ポテンシャルの高さは折り紙付き・・・ながら、スタメン奪取を実現できずに苦しんできた井上選手が、バッティングの改善を続けています。持ち前のパワーを活かせるとチャンスはあるはず。甲子園での大ホームラン、楽しみにしています!
【元虎番キャップ・稲見誠の話】試行錯誤か迷走か 安定しない阪神・井上広大の左足 止めて、上がって、また止まる…
(サンケイスポーツより)
知らない間に2024年バージョンに戻っていた。阪神・井上広大の打撃フォームだ。新2軍施設「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」のオープニングゲームとなった1日の広島戦では「5番・左翼」で出場し、二回の第1打席で右前打を放った。左足はノーステップ。足を上げるフォームで2月の春季キャンプに突入したが「シン・井上」は1カ月も続かなかった。
「調子いいよ。井上は。いい感じというか。タイミングの取り方を、これでいこうっていうのに、ある程度固まってきてんじゃないかな。常に試行錯誤するものの、迷ってたら打てん。去年の形にある程度戻して固めていこうという気になってると思う。ふっきれてたと思うよ、そう意味ではね」
平田勝男2軍監督の言葉が全て。それは「試行錯誤」とも確かに言える。ひねくれた見方をすれば「迷走」。確かに、フォーム固めは難しい。現役生活を終えるまで、それは決まらない永遠のテーマだ。足を上げなければ、上下動を抑えられるから安定感は増す。ボール球にも手を出さない。しかし上げた時より、打球は飛ばない。止めて、上がって、また止まる。井上の左足が、本人の苦悩を物語っている。
大阪・履正社高の4番を務め、夏の甲子園大会を制した。2020年ドラフト2位で阪神に入団。1年目から1軍を経験し、甲子園で初安打を適時打で飾り、打点をマークした。前途洋々、のはずだった。気が付けば、長いトンネルに入っていた。2023年オフは巨人・岡本和真、DeNA・牧秀悟とそれぞれ自主トレを行った。タイプが全く違う異例の〝行脚〟だった。
その甲斐があったのか24年シーズンは23試合出場ながら、プロ初アーチを含む3本塁打。打率・212に終わったものの、今季は前川右京と正左翼手を争うものと思われていた。2学年下との一騎打ちの状況で選んだのが、左足を上げるフォーム。長くは続かなかった。2月の春季キャンプでは1軍クラスが多く集まる宜野座組でスタートしたものの、終盤になって、具志川組に合流。北川博敏2軍打撃チーフコーチと相談した上で、元に戻した。
1日の広島戦では4打数1安打2三振に1併殺。「一本出ましたが、内容を突き詰められるように頑張ります」。こう語った井上が2軍球場のこけら落としメンバーに名を連ねるとは個人的には思わなかった。ウエスタンでは21年に打点王、22年は最多安打、昨季は首位打者に輝いた。2軍では格の違いを見せつける。それだけでも才能がある証しで、ひと握りの選手しか、戴冠を味わえない。だからこそ、もったいない。惜しい。歯痒い。「鳴尾浜の主砲」から脱却するはずが、球場が兵庫県尼崎市に移っても、ファームの顔になってしまうのか。
8月の誕生日で24歳。プロ6年目の春。1軍では佐藤輝明、森下翔太、大山悠輔のクリーンアップが固まり、よほどのことがない限り、6番に「左翼・前川」。同じ右打者の外野手では豊田寛が1軍に残っている。開幕1軍を目指す井上の前には狭き門しかない。「結果を残すだけ」と自分に言い聞かせるように、言葉を残す。左足が何を伝えるのか。どんな答えを導いてくれるのか。意地を見たい。存在感を示してほしい。23年入団の井坪陽生、24年組の山田脩也、百崎蒼生のコンビ。高卒野手が順調に成長している。井上の居場所はファームではない。打球を遠くに運ぶセンスを持ちながら「新2軍球場の主」に収まるなんて、寂しすぎる。
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