“虎の子”1点を守り抜き、薄氷の完封勝利!

“虎の子”1点を守り抜き、薄氷の完封勝利!

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阪神が、息詰まる投手戦をものにした。2026年5月29日、ZOZOマリンで行われた千葉ロッテとのセ・パ交流戦。スコアは1-0。派手な一発も、大量点もない。だが、こういう試合を勝ち切るところに、チームの強さがにじむ。阪神は2回に中野拓夢の二ゴロの間に奪った1点を、先発・髙橋遥人と9回を締めたドリスの完封リレーで守り切った。

試合は初回から、互いに簡単には流れを渡さない攻防となった。阪神は1回表、先頭の中野が四球を選んで出塁。森下翔太は左飛、佐藤輝明も左飛に倒れたが、2死一塁から大山悠輔が中前打を放ち、一、三塁とした。ここで5番・髙寺望夢に回ったが、打球は詰まった二ゴロ。先制機を逃したものの、ロッテ先発・田中晴也に対して、いきなり走者を三塁まで進める立ち上がりとなった。

その裏、髙橋はいきなり先頭の小川龍成に死球を与えた。しかし、続く友杉篤輝を4-6-3の併殺打に仕留める。西川史礁も二ゴロに打ち取り、結果的には3人で片づけた。無死一塁から一気に2死走者なしへ持ち込んだこの併殺が、髙橋の投球を落ち着かせる大きな入り口になった。

均衡が破れたのは2回表だった。先頭の立石正広が左安で出塁。福島圭音は送りバントを試みたが、フライとなって1死一塁。ここで伏見寅威が右安を放ち、一、二塁と好機を広げる。さらに熊谷敬宥が四球を選び、1死満塁。ロッテはコーチがマウンドへ向かり、田中に間を取ったが、続く中野の打球は二ゴロ。この間に三塁走者の立石が生還し、阪神が1点を先制した。なおも2死一、三塁と続いたが、森下は捕邪飛。それでも、阪神はこの試合唯一の得点をここで刻んだ。

2回裏、髙橋は4番・山口航輝を三ゴロ、5番・佐藤都志也を空振り三振に仕留め、簡単に2死を取った。池田来翔に左二塁打を許し、この試合初安打を浴びたが、続く井上広大を右飛に打ち取って無失点。ロッテに流れを渡さなかった。2回を終えてスコアは0-1。阪神が奪ったわずか1点が、最後まで大きくのしかかる展開となった。

わずか4安打で勝つ。2回の攻撃で決勝点をもぎ取る

この日の阪神打線は、決して爆発したわけではない。チーム全体で31打数4安打。得点は2回の1点だけだった。それでも、勝負どころで走者をため、内野ゴロで1点をもぎ取った。派手さはなくとも、接戦を制するための最低限の仕事を果たした攻撃だった。

1回は中野の四球と大山の中安で2死一、三塁を作ったが、髙寺が二ゴロに倒れて無得点。2回は立石の左安から始まり、福島のバント失敗で一度は流れが止まりかけた。しかし伏見が右安でつなぎ、熊谷が四球を選ぶ。ここで満塁の形を作れたことが大きかった。中野の二ゴロは安打ではないが、それでも三塁走者を迎え入れ、試合の決勝点となる打点を記録した。

その後の阪神打線は、田中の前に追加点を奪えなかった。3回は佐藤輝が一ゴロ、大山が左飛、髙寺が遊飛で三者凡退。4回も立石が遊ゴロ、福島が二ゴロ、伏見が二ゴロで3人で攻撃を終えた。5回は熊谷が空振り三振、中野が見逃し三振、森下が二邪飛。6回も佐藤輝が左飛、大山が遊ゴロ、髙寺が空振り三振と、田中にリズムを作られた。

ロッテ先発・田中は6回115球、被安打3、奪三振3、与四球2、1失点。阪神から見れば、2回に奪った1点以降は攻略し切れなかった。それでも、この試合ではその1点がすべてだった。田中に粘られながらも、序盤の満塁機で先に点を取ったことが、試合の主導権を阪神側に引き寄せた。

7回からはロッテが小野郁に継投。阪神は7回表、先頭の立石が遊飛に倒れたあと、福島が四球で出塁。伏見の打席で福島が盗塁を決め、2死二塁としたが、伏見は空振り三振、熊谷は中飛で追加点ならず。8回は中野が左飛、森下が二飛のあと、佐藤輝が二塁内野安打で出塁したが、大山が二飛に倒れた。9回は益田直也に対し、髙寺が左飛、立石が空振り三振、福島が四球で出たものの、伏見は右邪飛に倒れた。

阪神打線の安打は、大山、立石、伏見、佐藤輝の4本。中野は3打数無安打ながら、1打点と1四球。福島は2打数無安打ながら2四球と1盗塁を記録した。4安打1得点。数字だけを見れば物足りなさもあるが、無失点で守り切れる投手がいる試合では、こうした1点が勝敗を決定づける。阪神はこの夜、少ない好機を得点に変え、その1点を最後まで守り抜いた。

髙橋遥人、8回2安打無失点。106球に詰まった圧巻の投球内容

この試合の主役は、間違いなく髙橋遥人だった。8回を投げて106球、打者28人、被安打2、被本塁打0、奪三振6、与四球2、与死球1、無失点。スコアは1-0。わずかなリードを背負いながら、ロッテ打線に本塁を踏ませなかった。今季6勝目。防御率は0.86。エキサイティングプレーヤーにも選ばれたその内容は、数字以上に濃いものだった。

