森下20号も空砲・・・2点先行から痛恨の逆転負け

森下20号も空砲・・・2点先行から痛恨の逆転負け

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聖地に響いた快音は、勝利への号砲になるはずだった。
阪神は7月2日、甲子園で中日と対戦し、延長11回の末に2-3で敗れた。先制したのは虎だった。初回2死走者なし。3番・森下翔太が中日先発・柳裕也の初球を振り抜くと、打球は左中間スタンドへ。今季20号ソロで、阪神が1点を先取した。森下はこの一発でセ・リーグ最速の20号に到達。2年連続の大台到達で、虎の生え抜き右打者としては1975年の田淵幸一以来となる価値ある数字も刻んだ。

森下は試合後、初球から積極的にいく準備をしていたこと、プロ初登板初先発の下村海翔を少しでも楽に投げさせたい思いがあったことを明かし、結果についても手応えを口にした。ただ、その一発は白星にはつながらなかった。阪神は4回にも先頭の中野拓夢が右翼線へ二塁打。柳の暴投で三塁へ進むと、森下の三ゴロの間に中野が生還し、2-0とリードを広げた。森下は本塁打だけでなく、チーム打撃でも2点目を生んだ。しかし、以降はあと1本が出ない。6回、7回、10回、そして11回。好機はつくった。

だが、勝ち越しにも、同点にも届かない。42,630人が詰めかけた甲子園で、4時間36分に及んだ熱戦は、森下の20号を“空砲”に変える幕切れとなった。チームは連勝が2で止まり、38勝32敗1分。巨人に0.5ゲーム差をつけられ、首位から2位タイへ後退した。試合後の藤川球児監督は、敗戦を受け止めながらも、次戦へ向けて「明日以降やるしかない」と前を向いた。

下村、聖地デビューで5回2失点 勝利投手の権利目前で同点許す

プロ初登板初先発のマウンドに立った下村海翔は、白星こそ逃したが、確かに一軍の舞台に足跡を刻んだ。初回は岡林勇希を二ゴロ、福永裕基を遊ゴロ、村松開人を遊ゴロ。すべて内野ゴロで三者凡退に仕留めた。2回は先頭の細川成也に左安を許したが、サノーを遊併殺打、石伊雄太を遊ゴロに打ち取って無失点。3回は石川昂弥の遊撃内野安打、柳の犠打、岡林の四球で2死一、二塁とされたが、福永を投ゴロに封じた。4回には細川との粘り合いを制し、内角高めのカットボールで空振り三振。これがプロ初奪三振となった。4回まで2安打無失点。右肘のトミー・ジョン手術を経て、入団から2年間一軍登板なしだった右腕が、堂々と試合を作っていた。

だが、2-0で迎えた5回に試練が来た。先頭・石伊に遊撃内野安打、石川昂に中前打を浴びて無死一、三塁。続く鵜飼航丞に中前適時打を許して1点差とされた。なお無死一、二塁で柳のバントを三塁封殺して1死一、二塁としたが、岡林に右翼への適時二塁打を浴び、2-2。勝利投手の権利は目前で消えた。それでも崩れ切らなかったのが、この日の下村だった。福永に死球を与えて1死満塁となったが、村松を空振り三振、細川を右飛に抑え、勝ち越しは許さなかった。5回94球、6安打2失点、2奪三振、1四球、1死球。試合後、下村は緊張や力みがあった中で「取り組んできたことが出せた」と振り返った。藤川監督も「十分に力強くやってくれた」と評価し、次回以降への期待を問われると前向きな言葉を残した。下村の大崩れしない制球力は高評価。横の変化球を軸にしながら、今後は直球や縦の変化が加われば、先発としてさらに計算できる存在になるとの見方を示した。

