雨中の甲子園、虎が13安打6得点で連敗ストップ

雨中の甲子園、虎が13安打6得点で連敗ストップ

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雨に打たれた甲子園で、猛虎打線がようやくうなりを上げた。
阪神は7月5日、甲子園で広島と対戦し、6-4で逆転勝ち。13安打を放ち、連敗を2で止めた。スコアだけを見れば2点差の接戦。しかし、中身を見れば、序盤から終盤まで打線がしぶとく食らいつき、相手のミスを逃さず、必要な場面で次の一本を出した試合だった。

先手を取ったのは広島だった。初回、1死から大盛が右前打で出塁し、菊池の打席で二盗に成功。2死二塁から坂倉が中前適時打を放ち、阪神は0-1と追う展開になった。阪神の初回は髙寺が捕飛、中野が空振り三振、森下が中飛。静かな立ち上がりだった。

だが、2回裏にすぐ反撃した。先頭の佐藤輝明が中前打で出塁すると、大山が右前打で続き、無死一、三塁。ここで6番・前川右京が一塁への適時内野安打を放ち、同点に追いついた。木浪の右飛、坂本の四球で1死満塁と攻め立てたが、村上が空振り三振、髙寺が二ゴロに倒れ、この回は1点止まり。それでも、初回に先制された直後に、4番、5番、6番の3連打で追いついた意味は小さくなかった。

阪神打線は、この日、床田に対して序盤から球数を投げさせた。3回は中野が左飛、森下が投ゴロ、佐藤輝が三直に倒れたが、4回には大山が中前打でこの日2本目の安打。前川は空振り三振、木浪も空振り三振、坂本は申告敬遠、村上も空振り三振で勝ち越しはならなかった。だが、2回の3安打、4回の大山の安打、坂本の2四球が示すように、打線全体に「沈黙」という空気はなかった。結果的に、この積み重ねが5回のビッグイニングにつながっていく。

5回、佐藤輝が走り前川が仕留めた 一気4点の勝負どころ

試合を動かしたのは5回裏だった。1-1の同点。先頭の髙寺は遊ゴロに倒れたが、1死から中野が内角のカットボールを右前へ運んだ。続く森下も左前打。一、二塁となり、打席には4番・佐藤輝。ここで虎の4番が、勝負の流れを一気に変えた。

カウント3-2から低めの変化球を捉え、打球は右翼へ。記録は右前打。しかし、右翼・野間が後逸し、さらに送球も乱れた。その間に二塁走者の中野、一塁走者の森下が生還。さらに佐藤輝も一気に本塁へ駆け込み、阪神は4-1と勝ち越した。1本の右前打と相手の2失策。スコアブック上は打点がつかない形でも、試合の主導権を奪ったのは間違いなくこの一打、この全力疾走だった。

佐藤輝は2回の中前打、5回の右前打、7回の左前打で4打数3安打と猛打賞。自身初となるシーズン10度目の猛打賞を記録した。3日の広島戦で敗れた後には、修正点を見直していたことも明かされている。本人は「感じは良かった」と振り返った。派手な本塁打ではない。だが、センター方向、右方向、左方向へと3本の安打を散らした内容には、4番の復調を感じさせるものがあった。

さらに、甲子園の熱気をもう一段引き上げたのが前川だった。佐藤輝の激走で3点を奪った直後、2死走者なし。床田の初球、内角138キロ直球を振り抜くと、打球は右翼スタンドへ飛び込んだ。5-1。3号ソロ。前川は2回にも同点の一塁内野安打を放っており、この日は4打数2安打2打点。3日の広島戦に続く2戦連発で、スタメン起用に結果で応えた。

本人は本塁打について「入ってくれて良かった」と話し、2安打2打点の結果にも浮かれることなく、次戦へ向けた準備を口にしている。左翼のポジション争いがある中で、同点打と追加点の本塁打。数字以上に、打つべき場面で打った価値が大きい。阪神は5回だけで中野、森下、佐藤輝、前川の4安打を集め、4得点。13安打6得点の攻撃の中心には、この5回の集中打があった。

村上102球の粘投、中野の美技。守りで流れを渡さなかった

打線が6点を奪った一方で、先発・村上頌樹の粘りも勝利の大きな柱だった。立ち上がりは先制を許した。初回2死二塁から坂倉に中前適時打を浴び、0-1。2回も先頭・野間に左二塁打を許したが、佐藤啓を三邪飛、床田を空振り三振、石原を見逃し三振に仕留め、追加点は与えなかった。

