プロアスリートの宿命ともいえる、マスコミとの関係構築について岡田監督からルーキー選手達へ「マスコミに好かれる選手になれ」とのアドバイスがありました。人気球団の中で、誰からも愛される選手に成長してほしいですね!
【阪神よもやま話 元虎番の独り言】どうか、好かれる、愛される選手に! 最低限の受け答えで十分 マスコミが勝手に選手を好きになる
(サンケイスポーツより)
阪神には今年も8人の新人が加わった。新人選手入団発表会。ひな壇の中央に岡田監督が誇らしげに座っていた。司会者からタイガースに飛び込む選手たちへのアドバイスを問われて、いかにも〝阪神で育ったスター〟らしい回答を披露した。
「タイガースではマスコミに好かれることと、あまりマスコミにいらんことを言わないこと」
居並ぶ報道陣から小さな笑いが漏れていた。対マスコミ。我々マスコミが想像する以上に、タイガース内では大問題として受け止めらているようだ。ほんのちょっとした言葉を拡大解釈されて、新聞の大見出しになって…という〝事件〟〝騒動〟〝誤解〟〝トラブル〟〝誤報〟〝誹謗中傷〟が幾度となく発生した、というのが球団の受け止め方だろう。事実かどうかは別にして、そう感じる側が防御策を講じるのは別に不思議ではない。むしろ、必要だ。そういう報道に対しては。
その昔に注目のルーキーとしてタテジマに飛び込んだ、過去のスター選手からよく聞かされた。
「ことあるごとに『余計なことを言うな』『あまりしゃべるな』と指導されましたよ」
「新聞を持ってきて『こんなこと、本当に言ったのか?』と詰問されたこともありました」
聞けば聞くほど、マスコミ対応を巡っては〝教育的指導〟が頻繁に入ったらしい。他球団からトレード移籍してきた選手も言っていた。
「この球団、どうなっているんですか。報道陣と話すことが悪みたいに言われますよ」
そう言いながら、この移籍組の選手は、マスコミの一端である私としゃべり続けた。前述のスター選手も、平気で内情を明かし続けた。金言を残した岡田監督も、選手時代、監督時代を通じて、ほぼ言いたいことを流出しつづけてきている。「ほぼ」と表現したのは、時には「取材拒否」や「完全無視」の時期があったりしたのは事実。人間なんだから、時には腹が立つこともある。でも、いつもリップサービスを絶やすことのない野球人だ。だから、今でもタイガース史上屈指の「愛される方」だ。
確かに、岡田監督のアドバイスのように「いらんことを言わない」を実行すれば、問題が発生することはない。ただ、これを誤った解釈をすると、変な関係が誕生してしまう。どんな質問をしても「分かりません」しか答えなかった選手がいた。
ーー会心の当たりだった?
「分かりません」
ーー打った球は?
「分かりません」
ーー相手投手の印象は?
「分かりません」
ーー監督からどんな声を掛けられた?
「分かりません」
貫き通す姿勢は、ある意味、健気で美しかった。質問しようとしたら、小走り逃げる選手もいた。記者根性を見せて、追いかけて質問したら全力疾走で去っていった。そこまで嫌われているのか、と反省した。その選手の記事すら書いていない時のことだった。一番ひどいのは、挨拶すら無視する選手だ。まあ、いろんな人がいていいし、勝手だが、そういう選手がどうなるか。岡田監督の金言に戻る。
「マスコミに好かれること」
このアドバイスとはほど遠い選手ができあがってしまうのだ。毎日、ベラベラしゃべりまくれ…な~んて思ってもいない。最低限の受け答えをしてくれたら、それで十分。なんとなく気が合いそうだったら、その後、普通に話をしてくれて…。そのうちに、マスコミ側が勝手に「好きな選手」に思っていくから。そんな選手で十分です。ルーキーのみなさま、どうか、好かれる、愛される選手になってください。
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