかった。

 

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悪夢の八回 岩崎が7人に4安打2四球4失点、13球で流れが一変

問題の八回表。1-0。才木、工藤がつないだゼロのバトンを受け、3番手として岩崎がマウンドに上がった。守備では小野寺がレフトに入った。ところが、立ち上がりからヤクルト打線にのみ込まれた。

先頭の長岡に、外角低めのストレートをセンター前へ運ばれた。無死一塁。続く増田には、詰まらせながらもライト前へ落とされ、無死一、二塁となった。ここで3番・古賀はきっちり送りバント。1死二、三塁。増田に代走・伊藤琉偉が送られ、阪神ベンチからコーチがマウンドへ向かった。

次打者は4番・オスナ。ここを勝負の分岐点として踏ん張りたかったが、岩崎は四球を与え、1死満塁とした。打席には5番・岩田。初球だった。岩田の打球は左翼への適時二塁打となり、二者が生還。阪神は1-2と逆転を許した。ここまで無失点でつないできた試合が、一瞬でひっくり返った。

さらに6番・松下のところで、ヤクルトは代打・サンタナを送った。阪神バッテリーは満塁策で申告敬遠。1死満塁。続く7番・赤羽の打球はライト前へ抜ける2点適時打となった。スコアは1-4。1点を守るはずの八回が、4点を追う展開に変わった。ここで岩崎は降板。4番手・石黒佑弥がマウンドへ向かった。

岩崎の成績は0回1/3、13球、打者7人、被安打4、与四球2、4失点4自責点。奪三振はなく、打たれた安打はいずれも得点に直結した。長岡の中前打、増田の右前打、岩田の2点二塁打、赤羽の2点右前打。加えてオスナへの四球、サンタナへの申告敬遠。1死を取るまでに古賀の犠打を挟んだとはいえ、ヤクルトに理想的な攻撃を許した。

岩崎が1試合4失点を喫するのは、4年ぶりとなった。今季はこの試合前まで防御率1.02。経験、実績、信頼のすべてを持つ左腕だからこそ、藤川監督も1点リードの八回を託した。だが、この日はボールの勢い、制球、勝負どころの精度がかみ合わなかった。試合後、岩崎は「次、頑張ります」と繰り返した。多くを語らず、結果を受け止めるしかなかった。

藤川監督は責めなかった。「1-0で非常に難しい試合展開ですから。また明日以降やってくれると思います」。信頼は揺らがないという姿勢を見せた。その一方で、試合としては、リリーフだけに敗因を背負わせることもできない。1点差のまま八回を迎えた時点で、継投には極度の緊張がかかっていた。先発・山野を攻略しきれず、リランソからも七回の好機を生かせなかった打線の停滞が、岩崎のマウンドをより難しくした面はある。

それでも、勝ち切るチームになるためには、八回の4失点は避けなければならなかった。阪神は七回までヤクルト打線を3安打無得点に封じていた。才木が粘り、工藤が力でねじ伏せ、甲子園の流れも阪神に傾いていた。その流れが、長岡、増田の連打で一気に怪しくなり、古賀の犠打、オスナの四球、岩田の逆転打、赤羽の追加打で完全にひっくり返った。まさに、悪夢の八回だった。

攻撃陣に残った課題 山野を崩しきれず、最後は3者連続三振

阪神打線は8安打を放った。数字だけ見れば、ヤクルトの7安打を上回っている。だが、得点は3。しかも二回の先制点は、梅野の右飛に相手右翼・モンテルの悪送球が絡んだもの。八回の2点は大山の本塁打。つないで崩す攻撃は、最後まで形になりきらなかった。

ヤクルト先発・山野には6回114球を投げさせた。四球も2つ選び、走者は出した。だが、攻略には至らなかった。山野の成績は6回4安打、2奪三振、2四球、1失点、自責点0。阪神からすれば、球数を要しながらも粘られた印象が強い。五回無死二塁、七回無死一塁から犠打で1死二塁とした場面など、追加点のチャンスはあった。しかし、決定打が出ないまま終盤へ進み、1-0の薄氷の展開に持ち込まれた。

藤川監督は、八回の大山の2ランで1点差まで迫ったことを問われても、その前の攻撃に目を向けた。「終盤のところでこちらがいい攻撃を仕掛ける必要がある」。この言葉は、試合の本質を突いていた。1点差を守る野球は強さでもあるが、毎回それだけで勝ち切れるわけではない。才木が六回のピンチをしのぎ、工藤が七回を三者連続三振で片づけたからこそ、攻撃陣にはもう1点、もう2点が必要だった。

各打者の結果を振り返ると、1番・髙寺は二ゴロ、空振り三振、左飛、空振り三振で4打数無安打2三振。2番・中野は二ゴロ、右前打、空振り三振、右前打で4打数2安打。3番・森下は四球、中飛、投飛、三併打。4番・佐藤輝は右飛、遊飛、右飛、左前打。5番・大山は遊飛、二ゴロ、四球、右中間本塁打。中軸では大山の一発が光った一方、森下の八回の併殺打は流れを切る形になった。

下位では熊谷が二回に左前打を放って先制のホームを踏み、濱田が古巣相手に移籍後初安打。梅野は二回に先制点を呼ぶ右飛、五回には左翼への二塁打、七回には犠打を決めた。福島は七回、代打で右前打。前回の悔しさを晴らすように結果を出したが、得点には結びつかなかった。九回は坂本、梅野、小野寺がキハダの前に3者連続空振り三振。最後は力で押し切られた。

阪神にとって、収穫がなかったわけではない。才木は先発として試合をつくり、工藤は勝ちパターン入りをうかがわせる内容を見せた。大山は量産態勢に入り、濱田にも待望の移籍後初安打が出た。梅野は14日ぶりの1軍で先発マスクをかぶり、才木を6回無失点に導いた。だが、こうした明るい材料を勝利に変えられなかったことが、何より痛い。

3-4。数字だけなら惜敗だが、中身は勝ちゲームを落とした1敗だった。才木の白星は消え、岩崎には敗戦がつき、チームは巨人に同率首位で並ばれた。藤川監督は「また明日以降、いいゲームの展開に持っていかなければ」と前を向いた。長いシーズン、信頼する投手が打たれる日もある。だが、上位が詰まる混戦の中では、こうした1敗の重みが後から効いてくる。

課題は明確だ。1点を守る野球に持ち込む前に、試合を動かす攻撃を仕掛けること。そして、勝ちパターンが崩れた時に、次の手をどう整えるか。甲子園に残ったため息を、次戦で歓声に変えられるか。痛恨の逆転負けは、首位を走る阪神に突きつけられた、はっきりとした宿題となった。

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