最大の山場は4回だった。1死から小園に左前打、野間に四球。続く佐藤啓の打球で村上に悪送球が記録され、1死満塁のピンチを背負った。雨も強まり、足元も難しい状況。ここで床田の打球は二遊間へ飛んだが、二塁・中野が逆シングルで捕球し、本塁へ送球。坂本から一塁へ転送され、4-2-3の併殺が完成した。広島に勝ち越しを許してもおかしくない場面で、守備が投手を救った。

村上は6回102球、5安打1失点。勝利投手となり、今季7勝目を挙げた。6回は菊池を三飛、坂倉に中前打を許したものの、小園を左飛、野間を左飛に打ち取り、リードを保ったままマウンドを降りた。絶好調の内容ではなかったとしても、先発として試合を壊さず、味方の反撃を待ち、リードを守って救援陣へ渡した。

村上は、雨の中で粘り強く投げて先発の役割は果たした。一方で、今季は低めに投げきれない場面があったのも事実だ。確かに、この日の村上は圧倒的にねじ伏せる投球ではなかった。だが、2回無死二塁、4回1死満塁をしのいだことが、5回のビッグイニングを呼び込んだ。野球は、打つ前に守る。村上と中野の4回のワンプレーは、この試合の隠れた分岐点だった。

藤川球児監督も、試合後に野手の守備について触れ、中野、佐藤、大山の名前を挙げて評価した。内容面では反省も残る試合だったが、雨の中で勝利を届けられたことに安どした様子だった。4万人を超える観衆の前で、阪神は打っただけではない。守って、耐えて、流れをつないだ。

 

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ヒヤリの終幕、それでも勝ち切った阪神 首位決戦へ残した課題と収穫

もちろん、完勝とまでは言えない。5-1とした後の終盤、阪神は広島にじわじわと迫られた。7回表、2番手・工藤が先頭の佐藤啓に中前打を許すと、代打モンテロに左適時二塁打を浴び、5-2。8回表は岩崎が坂倉の左前打、小園の空振り三振後、代打・佐々木に中前打を許し、2死一、二塁から佐藤啓に右前適時打を浴びた。これで5-3。さらに一、三塁とされたが、代走・辰見の二盗を坂本が刺し、リクエスト後も判定は変わらず、何とか切り抜けた。

その直後の8回裏、阪神が貴重な追加点を奪う。代打・福島が投手強襲の内野安打で出塁。坂本は送りバントを試みたが捕邪飛に倒れた。それでも熊谷が左前打で一、三塁を作ると、髙寺が中﨑から右前適時打。6-3とリードを3点に広げた。髙寺はそれまで捕飛、二ゴロ、遊ゴロ、三飛と快音が出ていなかったが、終盤の1本で仕事をした。本人は「積極的に行こうと思った」としながらも、他の打席への反省を口にしている。若い選手の結果と反省が同居した、価値ある追加点だった。

9回はドリスが登板。先頭のファビアンに左越え6号ソロを浴び、6-4。持丸を見逃し三振、名原を三ゴロに打ち取って2死までこぎつけたが、大盛の左飛を左翼・小野寺が落球。試合終了と思われた打球で、甲子園が一瞬ざわついた。だが、大盛が一塁を大きく回ったところで走塁死。まさかの形で試合は終わった。

この終幕だけを見れば、課題は残る。工藤、岩崎、ドリスがそれぞれ失点し、守備でも最後にミスが出た。佐藤義則氏も救援陣がそろって失点した点を心配材料として挙げている。勝ちパターンは長いシーズンの生命線であり、勝ったからこそ点検できる部分でもある。

それでも、この日の阪神には収穫が多かった。13安打のうち、佐藤輝が3安打、大山が2安打、前川が2安打、福島、熊谷、髙寺も終盤に安打を放った。2回は中軸から下位へつないで同点。5回は上位から中軸へつないで一挙4点。8回は代打と途中出場の選手が絡んで追加点を奪った。単なる大味な大量点ではない。打線のいろいろな場所から安打が出て、形になった6得点だった。

阪神はこの勝利で7月初白星を挙げ、巨人と同率首位を守った。藤川監督は、東京ドームに向かう次カードを意識し、強い姿で帰ってこなければならないという思いも口にしている。雨中の甲子園でつかんだ6-4。鮮やかな部分も、冷や汗の部分も、どちらもあった。だが、連敗を止める一勝に必要だったのは、きれいな勝ち方でなくとも、勝ち切る力だった。13安打で広島を押し切り、首位決戦へ向かう足場を作った。

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