立ち上がりは、決して無風ではなかった。1回裏、先頭・小川に死球。しかし、友杉を二併打に仕留め、西川を二ゴロ。先頭打者を出しても、次打者で併殺を奪い、相手の攻撃を一気に断ち切った。2回は山口を三ゴロ、佐藤都を空振り三振。2死から池田に左二塁打を許したが、井上を右飛に打ち取った。得点圏に走者を背負っても、動じずにアウトを積み上げた。

3回は下位打線を寄せつけなかった。寺地隆成を投ゴロ、髙部瑛斗を見逃し三振、小川を右飛。4回も友杉のセーフティーバントを捕ゴロに処理し、西川を空振り三振、山口を左飛。3回、4回と連続で三者凡退。ロッテ打線に反撃の形を作らせなかった。

5回には先頭の佐藤都に中安を許した。ここはロッテにとって、試合中盤でようやく訪れた反撃の糸口だった。しかし髙橋は、池田を一飛、井上を空振り三振、寺地も空振り三振に仕留める。無死一塁から一歩も進ませず、最後は連続三振で火を消した。ここでロッテ打線の勢いを断ち切ったことは、1点差の試合では極めて大きかった。

6回は髙部を左飛、小川を三直、友杉を右飛。再び三者凡退。7回も西川を二ゴロ、山口を遊直、佐藤都を遊直に打ち取り、わずかなリードを保ったまま終盤へ入った。ロッテの中軸にも長打を許さず、外野へ鋭く運ばれる場面を最小限に抑えた。

最大の山場は8回裏だった。先頭の池田を空振り三振に仕留めたあと、井上に四球。続く代打ソトにも四球を与え、1死一、二塁となった。ロッテは寺地に代えてソト、髙部に代えてポランコを投入し、勝負に出た。さらに一塁走者は和田康士朗、ソトには代走・宮崎竜成が送られた。1点差の終盤、同点どころか逆転まである場面である。

だが、髙橋は崩れなかった。ポランコを低めのストレートで右飛に打ち取り、2死一、三塁。なおも一打同点の場面で、打席には1番・小川。ここで小川を二ゴロに仕留め、8回を投げ切った。2四球で一気に緊張感が高まったイニングを、最後は自らの投球で締めた。8回2安打無失点。奪った三振は6つ。許した長打は2回の池田の左二塁打のみで、8回は安打を許さずにピンチを切り抜けた。

この日の髙橋は、毎回三振で押し切る投球ではなかった。ゴロ、フライ、ライナー、三振を織り交ぜながら、ロッテ打線の攻撃を細かく断った。先頭打者を出した1回と5回も無失点。2死から二塁打を浴びた2回も無失点。8回の一、二塁も無失点。1点差の重圧の中で、走者を出しても本塁は踏ませない。まさに圧巻のピッチングとなった。

 

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最後はドリスが締める。ロッテの反撃を断ち、完封リレー完成

9回裏、阪神は髙橋からドリスへ継投した。スコアは1-0。1人の走者が出れば空気が変わる。長打一本で同点、連打ならサヨナラもある場面。しかもロッテは2番から始まる打順だった。

先頭の友杉は遊ゴロ。ここで一塁アウトの判定を巡ってロッテがリクエストを要求したが、リプレー検証後も判定は変わらなかった。1死。続く西川は一ゴロで2死。あと1人となったところで、4番・山口が中二塁打を放つ。ロッテは二塁走者に代走・岡大海を送った。続く佐藤都は一塁が空いていたため敬遠。2死一、二塁となり、打席には池田。一打同点の場面で、ZOZOマリンの緊張感は一気に高まった。

だが、最後も阪神が踏みとどまった。池田の打球は遊ゴロで3アウト、試合終了。ドリスは1回19球、被安打1、与四球1、無失点で今季7セーブ目を挙げた。8回までを髙橋が支配し、9回はドリスが走者を背負いながらも締める。阪神が1-0の完封リレーでカード初戦を制した。

ロッテは先発・田中が6回1失点と粘投した。小野も2回1安打無失点、益田も1回無安打無失点と投手陣は阪神打線を4安打1得点に抑えた。しかし、打線が髙橋を攻略できなかった。安打は2回の池田の左二塁打、5回の佐藤都の中安、9回の山口の中二塁打の3本。8回には井上とソトの四球で1死一、二塁、ポランコの右飛で2死一、三塁まで進めたが、小川が二ゴロ。9回も2死一、二塁まで迫ったが、池田が遊ゴロに倒れた。好機は作ったが、あと一本が出なかった。

阪神にとっては、4安打で勝った試合である。2回に立石が出て、伏見がつなぎ、熊谷が選び、中野が内野ゴロで返した。以降は追加点を奪えなかったが、髙橋が8回までロッテ打線を封じ、ドリスが最後を締めた。守り勝つ野球。1点を奪い、1点を守る野球。その形が、この日のZOZOマリンで鮮やかに示された。

勝った髙橋は6勝0敗。敗れた田中は1勝4敗。セーブはドリスで1勝1敗7セーブ。試合時間は2時間57分、観衆は29,026人。スコアボードに並んだのは、阪神の2回表の「1」と、それ以外の「0」。その1点を最後まで輝かせたのは、髙橋遥人の106球だった。

接戦を取り切る強さ、少ない得点を勝利へつなげる投手力、そして終盤のピンチで踏みとどまる粘り。打線が低調でも勝ち切る強さを示した一戦であった。

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