拙攻が響いた中盤以降 6回、7回、10回の逸機が重くのしかかる

勝負を分けたのは、2-2となってからの攻撃だった。阪神は5回裏、代打・福島圭音が二ゴロに倒れて無得点。だが、6回に大きな勝ち越し機を迎える。1死から中野が中前打で出塁し、森下も中前打で続いて一、二塁。4番・佐藤輝明が四球を選び、1死満塁とした。柳を攻め立て、甲子園の空気は一気に虎へ傾きかけた。ところが、5番・大山悠輔は一飛。続く濱田太貴も一打勝ち越しの場面で三ゴロに倒れた。7回にも好機は来た。坂本誠志郎は遊ゴロに倒れたが、熊谷敬宥が右前打。代打・前川右京も右前打で続き、1死一、三塁。ここで中日は橋本侑樹へスイッチし、阪神は前川に代走・小野寺暖を送った。打席には1番・髙寺望夢。結果は一ゴロだった。三塁走者・熊谷が三本間で挟まれて走塁死。さらに一塁走者・小野寺も三塁を狙って走塁死となり、1死一、三塁の好機が一瞬で消えた。

8回は2死から中野が一安、森下が三ゴロ、佐藤輝が二飛、大山が申告敬遠、濱田が三ゴロ。9回は坂本、熊谷、百﨑が凡退。10回には再びサヨナラの匂いが漂った。1死から中野が右二塁打を放ち、森下は一塁が空いているため申告敬遠。1死一、二塁で佐藤輝を迎えたが、空振り三振。大山は藤嶋健人に対して右邪飛に倒れ、ここでも勝ち越せなかった。阪神は10安打を放ちながら2得点。得点は初回の森下ソロと4回の森下の三ゴロ間のみだった。終盤の好機で1本が出ず、走塁死も重なった。藤川監督は7回の場面について、流れが変わるタイミングであることを認めつつ、同じような展開はまた来るとして「前向きに」戦う必要性を強調した。結果だけ見れば1点差。しかし、その1点の向こう側には、何度も手を伸ばしながら届かなかった攻撃の停滞があった。

 

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延長11回、及川が決勝点献上 阿部の一打に沈んだ4時間36分

2-2のまま突入した延長戦。阪神は8回にドリスが無死満塁を背負いながら石伊、石川昂を連続三振、鵜飼を中飛に仕留めてしのいだ。9回は岩崎優が岡林に左二塁打を許しながらも、福永を見逃し三振、村松も見逃し三振で無失点。10回は工藤泰成がサノーに四球を与えたが、石伊を三ゴロ、石川昂を見逃し三振に抑えた。救援陣が粘り、サヨナラ勝ちへの流れを何度も引き寄せかけた。

だが、11回表に痛恨の1点が入った。6番手としてマウンドに上がったのは及川雅貴。先頭の鵜飼に中前打を許す。田中幹也がきっちり送りバントを決め、1死二塁。岡林の遊ゴロで2死三塁となった。ここで山本泰寛に四球を与え、2死一、三塁。中日は村松に代えて代打・阿部寿樹を送った。カウント1-0から、及川の球を阿部が中前へ。三塁走者が生還し、スコアは2-3。これが決勝点となった。及川はこの回22球、打者6人、被安打2、与四球1、1失点。敗戦投手となり、今季1勝1敗、防御率は5.40となった。

11回裏、阪神は松山晋也の前に濱田が空振り三振。代打・木浪聖也が右前打で出塁し、代走・植田海が送られた。熊谷は右飛で2死。代打・嶋村麟士朗の打席で植田が二盗を決め、2死二塁。一打同点の場面までこぎつけた。だが、嶋村はワンバウンドした球に空振り三振。試合終了の瞬間、長い夜を耐えた甲子園に悔しさが残った。中日は5回に鵜飼、岡林の適時打で追いつき、延長11回に阿部の代打適時打で勝ち越し。柳が7回2失点と粘り、救援陣も無失点でつないだ。阪神は下村の粘投、森下の20号、救援陣の踏ん張りを勝利に結びつけられなかった。藤川監督が口にした通り、同じような接戦はまた来る。そのとき、終盤の好機をどう仕留めるか。首位陥落の痛みを、次の一戦でどう跳ね返すか。突きつけられた課題は、はっきりしている。

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